「図書新聞」2018年11月24日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四五回 「政治」がもたらすリミッターの解除を、押し返すための「いかれころ」」が掲載

 「図書新聞」2018年11月24日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四五回 「政治」がもたらすリミッターの解除を、押し返すための「いかれころ」」が掲載されました。今回は引き続き小川榮太郎の性差別から議論を始め、「リベラル」でも乗っかってしまう「女叩き」を批判しています。言及したのは、以下の作品です。

高橋源一郎「「文芸評論家」小川榮太郎氏の全著作を読んでおれは泣いた」(「新潮」、「Webでも考える人」)
・武田砂鉄「「きちんとした文章」で」(「文學界」)
・榎本櫻湖「それでも杉田水脈はわたしを差別してないと言い張るのだろうか」(「すばる」)
金時鐘「羽の行方」(「現代詩手帖」二〇一八年九月号)
・水溜真由美「『まっくら』再考」(「現代詩手帖」二〇一八年九月号)
笙野頼子「「アホフェミ」について」
・田村さと子「ホルへ・フランコ文学の女性たち」(「すばる」)
・三国美千子「いかれころ」(新潮新人賞受賞作)
・須賀ケイ「わるもん」(すばる文学賞受賞作)
・森田真生「隔たり(エカール)の彼方から」(「すばる」)
・金子薫「壺中に天あり獣あり」(「群像」)
佐々木敦「全体性と有限―ひとつの「小説」論」(「群像」)
渡邊利道「エヌ氏」(「ミステリーズ!」90、第三回創元SF短編賞飛浩隆賞)
樺山三英「エキゾティックな郊外?」(「小説トリッパー」)
・倉数茂「恋物語(ロマンス)の楽しみ」(「小説トリッパー」)

 その他、中上健次『地の果て至上の時』、藤野可織『爪と目』、トマス・M・ディッシュ「アジアの岸辺」、アラン・ロブ=グリエ「不滅の女」、J・G・バラード『ミレニアム・ピープル』、倉数茂「魔術的時空間」などにも言及しています。
 小説は「いかれころ」のクオリティに驚かされました。今回の時評は、「アホフェミ」などと理不尽な罵倒を受けた人たちにこそ読んでいただきたいと思います。

「図書新聞」2018年10月20日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四四回 既存の「文学」が正面からの対峙を避けてきた領域の顕在化」を寄稿

 「図書新聞」2018年10月20日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四四回 既存の「文学」が正面からの対峙を避けてきた領域の顕在化」を寄稿しました。今回は、東京医大で女子受験者の点数が一律減点されていた差別事件と、「新潮45」の特集「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」、および小川榮太郎「政治は『生きづらさ』という主観を救えない」への批判を中核に置きつつ、以下の作品を取り上げました。

紗倉まな「春、死なん」(「群像」)
小山田浩子ヒヨドリ」(「群像」)
・宮本正人「アジールの系譜―宮本常人・野間宏・松坂ソビエト・止まり木の街―」(「革」二九号)
・宮本正人「開発と共生――中上健次の闘い」(「革」二八号)
・林浩治「鵺野雁「池のどろみず」と作家大洞醇」(「革」二九号)
・鵺野雁「池のどろみず」(「革」二八号)
生田武志×稲葉剛『当たり前の生活って何やねん?! 東西の貧困の現場から』(日本機関紙出版センター)
笙野頼子「ウラミズモ奴隷選挙」(「文藝」二〇一八年秋号)
安藤礼二×蜂飼耳×小澤英実「創作合評」(「群像」)
笙野頼子×北原みのり「私たちは抗議する」(note)
石井遊佳「象牛」(「新潮」)
古川日出男ローマ帝国三島由紀夫」(「新潮」)
究極Q太郎インタビュー「政治性と主観性/運動することと詩を書くこと」(「子午線」)
大杉重男「ただ一つの、自分のものでしかない歴史」(「子午線」)
・綿野恵太「石牟礼道子と憐れみの天皇制」(「子午線」)
高原英理歌人紫宮透の短くはるかな生涯』(立東舎)
・倉数茂『名もなき王国』(ポプラ社
石田千「鳥居」(「文學界」)
・八杉将司「友達のタイムパラドックス」(「小説すばる」)

 その他、J・G・バラード「終着の浜辺」、ジャン・ド・ジョワンヴィル、エルンスト・H・カントローヴィチ、ジョルジョ・アガンベンジーン・ウルフらに触れています。

「図書新聞」2018年9月15日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四三回 身体感覚を突き詰めて世界の全体性を記述する、リトルマガジンの出発点」が掲載

 「図書新聞」2018年9月15日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四三回 身体感覚を突き詰めて世界の全体性を記述する、リトルマガジンの出発点」が掲載されました。今回は杉田水脈LGBT差別発言、国連での小野寺まさるのアイヌ否定などを批判しつつ、以下の作品を取り上げました。

・『大江健三郎柄谷行人全対話 世界と日本と日本人』(講談社
古市憲寿「平成くん、さようなら」(「文學界」)
・奥畑信子「カエル同盟」(労働者文学賞受賞作)
・和田真希「飢渇川」(農民文学賞受賞作)
笙野頼子「ウラミズモ奴隷選挙」(「文藝」)
・李龍徳の新連載「あなたが私を竹槍で突き殺す前に」(「文藝」)
・近本洋一「括弧に入れられた「心」」(すばるクリティーク賞受賞第一作)
古川日出男+テッド・グーセン柴田元幸「北海道と想像力をめぐる冒険」(「新潮」)
谷崎由依「裏返る場、そして劇場へ」(「文藝」)
山尾悠子『飛ぶ孔雀』(文藝春秋
・村上克尚「文学の暴力について」(「新潮」)
・松原俊太郎「山山」(「悲劇喜劇」)
パスカルキニャール「この四つ裂きの謎について」(小林康夫訳、「午前四時のブルー」)
・菊間晴子「大瀬の地において「テン窪」に出会うまでの、本当のことの覚書」(「午前四時のブルー」)

 


 
 その他、渡辺一史『北の無人駅から』等にも言及しました。

「図書新聞」2018年8月10日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四二回 大量処刑という現実が露わにする歴史の断層」が掲載

 「図書新聞」2018年8月10日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四二回 大量処刑という現実が露わにする歴史の断層」が掲載されました。岡和田晃は、オウム真理教の元幹部十三人の死刑執行に、「赤坂自民亭」や津久井やまゆり園事件2周年が被せられたことを批判し、以下の作品を取り上げています。

いとうせいこう「小説的対談」(「群像」)
山城むつみ「連続する問題 第一回 郊外の雑草は枯れて行くのだ」(「すばる」)
・木村友祐「生きものとして狂うこと――震災後七年の個人的な報告」(「新潮」)
四方田犬彦「鳥を放つ」(「新潮」)
・杉本裕孝「将来の夢」(「文學界」)
・太田靖久「うみまち」(「すばる」)
・福嶋伸洋「永遠のあとに来る最初の一日」(「すばる」)
村田沙耶香「孵化」(「小説トリッパー」)
・「三田文學 特集 越境するドイツ」
・トーマス・ベルンハルト「訂正」(飯島雄太郎訳、「三田文學」
・トーマス・メレ「背後の世界」(金志成訳、「三田文學」)
荒巻義雄「婦人部屋の哲学」(「現代詩手帖」)
・林美脉子「冬の鬼火」(「現代詩手帖」)
・奥間埜乃「震動の丘」(「TOWERING CIRCUS NOTES」)

 その他、石川達三『日陰の村』、PuP(ペー・ウー・ぺー)の公演『この大都市の茂みの日陰で』、ストローブ=ユイレの映画『ロートリンゲン』、北条裕子『美しい顔』剽窃騒動、村田沙耶香「殺人出産」、現代ドイツ文学専門誌「DeLi」、四方田犬彦『ハイスクール1968』、『先生とわたし』、ユイスマンス『さかしま』、山野浩一「殺人者の空」、セリーヌ『夜の果てへの旅』にも言及しました。

2018年12月の仕事

・【批評】「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四六回「「故郷」と「未来」の足場を揺るがす、「無責任の体系」の永劫回帰」(「図書新聞」2018年12月15日号)
・【イベント】「TRPGサークル幻界堂2018年忘年会」にゲスト参加。(12月8日、於:ボードゲームバー・グリュック)
・【レポート】参加者:デーナ・ルイス(翻訳家)、高橋良平(フリー編集者)、大和田始(翻訳家) 司会・本文構成:岡和田晃 文字起こし:柳剛麻澄 山野浩一氏追悼パネル 電子版限定(4) SFセミナー2018合宿企画 於:鳳鳴館森川別館【東京】(「読書人」ウェブサイト、2018年12月14日、 https://dokushojin.com/article.html?i=4700

・【紹介】『月刊アナログゲーム情報書籍「Role & Roll」Vol.170「『エクリプス・フェイズ』入門シナリオ&運用ガイド 悪夢の衛星タナカの恐怖」』(「SF Prologue Wave」2018年12月20日号)
・【アンケート回答】「2018年下半期読書アンケート」(トーマス・メレ『背後の世界』、坂田美奈子『先住民アイヌはどんな歴史を歩んできたか』、アラン・ロブ=グリエ『もどってきた鏡』、レイチェル・ハリソン『ブラッド・ライト—鮮血の儀式—』)(「図書新聞」2018年12月22日号)
・【イベント】『ルーンクエストグローランサ』のゲームマスター(12月17日、於:なるねこはうす)
・【監修】【ゲームデザイン朱鷺田祐介岡和田晃待兼音二郎『エクリプス・フェイズ』シナリオ「ケレスの宇宙マグロ」(「Role&Roll」Vol.171、新紀元社
・【歴史コラム】岡和田晃見田航介「戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典」、第四十八回「中世のギルド~盗賊/冒険者ギルドの原型」(「Role&Roll」Vol.171、新紀元社
・【ゲームデザイン岡和田晃、イラスト:Don-Chang「『トンネルズ&トロールズ完全版』ソロ・アドベンチャー 無敵の万太郎とシックス・パックの珍道中~“そして、恐怖の街へ”~」(「ウォーロック・マガジン」Vo.3、グループSNE
・【監修】【ゲームデザイン】中山将平「はじめてのアンクル・アグリーズ・アンダーグラウンド」(「ウォーロック・マガジン」Vo.3、グループSNE
・【批評】「FFによる遊戯史学のススメ」(「ウォーロック・マガジン」Vo.3、グループSNE
・【翻訳】【単著】“醜いジョン”のカーヴァ―、翻訳:岡和田晃、協力:吉里川べお・柘植めぐみ、イラスト描き下ろし:石野中『アンクル・アグリーの地下迷宮』(『トンネルズ&トロールズ完全版BOOK』同梱、グループSNE
・【批評】「〈死〉を内包した北方性から 天草季紅『ユーカラ邂逅 アイヌ文学と歌人小中英之の世界』評」(「鹿首」Vol.13、鹿首発行所)
・【リプレイ小説執筆】ライター:岡和田晃、編集:touge、写真:佐々木秀二「原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む」」(「4Gamer」、2018年12月29日、https://www.4gamer.net/games/436/G043667/20181224002/

 

2018年11月の仕事

・【批評】「先行研究の博捜と原文に忠実な翻訳が示した解像度の高い一冊――性を異にする複数名義で書かれた小説群をセットで紹介――『夢のウラド フィオナ・マクラウドウィリアム・シャープ幻想短編集』書評」(「図書新聞」2018年11月10日号)
・【イベント】【対談】岡和田晃×倉数茂「新自由主義社会下における〈文学〉の役割とは」(2018年11月10日、ジュンク堂書店池袋本店)
・【対談】荒井裕樹×岡和田晃「差別と闘う新しい言葉を」(「図書新聞」2018年11月17日号)
・【批評】「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四五回 「政治」がもたらすリミッターの解除を、押し返すための「いかれころ」(「図書新聞」2018年11月24日号)
・【紹介】『月刊アナログゲーム情報書籍「Role & Roll」Vol.169「『エクリプス・フェイズ』入門シナリオ&運用ガイド 最後の夢と悪夢の酒」』(「SF Prologue Wave」2018年11月20日号)
・【ゲームデザイン岡和田晃朱鷺田祐介待兼音二郎「『エクリプス・フェイズ』入門シナリオ&運用ガイド「悪夢の衛星タナカの恐怖」」(「Role&Roll」Vol.170、新紀元社
・【批評】「『幻影の航海』から「多頭のヒドラ」へ──『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』の背景」(「ナイトランド・クォータリーvol.15」、アトリエサード

2018年10月の仕事

・【レポート】「「山野浩一さんを偲ぶ会」レポート」(「図書新聞」2018年10月13日号)
・【イベント】『トンネルズ&トロールズ完全版』の「アンクル・アグリーの地下迷宮」のダンジョンマスター(FT書房、2018年10月5日)
・【批評】「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四四回 既存の「文学」が正面からの対峙を避けてきた領域の顕在化8「図書新聞」2018年10月20日号)

・【イベント】『エクリプス・フェイズ』の「悪夢の衛星タナカの恐怖」のゲームマスター六義園、10月13日)
・【監修】【ゲームデザイン朱鷺田祐介岡和田晃待兼音二郎「『エクリプス・フェイズ』入門シナリオ&運用ガイド 最後の夢の悪夢の酒」(「Role&Roll」Vol.169、新紀元社
・【監修】【歴史コラム】待兼音二郎見田航介「戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典 第四七回 中世の焦土作戦ビザンツ帝国のゲリラ持久戦略」(「Role&Roll」Vol.169、新紀元社
・【序文】「アホフェミ」について(笙野頼子さんの見解)(「Flying to Wake Island 岡和田晃公式サイト(新)」、2018年10月20日
・【紹介】「月刊アナログゲーム専門書籍「Role&Roll」Vol.167『エクリプス・フェイズ』インターミッション&運用ガイド 即身仏とカリスマ美女モデル」」(「SF Prologue Wave」2018年9月20日号、http://prologuewave.com/archives/6855
・【イベント】『反ヘイト・反新自由主義の批評精神』についての討議(神山睦美主催、書評研究会、於:大阪経済法科大学東京麻布台セミナーハウス、2018年10月27日)
・【批評】「デヴィッド・アーモンド『ポケットのなかの天使』レビュー」(「TH(トーキング・ヘッズ叢書)No.76」、アトリエサード
・【批評】「シミュレーションによって算出された「この世ならぬ場所」のままならなさ――佐藤大輔『遙かなる星1~3』」(「TH(トーキング・ヘッズ叢書)No.76」、アトリエサード
・【批評】「山野浩一とその時代(5)映画『デルタ』の思想と、「NW-SF」創刊前夜」(「TH(トーキング・ヘッズ叢書)No.76」、アトリエサード
・【共著】【インタビュー】『こころ揺らす 自らのアイヌと出会い、生きていく』((聞き手:村田亮北海道新聞社)
・【解説・監修・設定協力】フーゴ・ハル『ブラマタリの供物 クトゥルフ神話ブックゲーム』(新紀元社

 また、「TH」No.76の阿澄森羅・仁木稔・高槻真樹・待兼音二郎・松本寛大の各氏の原稿を監修させていただきました。