『SFが読みたい! 2021年版』(早川書房)にて、ベストSF2020の国内編・海外編のアンケートに回答、「2021年のわたし」を寄稿

 恒例のランキング本『SFが読みたい! 2021年版』(早川書房)にて、ベストSF2020の国内編・海外編のアンケートに回答しております。
また、今年の仕事の予定について記したエッセイ「2021年のわたし」を寄稿しています。
 どうぞ、よろしくご笑覧ください。

 「図書新聞」の半期ごとのベスト、「現代詩手帖」の年鑑号など、答えるものが増えてきたので、今回のアンケートでは他の時評で扱っていないものをベストで挙げました。SF詩、マーダーミステリー 、埋れ木発掘、本格幻想文学モダン・ホラーRPG(AFF2e)サプリメントなど。

 また、「2021年のわたし」では、これからの仕事を告知しました! とても書ききれませんが、期待していてください。別の欄では、気になるあの企画のタイトルも発表されています。

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SFが読みたい! 2021年版

SFが読みたい! 2021年版

  • 発売日: 2021/02/10
  • メディア: ムック
 

 

インドの学会で、現代日本文学についての発表を行いました

 2021年2月8日、インドの学会で、現代日本文学についての発表を行いました。『〈戦後文学〉の現在形』(平凡社、2020)に収められた拙論をベースにした、「震災と文学、そして津島佑子『狩りの時代』――作家の芯にある「夢」で差別という「陵辱」を退ける」を講義し、参加者からの質疑応答にお答えしました。

 主宰のウニタ・サチダナンド先生は、2017年に私がインドに行った時、お世話になりました。ウニタ先生は、津島佑子「黙市」の翻訳者でもあります。
 「ナイトランド・クォータリー」Vol.23の拙稿で講演録を援用したタリク・シェーク先生、2017年のインド訪問時に街を案内してくれたステュッティ・タピヤルさんも参加。ほか私が紹介した現役作家は、木村友祐、笙野頼子谷崎由依、上田早夕里、土橋芳美、林美脉子、武子和幸、若松丈太郎、宮内勝典、崎山多美、大江健三郎ら。

 ウニタ先生は生前の津島佑子と会った際に、シングルマザーであることへの複雑な思い、ある種のシスターフッド・コミニュティのイメージをも直接聞いていた、という話でした。学生の中には、竹山道雄の『ビルマの竪琴』を研究している人もいました。

 

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〈戦後文学〉の現在形

〈戦後文学〉の現在形

  • 発売日: 2020/10/23
  • メディア: 単行本
 

 

 

 

形而上詩誌「白亜紀」159号に新作「乱立する高塔の逆螺子の」を寄稿

 形而上詩誌「白亜紀」159号が出ました。新作「乱立する高塔の逆螺子の」を寄稿しています。写真に映ってはおりませんが、実はいつも以上に、タイポグラフィに凝った仕上がりになっています。後半には、J・G・バラード「コーラルDの雲の彫刻師」へのオマージュを入れてあります。

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「現代詩手帖」2021年2月号の作品特集「現代詩、新しい風」に、プロレタリア詩「宿便」を寄稿

 

 発売中の「現代詩手帖」2021年2月号の作品特集「現代詩、新しい風」に、プロレタリア詩「宿便」を書いております。書き下ろし詩編では「現代詩手帖」初登場ですが、空気を読まないどころか、翼賛体制、詩壇的な常識に殴り込みをかけるための土台の再構築を目指しました。

現代詩手帖2021年2月号(雑誌)

現代詩手帖2021年2月号(雑誌)

  • 発売日: 2021/01/28
  • メディア: 雑誌
 

 

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 冒頭部分は、こんな具合です。

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 「宿便」内で言及した、河野さくらの手稿は実在します。水道橋の古書店・水平書館で購入したものです。

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 執筆にあたり、聖母病院聖母像も取材してきました。

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向井豊昭アーカイブで、向井豊昭のエスペラント関連小説「Saitô-Hidekatu」(1976)を特別無料公開

 このところ、エスペラントに関する歴史的な理解を欠いた発言が、あちこちで散見されるようになりました。
 エスペラント語は、支配的な言語を一方的に押し付ける「言語帝国主義」に対し、一貫として批判の姿勢を維持してきました。
 例えば、山形県出身の僧侶・言語学者である斎藤秀一(1908~40年)は、エスペラント運動やローマ字教育の先駆者の一人ですが、特高に苛烈な弾圧を受けて夭折を余儀なくされています。
 この斎藤秀一に取材し、自身もエスペラント運動に深く関わった向井豊昭の小説および関連解説を、以下、特別に無料公開します。

genshisha.g2.xrea.com

「FT新聞」に、「『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.2」および齊藤飛鳥さんによる「無敵の万太郎とシックス・パックの珍道中」リプレイが掲載

 FT書房が「広告なし・非営利・日刊」で運営しているメールマガジン「FT新聞」No.2932(2021年2月2日)に、「『ウォーハンマーRPG』を愉しもう! Vol.2」が掲載されています。以下、同内容をAnalog Game Studiesに再録いたしました。

analoggamestudies.seesaa.net

 また、2021年1月28日配信の「FT新聞」No.2927で、齊藤飛鳥さんによる「無敵の万太郎とシックス・パックの珍道中」リプレイが掲載されています。自作のリプレイなので、面映ゆい限りです。

akiraokawada.hatenablog.com

 

「図書新聞」2021年2月13日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評」第七二回「骨抜きにされた民衆蜂起の可能性を代補するために」が掲載

 発売中の「図書新聞」2021年2月13日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評」第七二回「骨抜きにされた民衆蜂起の可能性を代補するために」が掲載されています。六年目の最終回は、連邦議会議事堂占拠事件について分析し、秩父事件等について論じつつ、以下の作品を言及しました。

藤野裕子『民衆暴力――一揆・暴動・虐殺の日本近代』(中公新書
・森元斎『国道3号線 抵抗の民衆史』(共和国)
・奥憲介「神も知らぬ無頼――森崎和江試論」(「三田文學」)
・三國美千子「骨を撫でる」(「新潮」)
・崎山多美「フウコ、森に立て籠る」(「三田文學」)
山尾悠子「部屋と喫水」(「群像」)
・小縞山いう「手首の海み」(「三田文學」)
・住本麻子「二〇一九年の掃除/清掃」(「早稲田文学」)
平田俊子「「幡ヶ谷原町」バス停」(「現代詩手帖」)
PIPPO編『一篇の詩に出会った話』(かもがわ出版
・アマンダ・ゴーマン「私たちが登る丘」(長畑明利訳、「中日新聞」)
・西村紗知「椎名林檎における母性の問題」(すばるクリティーク賞受賞作)
・長澤唯史『70年代ロックとアメリカの風景 音楽で闘うということ』(小鳥遊書房)
ミシェル・ビュトール『レペルトワールI 1960』(石橋正孝監訳、幻戯書房
・佐藤憲一『異形のピューリタン――ジョン・ウィンスロップ・ジュニアとトランスアトランティック・トランザクション』(春風社
・三浦育真「夜明珠(イェミンジュ)」(織田作之助青春賞受賞作、「三田文學」)
外岡秀俊「借りた場所、借りた時間 過ぎ去り行く香港」(「逍遙通信」)
・十三不塔『ヴィンダウス・エンジン』(ハヤカワSFコンテスト優秀作、ハヤカワ文庫JA)
・河﨑秋子「介護者D」(「小説トリッパー」)
・川嶋侑希「吹雪の吹き溜まりに命を吐いて」(「フラジャイル」)
・二宮清隆『海へ』(フラジャイル)

 また、時評欄とは別ですが、今号には佐藤保治『厚岸のアイヌ』(藤田印刷エクセレントブックス)の書評(上野昌之)が掲載されており、これは上野さんからの依頼で、私が査読協力いたしました。

 なお、『レペルトワール』のキェルケゴール論について、「生前未発表」と書いてしまいましたが、これは雑誌発表の初出が確認できないという意味で、翻訳された『レペルトワールI』の元本が初出です。念のため、補足しておきます。