「図書新聞」2022年7月16日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第八九回 文壇政治と差別の野合を繰り返さず、多角的かつ開かれたナラティヴを!」が掲載

 発売中の「図書新聞」2022年7月16日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第八九回 文壇政治と差別の野合を繰り返さず、多角的かつ開かれたナラティヴを!」が掲載されています。
 今回は第六回芝不器男俳句新人賞で特別選考委員が起こした差別事件を批判し、そこに「文壇」やアカデミズムにも通じる普遍的な問題を指摘しつつ、以下の作品を取り上げました。

・三品信「早稲田大の学生誌「蒼生」訴訟 背景にセクハラ教授解雇問題 学生・教員巻き込み禍根――ハラスメント撲滅を」(「中日新聞」二〇二二年六月八日)
・睡蓮みどり「私が自分の身に起きたことを性暴力だと認識した瞬間」(「創」
森崎和江『まっくら』(水溜真由美解説、岩波文庫
・小砂川チト「家庭用安心坑夫」(群像新人賞当選作、「群像」二〇二二年六月号)および古川日出男「装置とは何か」(「群像」同号)
・金石範「地の疼き」(前・後編、「すばる」二〇二二年五・六月号)
・古川真人「ギフトライフ」(「新潮」)
・稲垣克彦「DNA解析と「アイヌ民族否定論」――歴史修正主義者による先住民族史への干渉」(「解放社会学研究」)
・阿部翔太「『台湾愛国婦人』と新渡戸稲造――新資料紹介を中心に」(下岡友加・柳瀬善治編『『台湾愛国婦人』研究論集―〈帝国〉日本・女性・メディア』、広島大学出版会)
・宮本正人「解放文学の軌跡(第四回)水平社創立宣言の世界史的位置――セゼール、サルトル、ファノンを手がかりに」(「革」)
・藤永康政「ストークリー・カーマイケルとブラックパワーの興隆――黒人自由闘争の歴史(終)」(「思想」)
・細川瑠璃「花粉から花序へ――「個」をめぐるロシア思想とノヴァーリス」(「思想」)
駒村吉重『このごろのこと』(ライブ・パブリッシング)
・岡部千草『言弾』(砂子屋書房
・佐川亜紀『新・日本現代詩文庫157 佐川亜紀詩集』
・「会えない時代の往復書簡 松田青子⇋ケリー・リンク編(2)」(「すばる」二〇二二年六月号)

 その他、夏目漱石「坑夫」、金石範『火山島』、李龍徳『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』、「新渡戸稲造の植民地政策論」、パーヴェル・フロレンスキイ、ソロヴィヨフ、ベルジャーエフパラケルスス、べーメ、タニス・リー等についても言及しています。

旭川文学資料館で「21世紀文学 旭川の文学者たち 1」が開催

 2022年7月6日から10月22日まで、旭川常盤公園の常磐館(ロータリーのすぐそば)内にある、旭川文学資料館で「21世紀文学 旭川の文学者たち 1」が開催されます。「現在進行形で活躍している、旭川ゆかりの文学者たちの著書、自筆原稿、下書きメモ、写真などを展示。各人各様の創作スタイルが分かります。」とのこと。

 私についても展示がありますので、お近くにお越しの方は是非お立ち寄りください!

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「ナイトランド・クォータリー・タイムス」Issue14発行

 「ナイトランド・クォータリーVol.29 サロメ、無垢なる誘惑者の幻想」の見本が到着。版元サイトから申し込まれた定期購読者には内容みっちりの特典ペーパー「ナイトランド・クォータリー・タイムス」Issue14が同梱されます。

イラストのようです

 

 まず1面は「詩人トム・ディッシュと小説家トマス・M・ディッシュ」。NLQ29のカラーに掲載した詩の背景と訳者・菅原慎矢さんについて。
 2面は待兼音二郎さんによる、メアリー・シェリー「邪視譚」における背景と文体論。 3面は同じく待兼さんによる、映画『メアリーの総て』レビュー。そして私の『エクリプス・フェイズ』増刷改訂版、また『摩由璃の本棚』復刻版についての紹介。
 4面は徳岡正肇さんによる『映画を早送りで観る人たち』レビュー。5面は深泰勉さんによる『図説 台湾の妖怪伝説』および『シャーマン 霊的世界の探求者』論。
 6面はアルバン・ベルク『ルル組曲』、ヴェデキント『春のめざめ』、そして二期会コンヴィチュニー演出『エフゲニー・オネーギン』を、“演出=翻訳”という観点から私が論じています。アドルノの『アルバン・ベルク』や拙作『アゲインスト・ジェノサイド』が導きの糸。
 7面は、C・L・ムーア『大宇宙の魔女』より「シャンブロウ」、ヘンリー・カットナー『魂を喰らうもの』、そしてヤンシィー・チュウ『彼岸の花嫁』も論じています。また、高山宏『鎮魂譜 アリス狩りⅦ』に、「ナイトランド・クォータリー」Vol.20の学魔インタビューが収録されたこともお知らせ!
 8面はナイトランドを飾ったアーティスト・作家書誌の近況案内に、健部伸明監修『ファンタジー異世界用語事典』の紹介。『用語事典』に一箇所だけ混じっているというゴート文字も発見!
 1面につき2000字強まで入る誌面、8面まで文字ぎっしり。なんと原稿用紙換算で40枚ほどのお得ペーパーです。

「ナイトランド・クォータリーvol.29 サロメ、無垢なる誘惑者の幻想」が発売

 僭越ながら私が編集長をしております「ナイトランド・クォータリーvol.29 サロメ、無垢なる誘惑者の幻想」が、2022/6/29頃に発売。サロメファム・ファタル表象を軸に、幻想文学セクシュアリティを問い直す試みです。

 

 幻視者のためのホラー&ダーク・ファンタジー専門誌《ナイトランド・クォータリー》。
 vol.29の特集は「サロメ、無垢なる誘惑者の幻想」。
 19世紀末、ワイルドとビアズリーによって、ひとつの物語として再構築されたサロメ
 それは人々を魅了し、現在でもさまざまな分野でオマージュされ続けている。
 そのサロメや、ファム・ファタル=運命を狂わせる女をモチーフにした物語の数々を特集!
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 小説は、メアリー・シェリー、マイクル・ムアコックジョアン・アンダートン、フランク・ヴェデキント、アメリア・B・エドワーズ、マーガレット・セント・クレア、高原英理小林弘利、詩は、トム・ディッシュ(トマス・M・ディッシュ)、サミュエル・ファー ガスン卿といった多彩な内容!
 他に、下楠昌哉インタビューなど、コラム記事等も充実です!

 

 

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■主な内容
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【Story】
■メアリー・ウルストンクラフト・シェリー「邪視譚──アルバニア人匪賊の物語」/訳:待兼音二郎、訳語監修:茂木政敏・白石隆
ラフカディオ・ハーン「雪女」/訳:下楠昌哉
■フランク・ヴェデキント「女侯爵ルサルカ」/訳:垂野創一郎
マイクル・ムアコック「彷徨える森 〜赤き射手の物語〜」/訳:健部伸明
ジョアン・アンダートン「ファウストという名の猫」/訳:山田和子
アメリア・B・エドワーズ「サロメの話」/訳:渡辺健一郎
■マーガレット・セント・クレア「ボーリュー」/訳:岡和田晃
高原英理「〈精霊語彙集〉 帝命定まらず」
小林弘利「HiKaRi」
【Poetry】
■トム・ディッシュ「僕の母・一つの議論」/訳:菅原慎矢
■サミュエル・ファーガスン卿 アルスター地方の民謡「妖精の茨(フェアリー・ソーン)」/訳:井村君江
【Interview】
下楠昌哉インタビュー「アイルランド幻想文学と翻訳の「文武両道」」インタビュー・構成=岡和田晃
【Essay】
■オペラ出演者として体験したサロメたち/畠山茂
■「妖精の茨」について──妖精の「人さらい」──/井村君江
■無垢なるサロメは死の境域で舞う──怪奇幻想文学ファム・ファタル岡和田晃
殺生石と半神と。 キツネがファム・ファタルになった理由/丸屋九兵衛
■世紀末作家ラフカディオ・ハーンと「宿命の女」/下楠昌哉
■十一谷義三郎「谷崎潤一郎小論」をめぐって/黒田誠
■生首のある風景、もしくはサロメに到るまでの覚書/深泰勉
■見世物の「サロメ」/浅尾典彦
リヒャルト・シュトラウスサロメ』とパゾリーニ『奇跡の丘』の反省的手法/岡和田晃
【Game】
■トロフィーではなく、名前ある主人公として ゲームにおける「意志ある女性」小史/徳岡正肇
【Serial】
■〈アンソロジーに花束を〉第十一回 女王のスポーツアンソロジー安田均
【Book guide】/岡和田晃 
■生の絶頂、運命の采配、汎ヨーロッパ的騎士道幻想――『世界の果てまで連れてって!…』、『テュルリュパン』、『魔法の指環』 
■ポスト社会主義における民族的情念 ――『ヒップホップ・モンゴリア』&『憑依と抵抗』 
■表紙/妃耶八「サロメ

 

 メアリー・シェリー「邪視譚」は、『フランケンシュタイン』の作者が挑んだギリシア独立戦争アルバニアを扱った小説。難物ということもあり、おそらく今回が本邦初訳となります。ご期待ください!
 ラフカディオ・ハーンの「雪女」は、今号でインタビューを掲載したアイルランド文学者下楠昌哉さんによるフレッシュな新訳。
 フランク・ヴェデキント「女侯爵ルサルカ」は、ベルクのオペラでも知られる〈ルル二部作〉の著者が風刺誌「ジユプリチシムス」に寄せた作品。こちらもおそらく初訳。
大好評マイクル・ムアコック未訳作品連続掲載の第三弾。今回はなんと主役は赤き射手ラッキール! 健部伸明さんによる研究レベルの解説も充実。
 ジョアン・アンダートン「ファウストという名の猫」は、オーストラリア・ホラー界での賞レース常連作家による技巧的スペキュラティヴ・フィクション。アンナ・カヴァンやバラードの訳で知られる山田和子さん、訳者としてNLQ初登場。「解剖」のモチーフをひっくり返した、フェミニズム・ホラーの最前線。
 アメリア・B・エドワーズ「サロメの話」は、ヴィクトリア朝エジプト学者でもあった作家の見たサロメ譚。オスカー・ワイルド以前の英文学における「サロメ」像を伝えます。これも初訳ー!

 畠山茂さんは二期会会員のバス・バリトン歌手。今回はコンヴィチュニー演出の『サロメ』について出演者の視点も交えて語っていただきました。
拙稿はワイルド、フローベール、ヴェデキントからメアリー・シェリー、さらには須永朝彦からマーガレット・セント・クレアまで、幻想文学ファム・ファタルの関係を概観!
 丸屋九兵衛さんは、伏見稲荷から妲己まで、アジアにおけるファム・ファタル的な想像力を概観!
 下楠昌哉さんの批評は、ワイルドと同じアイルランド出身の作家ハーンを世紀末の視点から分析。
 あなたは十一谷義三郎をご存知ですか? 映画におけるサロメ表象は? ケン・ラッセルは? トッド・ブラウニングは? 黒田誠、深泰勉、浅尾典彦ら各氏の論考を是非お読みください。
 安田均さんの連載は、エラリー・クイーンのアンソロジーについて。特にスポーツ・アンソロジーや、『犯罪文学傑作選』についても。アンソロジーが大好きになる連載です。
 ブックガイドは、サンドラールペルッツ、フケー、島村一平らの作品について。

『エクリプス・フェイズ』基本ルールブックが増刷

 『エクリプス・フェイズ』基本ルールブックが増刷され、すでにショップには出回っています。ISBNは同じですが、こちらで発見した&ユーザーの方々ご指摘のエラッタを可能な限り反映した実質的な改訂版です。すでにお持ちの方にも有用かと!

 見分け方は、表紙に私と待兼音二郎さんの名前が出ている方が増刷版となります。

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 十余年の軌跡。違いがわかりますか?

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 イエローサブマリン新宿ゲームショップ。これこれ、この光景が見たかった。T&T、『ウォーハンマーRPG』、そして『エクリプス・フェイズ』が一式揃ってます!

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「白亜紀」163号に、新作の現代詩「惨ましい呻きの架けた虹」が掲載

 形而上詩誌「白亜紀」163号に、新作の現代詩「惨ましい呻きの架けた虹」が掲載されました。パーシー・ビッシ・シェリー『鎖を解かれたプロメテウス』への応答作です。

 

、「黄 水志勇 子 泉 松 供 広 消 が さ 咳 ま 底 燥 期 高 の れ け 摸 全 降 知 注 能 ぐ 震 模 を 做 え ら れ 散 協 ウ 逆 し の é も 惨 ま し い 啪 き の 架 け た 虹 * 岡 和 す è」というテキストの画像のようです

、「雪 カ 時 込 む 身 力」 照 頭 デ 込 さ れ 火 た 酒 完 に 魅 せ た れ 分 ゴ ス 垂 れ く 毒 理 中 は 弱 れ 優 幕 よ 露 燃 半 れ た 睡 り 0で 信 は る え」というテキストの画像のようです

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2022年6月26日(日)14:00より、朗読&講演会「プロレタリア詩再生計画」

 2022年6月26日(日)14:00より、茨城詩人会議のお招きで、岡和田晃の朗読&講演会「プロレタリア詩再生計画」を開催します。

 場所は茨城県立図書館(最寄り駅:JR水戸駅)3階会議室。参加費用は無料です。

 ぜひお越しください。問い合わせは、『茨城現代詩選』にも参加されている詩人の川澄敬子さんまで。

Larawan

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