「SF Prologue Wave」2020年4月号に伊野隆之「ザイオン・イン・ザ・シャドウ(Part1)」および「Role & Roll」Vol.186「『エクリプス・フェイズ』シナリオ 土星の円卓の騎士、あるいは改竄された記憶の悦楽」が掲載

「SF Prologue Wave」更新。2020年4月20日号で、以下が掲載されました。

 

「SF Prologue Wave」2020年4月号、伊野隆之さんの『エクリプス・フェイズ』シェアード・ワールド小説「ザイオン・イン・ザ・シャドウ(Part1)」。

prologuewave.com

 

『月刊アナログゲーム情報書籍「Role & Roll」Vol.186「『エクリプス・フェイズ』シナリオ 土星の円卓の騎士、あるいは改竄された記憶の悦楽」』の紹介記事。

prologuewave.com

「TH(トーキング・ヘッズ叢書)」 No.82「もの病みのヴィジョン」 に『いまわしき死の使い』、『ハンセン病』、『リバティーン』レビュー、「山野浩一とその時代(11)」が掲載

 「TH(トーキング・ヘッズ叢書)」 No.82「もの病みのヴィジョン」 が2020/4/30頃発売になります。

 コロナ・ウイルス禍を考えるために必読の一冊です。

athird.cart.fc2.com

 

 私はブライアン・クレイグ『いまわしき死の使い』(社会思想社現代教養文庫)、三宅一志・福原孝浩『ハンセン病』(寿郎社)、ローレンス・ダンモア監督『リバティーン』(Amazonプライムで観られます)を特集レビュー枠で、連載では、「山野浩一とその時代(11)佐野美津男の「橋」に空いた穴」が掲載です!

koichiyamano.blog.fc2.com

 その他、岡和田晃は以下の特集論考の監修をしています。

■アポローの贈り物〜梅毒をめぐる幾つかの逸話と謎●仁木稔
■病んでいるのは、誰なのか?〜草間彌生の小説『すみれ強迫』●宮野由梨香
■近代の病からポスト近代の病へ●石和義之
北條民雄〜療養所文学に咲いた大輪の徒花●阿澄森羅
■生命の深淵を窃視する〜野村芳太郎監督『震える舌』●松本寛大
■『当世病気道楽』に学ぶ病との距離感〜追悼・別役実●高槻真樹
■真珠とペン軸、あるいは変幻するサラマンドラ〜澁澤龍彥と病●渡邊利道

 また、特集レビューは以下を監修しました。
石牟礼道子「新装版 苦海浄土」、E・ヘミングウェイ&W・S・モームほか「病短編小説集」●待兼音二郎
ジョージ秋山「シャカの息子」、ロジャー・コーマン監督「赤死病の仮面」●松本寛大

 さらに、特撰街レビューは以下を監修しました。
テッド・チャン「息吹」●放克犬
◎笠木拓「はるかカーテンコールまで」●関根一華

 今回も相互査読が行き届き、状況に鋭く切り込む高品質な批評として、太鼓判を押せます。ぜひご購読ください。

もの病みのヴィジョン (トーキングヘッズ叢書 No.82)

もの病みのヴィジョン (トーキングヘッズ叢書 No.82)

  • 発売日: 2020/04/30
  • メディア: 単行本
 

 

児童文学・ミステリ作家、齊藤飛鳥さんによる「ヴァンパイアの地下堂」(『コッロールの恐怖』所収)リプレイ

 昨年、私のサイトで連載した『トンネルズ&トロールズ』完全版対応『傭兵剣士』リプレイが好評を博した作家の齊藤飛鳥さんが、新たに『コッロールの恐怖』と関連作のソロ・アドベンチャーのリプレイ小説を書いてくださいました。

akiraokawada.hatenablog.com

 ご当人の許可をいただき、本サイトでの連載という形でご紹介させていただきます。

 気軽に読み進められるリプレイですので、肩の力を抜いてご堪能ください。

 まずは『コッロールの恐怖』所収の「ヴァンパイアの地下道」からです~!

屍実盛

屍実盛

 

※以下、冒険の核心部分に触れる内容を含みます。また、作中には、齊藤飛鳥さんオリジナルの設定もありますが、あくまでも、プレイをしながら自由に想像と解釈を膨らませたということで、私からの手を入れてはおりません。どうぞご諒解ください。

 

 

『怜悧なるディーバのヴァンパイアの地下堂』
~『ヴァンパイアの地下堂』リプレイ~

著:齊藤飛鳥

 


0:怜悧なる自己紹介

ボクの名前は、〈怜悧なる〉ディーバ。
『ボク』と言っているけど、本当は18歳の金髪碧眼の人間の乙女だからね。
身長158㎝、体重はヒ・ミ・ツ!!
職業は、魔術師。レベルは12。
この年齢で、レベル12の魔術師になったのと、知性度68から、つけられた二つ名は〈怜悧なる〉だ。
魔術師組合の同期で、風の噂では奴隷になった落ちこぼれ……失礼、変わり種のエルフの魔術師の幸薄きジークリットが、いまだにレベル一桁代をさまよっているのとは、大違いだ。
さて、そんな優秀な魔術師のボクだから、カザンの魔術師組合からの危険極まりない依頼を受けたのも、当たり前と言えば当たり前なことだった。
「高貴なる者の務め」ならぬ「優秀なる者の務め」は果たさないと、ボクに才能をくれた神様から天罰を食らってしまうからね!


1:怜悧なる旅立ち

主任魔術師のメンスラー様から、これから行くコッロールのヴァクシュミの地下堂の説明と、案内人となる召使いの岩トロールを紹介された。
トロールは、岩悪魔みたいなものだろうとたかをくくっていたら、6メートルだって!?
想像していたよりも3倍大きくて、びっくりだよ!
名前は、トラン=トール=ホム。
石のクリーチャーだから、対ヴァンパイアやアンデッドの仲間として、最適だ。
ラバ呼ばわりも護衛呼ばわりも嫌うことを、メンスラー様はさも悪いことのように言ったが、トランは単に自分を正しく評価されたがっているだけじゃないのかな?
異種族差別発言を平然とするとは、メンスラー様は意地が悪いお人だ。
だから、怜悧なるディーバちゃんとしては、差別などせず、岩トロールは酒場でくだをまいている冒険者くずれのおっさんを相手にするように、おだてて利用するのが一番だと思うんだよね。
「君のようなたくましい戦士を旅の相棒にできるとは、ボクはついているよ!魔法攻撃はボクにまかせて、君は思う存分実力を発揮するといいよ!」
と、挨拶の後に、軽くリップサービスしたら、トランはため口から敬語に早変わり!
ボクのことを「ディーバ様」と呼ぶまでになった!
おかげで、旅の打ち合わせはスムーズに進んだ。
さあ、いよいよ廃都コッロールの冒険が始まるぞ!
ボクとトランは、カザンの魔術師組合事務所を後にした。


2:怜悧なる市内探索

廃都コッロール。
そこは、カザン帝国の地下一帯に広がるヴァンパイアとアンデッド達の都。
その郊外に、ボクとトランがたどり着いたのは、カザン帝国魔術師組合事務所を後にして10日後のことだった。
生者の時が終わりに近づき、アンデッド達死者の時が始まりつつある午後の日差しが、やがて訪れる夜の闇の危険をボクらに告げていた。
「これからどうしますだ?日のあるうちにヴァンパイアの地下堂へ入りますだか?それとも、日没になってから入りますだか?」
トランは、もっともな質問をする。
ボクの答えは、最初から決まっていた。
「無駄な戦闘を避けて目的を達成したいから、アンデッド達が出て来ない日のあるうちに地下堂の入り口を目指すよ」
トランは、ボクの決定に賛成したので、ボクらはコッロール市内を歩いた。
1000体ものスケルトン・マンが暮らしているので、いつ奴らに襲われるかもしれない。
しかし、今は日中だし、ボクの傍らには6メートルもあるトランがいるから、襲いかかって来る心配はない。
ボクは、姿隠しや幻覚の呪文を使わず、市内を歩いた。
怜悧なるボクの読みは当たり、スケルトン達はただの1人として、襲いかかって来なかった。
おかげで、ボクらは地下堂への秘密の入口にまで無事にやって来ることができた。


3:怜悧なる決断

地下堂の入口である廃墟の壁に近づくと、邪悪なオーラが強烈に放たれていた。
この中に入れば、さらにこのオーラが増すのは容易に見当がついた。
それはつまり、ボクの生命や存在の危機を意味している。
メンスラー様が、トランを紹介してくれて、本当によかった。
こんなに便利な召使いはめったにいない。
……と、感心をしたそばから、トランがとんでもない告白をしてきた。
なんと、彼には入口が小さすぎるため、地下堂には入れないと言うのだ!
魔法で小さくすれば入れると言うあたり、冒険を続ける意思があるのがわかって安心だが、さてどうしたものか。
ちょっと考えてから、ボクは《小さいことはいいことだ》の呪文を思い出した。
この呪文を習得した時、何の役に立つのか、首をかしげたものだが、こういう場合に役立つものなんだね。ちゃんと修行しておいてよかったよ。
「ダトコイイハトコイサイチ……」
呪文を唱え終えると、たちまちトランは元のサイズから4分の1サイズに小さくなる。
「これでよし! さあ、出発だよ、トラン!」
ボクは、先にトランを地下堂の中に行かせると、サンストーンを起動させてから、地下堂のダンジョンへと入った。


4:怜悧なる探索開始

幻の扉を通過した途端、ボクは胸に破壊的な魔力の一撃を食らった!
しまった、怜悧なるボクともあろうレベル12の魔術師が油断していた!
耐久度が10%減るのを感じたけど、魔力度の消費は極力避けたいから、我慢してこのまま探索は継続だ。
ボクは、気を取り直すと、曲がりくねった階段を下り始める。
曲がりくねって歪んだデザインのせいで、見通しがきかない。
こういう場所は、モンスターに遭遇しやすい。
ボクが予想したそばから、階段を上がってきたレッサー・ヴァンパイアと、ばったり鉢合わせしてしまった。
「ギャー……と思ったら、新鮮な血だ! やったー!」
驚いたそばから喜ぶとは、なかなか忙しい奴だ。
出現を予想していた怜悧なるボクは、勇ましく先陣を切るトランの邪魔にならないよう、落ち着いて場所を譲った。
たちまち、トランとレッサー・ヴァンパイアとの戦闘が始まる。
曲がりくねった階段は、身動きが取りにくい。
援護の呪文を放つ時は、トランに当てないように気をつけないとね。
トランは、レッサー・ヴァンパイアをいい具合に打ちのめしてくれた。
おかげで、ボクのしたことと言えば、とどめの魔法を食らわせたのと、動かなくなったこいつの体をあさったことだけ。
ボクの冒険の目的は、この地下堂で少しでも魔術師組合の研究に役立つアイテムを手に入れることだから、罪悪感はない。
レッサー・ヴァンパイアの体をあさると、アミュレットが出てきた。
正直、安物っぽいけど、メンスラー様なら、魔術的価値を見出すかもしれないから、念のため回収だ。
ボクは、レッサー・ヴァンパイアをあんなに打ちのめすとは素晴らしい戦士だと、トランをほめちぎりながら、階段を下り続けた。


5:怜悧なる分かれ道

階段を下りきると、堅い岩を削ってできた狭い回廊に出た。
その先にはトンネルがあり、道が左右に分かれていた。
危なっかしい足元の道で、呪文《そこにあり》で調べてみようかという考えが浮かんだけど、さっきの戦いで魔法を使ったばかりだから、魔力の消耗はできるだけ避けたい。
せっかくトランがいることだし、先に歩かせて危険かどうか様子見をすればいい。
「どちらの道へ行きますだ?」
「左へ進むよ。さあ、行った行った」
ボクは、トランを先頭に左の道を進む。
道は、ちょっと歩いてすぐに右に曲がり、また左右分かれ道になっていた。
迷った時には、左へ進むのがいいと、昔読んだ本に書いてあったことを覚えている怜悧なるボクは、また左の道を選んだ。
今度は6メートルほど歩いたところで、右に曲がる。
左の道を選ぶたびに、必ず道が右に曲がっている法則でもあるのかな?
そんなことを考えながら、曲がり角にさしかかった時だ。
ボクは左手に古い扉を、曲がり角の先に大きな部屋があるのを見つけた。
今まで左の法則で進んできたボクだけど、扉は鍵がかかっている可能性がある。
だけど、これまでの探索でボクらは鍵を入手してない。だから、扉に入ろうとしても開けられないかもしれない。
それよりも、扉がない大きな部屋を探索しに行った方が効率がいい。
怜悧なるディーバちゃんの辞書には『バカの一つ覚え』はないのだ!
ボクとトランは、扉の前を通りすぎて、大きな部屋へと向かった。


6:怜悧なる選択

大きな部屋は、一言で言うと、まがまがしい部屋だった。
天井は蜘蛛の巣で覆われているし、壁には背筋が凍りつくような、おぞましいデス・マスクがたくさんかけられている。
ボクの《魔力感知》と本能が、ここにある物も、この場所も、とてつもなく危険だと告げている。
はっきり言って、このデス・マスクはすべて呪われているよ!
部屋の中を見渡すと、ボクらが入って来たのとは違う扉が遠くの角にひっそりとあるのを見つけた。
扉には、【死せる者のみがこの扉を通るべし】と書いてあった。
扉を開ける前から、強烈なまでにまがまがしくも強大な魔力を感じた。
でも、それだけ、ここには魔術師組合の研究に役立つほど貴重な物があるとも言える。
ボクは、迷わず部屋に入った。
やっぱり、すさまじい魔力だ!
それに、思ったとおり、たくさんデス・マスクがある!
なんて、呪いに満ち満ちた部屋なんだろう。
トランに至っては、部屋に入ってすぐにダッシュで部屋の外に出たよ!
「ディーバ様。自分は、廊下に避難……でねえ、見張りをしていますだ。あの…頼むから、その部屋のマスクには何もしねえで……」
「お言葉だが、トラン。ボクの任務は、こういう物を持ち帰ることなんだよ」
ボクは、トランの助言を受け流し、部屋の壁にかけられたたくさんのデス・マスクの中から、金とトルコ石のルーンで彩られたマスクを見た。
これこそ、メンスラー様が持ち帰ってきてほしいと頼んだものだ。
魔力の弱いマスクと、強いマスクがあるけど、どちらにしようかな?
「そんなガラクタはうっちゃっておいて、外に出ておいでなせえ!」
考えるボクの背中に、トランの必死の叫びが聞こえてくる。
トランには悪いが、ボクにとって大事なのは、メンスラー様からの依頼であり、ボクの使命感だ。
二度とここへ来るつもりはないから、思いきって魔力の強いマスクを持ち帰ろう。
ボクは、魔力の強いマスクを手に取った。


7:怜悧なる衝動

魔力の強いマスクを、こうして手に取ってつくづくながめるに、気味の悪いマスクだ。
ヴァンパイア……仮面……うっ、頭痛が……!
なぜだろう?
人間をやめると、声高らかに宣言しながらマスクをかぶりたい衝動に猛烈に駆られる!
こんな見るからに呪いがかかっているマスクなんてかぶったら、命を落としかねないと、怜悧なるボクの頭は理解しているのに、猛烈にマスクをかぶりたい!
仮面なしじゃNO LIFEな気分だ!
部屋の外で、トランがおびえて早く出て来いと言っているのが聞こえるけど、今はそれどころではない。
「俺は人間をやめるぞー!」
気がつけば、ボクは声高らかにそう宣言して、マスクをかぶっていた。
でも、かぶったそばから、早く脱がなくてはという思いにかられた。
ボクは、必死になってマスクをかぶり続けたい衝動に打ち勝ち、やっとの思いでマスクを顔から引っぺがした。
危なかった……あともう少しマスクをはずすのが遅かったら、どうなっていたことやら。
ボクが額の冷や汗をぬぐったところへ、部屋の中のまがまがしくも邪悪なオーラがいっそう強まるのを感じた。
死そのものが、ボクの背後にたたずんだら、こんな気分かな……。
トランは、恐怖のあまり、全速力で逃げていく。
怜悧なるディーバちゃんよりも、怜悧なる判断だ。
名ばかりの怜悧なるディーバちゃんは、逃げられず、背後を振り向くほかない状況に陥っている。
ボクが振り向くと、そこには濃い霧が立ちこめていた。
霧はやがて濃度を増して、具象化していく。
具象化した先に待っていたのは、太古のヴァンパイアだった!
一目見ただけで、背筋が凍りつく恐ろしい姿をした彼こそ、この地下堂のあるじ、ソーサラー・ヴァンパイア・キングのヴァクシュミだった。
要約すると、ボクの血を吸いに来たと語るヴァクシュミに対して、ボクができることは、ただ一つ。
《わたしをどこかへ…》の呪文を唱えるだけなのだが、魔力がたりない!
終わった……。
Tamam Shudだよ……。
「言い残すことはないか、ちっぽけな魔術師よ?」
ヴァクシュミは、いたぶるように微笑を浮かべながら、弱者の最期のあがきを嬉々として待ちかまえる。
「血を吸われてヴァンパイアの下僕となるなら、男とは思えない妖しい色気と透き通るような白い肌と輝く金髪を持つ魅力度カリスマ級の吸血鬼の下僕がよかっ……」
「もうええわ」
世にも珍しいヴァクシュミのイラッとした声を最期に、ボクは血を吸われ、意識は闇の底へと沈んでいった……。


8:怜悧なる目覚め

目が覚めると、地下堂の一室の石棺の中にいた。
新入りの下僕風情のために、わざわざ部屋と石棺をお与えくださるとは、ヴァクシュミ様は、マジ王様。キングの中のキングだよ!
しかも、ヴァンパイアになったおかげで、魅力度も上がり、ボンキュッボンのナイスバディになった!
ヴァクシュミ様、最高!
ヴァクシュミ様、万歳!
さらには、召集をかける以外は好きなことをしてもいいとは、なんて寛大なんだろう!
カザンの魔術師組合よりも、ずっと労働条件がいいや!
ボクは、すがすがしい気分で、地下堂を出た。
夜空には、赤い三日月がのぼり、吸血コウモリ達が群れをなしてはばたく音が聞こえる。
こんな美しい夜は生まれて初めてだ。
おや、新鮮な血のつまった皮袋がパーティーを組んでやってきたぞ。
さっそく襲撃だ!
皮袋達は、ボクを見るなり、いっせいに攻撃をしかけてきた。
「無駄無駄無駄ァーッ!!」
ボクは、すかさず反撃する。
呪文は覚えているし、魔法の力は上がっているから、あっという間に皮袋どもを戦闘不能にできた。
「頼む……命だけはお助けを……」
何か言っているけど、関係なし!
いっただきま~す!

(完) 

子ども食堂 かみふうせん

子ども食堂 かみふうせん

 

 ※『子ども食堂かみふうせん』ではRPGが重要な役割を果たします!

東海大学文芸創作学科2020年度春学期シラバス(幻想文学・SF論)

 今年度も東海大学文芸創作学科での非常勤講師として勤務します。以下、利便性を鑑み、シラバスをこちらにも公開しておきます。

 

2020年度 春学期  
授業科目名 「サブカルチャーと文学」
曜日 時限 水-4
テーマ 「反サブカルチャー」としての幻想・SF論
キーワード 幻想文学・SF 現代詩 批評


【授業要旨または授業概要】

 シラバス編成の都合上、本講義タイトルには「サブカルチャー」と掲げられていますが、講師はこの水曜4限の講義を「幻想文学・SF論」と呼ぶことにしています。
 本講義(幻想文学・SF論)では、古典と現在の幻想文学、とりわけ英語圏からの翻訳作品を徹底的に読み込むことを重視します。課題のテクストを、時には声を出して精読していきながら、その表現されている細部を身体レベルで自家薬籠中の物としていきます。
 というのも、いま、創作や批評を試みるにあたって、もっともネックになるのが、絶対的な読書量の不足なのです。ただ、やみくもに数をこなせばよいというわけではありません。プロの作家や書評家でも、作品の読み込み、全体的なパースペクティヴの提示、状況への批評意識の三つを兼ね備えている人は少ないのが現実です。
 しかしながら、複雑化する現実を、既存のリアリズムでは捉えきれなくなっている現状は確かに存在します。幻想文学やSFの講座は英語圏では普通に存在しますが、日本では限られた大学でしか講じられていません。それゆえ、これらの方法を身に着けていれば、並み居る(広義の)作家志望者たちから、一歩抜きん出ることが可能になるでしょう。実際、過去の受講生のなかには、講師の監修のもと、商業芸術批評誌においてデビューを果たした者もいます。
 大学で講じられる文学の多くは、戦前から戦後まもない時期に確立されたカノンに基づいており、それ以外は「サブカルチャー」として周縁に追いやられがちなのですが、本講義はそのような立場を採りません。
 大学生ならば知っていて当然である世界文学の古典と連関させながら、古典とみなされていないテクストをも貪欲かつ批評的に解釈していきます。その意味で、本講義は「幻想文学やSFを媒介とした“反”サブカルチャー論」と言うのが正確でしょう。このことは、講義内でも絶えず強調していくので、忘れずにいてほしいと思います。
 講師は現役の幻想文学・SFについての評論家・編集者・ゲームデザイナー・現代詩作家として活動しているため、現場で得られた知見も随時伝えていきます。

 同名の講座が水曜3限・水曜4限で展開されます。意欲のある受講者は、両方の受講も歓迎します(ただし、単位は片方しか出ません)。既習者の受講も歓迎します(自由聴講扱いとなります)。

<実務経験のある教員による授業>


【学修の到達目標】
・日常的に接する文化環境に対しての批判的な視座を持ち、そのルーツを探り新たな表現を産むために必要な(最低限の)知識と好奇心を涵養します。
・文学を中心にしつつ、哲学・歴史学・美学といった人文科学についての基本的な知識をも習得します。
現代文学とSF・ミステリ・幻想文学の各「ジャンル」で蓄積されてきた批評理論の基礎を習得します。・カルチュラルスタディーズ、ジェンダーポストコロニアル理論といった、文化批評の基礎を習得します。
・批評の執筆の基礎をも学ぶことで、学術的な視座の批評や創作へ応の応用を目指します。


【授業計画】
◆スケジュール
<注意:水曜4限では、幻想文学・SFの講読と批評を中心に学習します。水曜3限と4限では、授業内容が異なります>

 映像資料の分析も交えますが、基本的には小説・批評を講読していきます。
 本気でプロの物書きになりたい人は、大いに歓迎します。前期履修者の継続出席、他学部・他学科からの聴講も歓迎しますが、途中で離脱するケースが多いので、いちどやると決めたら、最後まで受講することを推奨します。さもなければ、身につきません。
 しばしば誤解されるのであらかじめお断りしておきますが、「サブカルチャー」と授業名に冠されているからといって「ラク」というわけではありません!
 今期はウイルス禍のため、遠隔講義となります。学生とより密な連絡をとり、柔軟に変更していきますので、各種連絡を聞き漏らさないようにしてください。
 動画共有ソフトの活用も視野に入れますが、まず重視するのは「読むこと、書くこと」です。このことを重視に、メール等での課題提出を例年以上に重視していきます。


<※2019年度後期(秋学期)の内容を、参考までに以下に示します。受講生の関心や状況に応じ、随時変更を加えていきます。教室での指示を聞き逃さないようにして下さい>

1:批評的読解の訓練
グスタフ・マイリンク「鏡像」および「白昼夢」を、ともに垂野創一郎訳で輪読

2:SF詩入門
・林美脉子『黄泉幻記』より、「凍沱の河口」ほか巻頭3編の輪読

3:怪物表象の分析
岡和田晃「『幻獣辞典』と〈怪物〉をめぐる解釈学」をベースに、怪物表象について考察。
・林美脉子『黄泉幻記』より、「呪い唄」「屍口門」「飛ぶ水礫の国道十二号線」「暁の聲」を輪読

4:形而上詩入門
・林美脉子『宙音』より「黄泉幻記」、武子和幸『ひとつ火燭して』より「イーシス」他、『黄泉幻記』より「非の渚」他を輪読

5:言語ゲーム幻想文学
・田名部信の詩「√ n」でハイデガーソシュールを扱う部分を確認し、「死」への考察からウィトゲンシュタイン言語ゲーム論を解説
・武子和幸の詩集『懸崖の風景』より、「飛翔」を輪読
・『黄泉幻記』より、「夷の国神呪――幎布の巻」、「月楼」、「黄泉幻記」と、全体を講読

6:「悪」という表象の分析
・M・ホフマン・プライス「クルディスタンの異邦人」(岡和田晃訳)を輪読
・ポール・ヘインズ「マレクの復活」(岡和田晃訳)を輪読

7:現代思想幻想文学批評
古川日出男が朗読した、吉岡実「わが馬ニコルスの思い出」と、三好達治「駱駝の瘤にまたがって」に触れる
ウィリアム・フォークナーカルカッソンヌ」(岡和田晃訳)を講読

8:思弁的実在論とSF批評
ドゥルーズガタリ『アンチ・オイディプス』を軸に、グレアム・ハーマン等の思弁的実在論にふれる
9:ゲスト講師・奥間埜乃先生特別講義
ゲスト講師として現代詩作家・編集者の奥間埜乃先生をお招きし、朝吹亮二・今野和代・古賀忠昭らの技巧を確認。学生からの事前質問にお答えいただいた後、『掠れた曙光』『さよなら、ほう、アウルわたしの水』の朗読会を開催

10:比較文学の基礎
・タラ・イザベラ・バートン「レオポルトシュタット街のゴーレム」(待兼音二郎訳)と、E・F・ベンスン「理解」(八十島薫訳)を比較して読む

11:宗教的寓意の読解
・リン・カーター「いかにしてアドラズーンの都は審判の日を迎えたのか」(岡和田晃訳)を輪読

12:「世界内戦」とテロル
仁木稔「ガーヤト・アルハキーム」を輪読

13:「グロテスク」論序説
コナン・ドイル「大空の恐怖」(田村美佐子訳)を輪読
・ニール・ローズ『エリザベス朝のグロテスク』(上野美子訳)を輪読

14:美学理論の基礎の確認
・都築由浩「CSI MARS」を題材に書き手視点での「小説の読み方」を考える
・クリスチャン・ライリー「山の中へ、母なる古齢の森の中へ」(大和田始訳)を輪読

 

◆予習・復習
 毎回、前回の講義で課題に指定されてきたテクストを読んできて下さい。
 毎回のフィードバックと、途中で行う小レポートのために、ハードな予習復習が必要となります。
 また、最終的には書評SNSに登録して批評を書くのですが(匿名登録可能)、講義を離れても一般読者の評価に堪えるだけの作品を書けるようになるため、各種コンテストへの積極的な応募も推奨します。

予習:講義で指示された課題について構想を練り、具体的に批評文を執筆し、講義前日12:00までに提出する(100分)

復習:講義での講評に従い、批評文を改稿し、さらに完成度を高めていく(100分)

【履修上の注意点】
 講義の際には、相当分量の論文や小説を読み進めていくことになります。関連して文献も紹介しますが、少々難解かもしれない理論も含まれます。講義へのフィードバックを毎回記入してもらい、それを講師が講義内容へ反映させていきます。その他、双方向的な講義になりますので、積極的な協力・参加が求められます。期末レポートのほかに、中間レポートがあります。

 

【成績評価の基準および方法】
 評価のポイントは、以下の4点です。

1)取り扱った作家・作品の内在的特性が理解できているか(約20%)
2)作品の周辺に存在する文脈が理解できているか(約20%)
3)テクストへ積極的に取り組み、読解・創作ができているか(約40%)
4)批評的であることの意義が理解できているか(約20%)

 毎回、フィードバックシートへの記入を行ってもらい、それを小テストの代わりとします。それとは別に、期末レポートを課します。なお、レポート執筆の際にWikipediaを参考資料に用いることを禁止します。代返等・コピペ等の不正行為に関しては厳正に対処します。各種文章がしっかり書けていることは、評価の前提条件とします。
 上記の学習目標が達せられているかどうかを、フィードバックを含む出席点(40点)、レポート(60点)、のウエイトで評価して総合的に判定します。具体例として、その合計が90点以上をS評価、80点以上90点未満をS評価、70点以上80点未満をB評価、60点以上70点未満をC評価とします。
 ただし、出席回数が7割未満の場合、この限りではありません。

 なお、2019年度後期(秋学期)のレポートは、書評SNS「シミルボン」を活用し、「文学」と「SF」の間にあるようなスリップストリーム作品について、長い批評を執筆するというものでした。
 最優秀作を、以下に公開しています。参考までにご覧ください。
https://shimirubon.jp/reviews/1698553


【教科書・参考書】
区分 書名 著者名 発行元 定価
教科書 「ナイトランド・クォータリーVol.20 バベルの図書館」   アトリエサード/書苑新社 1700
参考書 掠れた曙光 岡和田晃 書苑新社 1000


【その他の教材】
 「TH(トーキング・ヘッズ叢書)」には、2020年刊行のVol.81ほか、本講義のOGである、関根一華さんの批評が、頻繁に掲載されています。
 その他、講義内で随時指示していくので、聞き漏らさないようにしてください。

 

【教員との連絡方法】

 akiraokawada@gmail.comで事前にアポイントを取ってください。

 初回授業終了時に、自己紹介のメールを送ってください。

 

東海大学文芸創作学科2020年度春学期シラバス(ゲームデザイン論)

 今年度も東海大学文芸創作学科での非常勤講師として勤務します。以下、利便性を鑑み、シラバスをこちらにも公開しておきます。

 

2020年度 春学期  
授業科目名 「サブカルチャーと文学」
曜日 時限  水-3
テーマ 「反サブカルチャー」としての文学的ゲームデザイン入門
キーワード  ゲームデザイン シナリオ創作 文芸評論

 

【授業要旨または授業概要】

 シラバス編成の都合上、本講義タイトルには「サブカルチャー」と掲げられていますが、講師はこの水曜3限の講義を「ゲームデザイン論」と呼ぶことにしています。
 本講義(ゲームデザイン論)では、現役でゲームデザイン/ゲーム研究の現場で活躍している教員の指導により、創作の一環として、古くて新しい表現形式であるところのゲーム、とりわけストーリーゲーム/ナラティヴゲームと呼ばれるものを実際に創作することを目指します。
 過去の受講生たちは、ロールプレイングゲームのシナリオやソロ・アドベンチャーをデザインしたり、あるいはリプレイ小説を書いたりしてきました。シナリオのなかには講師が監修のうえでリライトし、商業誌への掲載を果たしたものもあります。
 しかしながら、創作には必ず発想の源泉となる教養が必要です。そのため、古典的な幻想文学・SFの実作や文学理論を、時間をかけて講読することで、土台の構築をしていきます。
 また、巷では「ゲーム」というと、日本製の“アニメ・漫画・ゲーム”という粗雑なくくりに置かれ、のみならず、それらが語られる際には、従来「文学」とされてきた領域を敵視して「日本」の文脈に閉じこもることがままあるのですが……本講座はそういった“クールジャパン”的な文脈とは基本的に無関係です。
 むしろ、この講義では「世界文学」との連関性を重視し、その一環としてゲームを捉えています。真に“クール”なのは、ゲームを「サブカルチャー」として居直らない姿勢だと考えるからです。その意味で、本講義は文学を媒介とした“反”サブカルチャー論」言うのが正確でしょう。このことは、講義内でも絶えず強調していくので、忘れずにいてほしいと思います。

 同名の講座が水曜3限・水曜4限で展開されます。意欲のある受講者は、両方の受講も歓迎します(ただし、単位は片方しか出ません)。既習者の受講も歓迎します(自由聴講扱いとなります)。

 ※より詳しくは、続けて【授業計画】の項目をご参照ください。

<実務経験のある教員による授業科目>


【学修の到達目標】
・日常的に接する文化環境に対しての批判的な視座を持ち、そのルーツを探り新たな表現を産むために必要な(最低限の)知識と好奇心を涵養します。
・文学を中心にしつつ、哲学・歴史学・美学といった人文科学についての基本的な知識をも習得します。
アリストテレス以降の古典的な文学理論を習得します。
・カルチュラルスタディーズ、ジェンダーポストコロニアル理論といった、文化批評の基礎を習得します。
ゲームデザインクリエイティヴライティングの基礎をも学ぶことで、学術的な視座の批評や創作へ応の応用を目指します。
・学術的なゲーム研究の基礎を習得します。

 

【授業計画】
◆スケジュール
<注意:水曜3限では、ゲームデザインを中心に学習します。水曜3限と4限では内容が異なります>

 ブロンテ姉妹が架空の王国を創造して「ごっこ遊び」を展開した19世紀から、21世紀、スマートフォンを駆使したAR(拡張現実)ゲームまで、ストーリーゲームは多様な形態が存在しています。
 あるいは、史学的なシミュレーションの一環としても、プロイセン帝国期の「クリークシュピール」から現在のシリアスゲームに至る、ウォーゲーミングの方法論というものも連綿と存在しています。

 そこで本講座では、ゲームと「文学」が交錯したわかりやすい事例として、会話型(テーブルトーク)のロールプレイングゲーム、あるいは関連したゲームポエムやウォーゲーミング等を中心に扱います。
 ただし、規範として意識するのは、国内に留まらず海外の(主として英語圏の)作品です。

【従来は、文献講読とストーリーゲームの体験を前半回での講義では組み合わせて行い、後半回の講義では本格的なワークショップで実際にゲームをプレイするという形をとっていました。
 しかしながら、今年度はコロナ・ウイルス禍の影響で、直接対面でのワークショップが困難です。また、昨年後期は講師がグランドマスターとなることで、受講生がゲームマスターとして主宰する5~6卓ほどの卓を捌いていましたが、残念ながら、今期は受講生の人数が未知数です。
 少人数の場合は、各種ツールを駆使して、遠隔での形となりますが、講師がゲームマスターを担当するワークショップを介して、実際に創作のための経験を積んでもらいます。
 多人数の場合は、ゲームデザインの基礎的文献の講読中心に、研究や創作に必要な教養の基礎を身につけることを目指します。
 学生の志向性に合わせ、ナラティヴ・ベースのデザインによるゲームか、シミュレーション性に重きを置いたデザインなのか、それぞれ調整して焦点を合わせていきます。
 いずれにおいても、動画共有ソフト等の活用も視野に入れますが、例年以上に、授業外での課題製作とメール等での提出を重視することになります】

 文学研究や文芸批評の方法論を軸に、学術的なゲーム研究における最新の成果も紹介しながら、他ジャンルにまたがる普遍的なストーリー構造や、原型となる神話素、「語り」をはじめとした表現スタイルの微妙な差異などを検証することで、総合的な教養を培うことが目標です。
 本気でゲームや小説の仕事につきたい人は、大いに歓迎します。講師の仕事も講義内でその都度、紹介し、現場の空気を知ってもらうきっかけといたします。
 しばしば誤解されますが、「サブカルチャー」と授業名で冠されているからといって、「ラク」というわけではありません!
 過去履修者の継続出席、学部・他学科からの聴講も歓迎しますが、途中で離脱するケースが少なくないので、いちどやると決めたら、最後まで受講することを推奨します。さもなければ、実になりません。

<※2019年度後期(秋学期)の内容を、参考までに以下に示します。受講生の関心や状況に応じ、随時変更を加えていきます。講義内での指示を聞き逃さないようにして下さい>

1:オリエンテーション~ゲームポエム入門
・ガイダンス
・ゲームポエム(ナラティヴ・デザインをベースにしたRPG)に親しむことを目的に、「光より遅く」をプレイする

2:中世のロマンスと近代文学
・中世騎士道ロマンスと近代文学の違いを、セルバンテスドン・キホーテ』を軸に紹介
・ノルマンディー上陸作戦を題材にしたゲームポエム「カレーの陣地」をプレイし、歴史学とシミュレーションの関係を確認する

3:モダン・ファンタジー入門
ロード・ダンセイニ「カルカッソーネ」(山田修訳)を講読し、モダン・ファンタジーの基礎を学ぶ
ノーベル賞作家ペーター・ハントケにインスパイアされたゲームポエム「プレイヤー罵倒」(講師のデザイン)をプレイし、プレイヤーとキャラクターの違いを理解する

4:本格RPG体験ワークショップ(1)
・アナログとデジタルが交差した地点にあたるRPGのあり方を知るため『ウィザードリィRPG』(BOX版)のキャラクターメイキングを体験
・『ウィザードリィRPG』の戦闘ルールを確認

5:本格RPG体験ワークショップ(2)
ロールプレイングゲームの歴史に触れる
・『ウィザードリィRPG』をプレイし、実際に古典シナリオ「狂王の試練場」で冒険する

6:本格派RPG体験ワークショップ(3)
古川日出男『アラビアの夜の種族』等、RPGの影響を受けた現代文学に触れる
・『ウィザードリィRPG』で「狂王の試練場」地下1階を踏破する

7:ヒロイック・ファンタジー入門(1)
幻想文学史、とりわけヒロイック・ファンタジー史の実際に触れる
ヒロイック・ファンタジーの代表作の一つであるマイクル・ムアコック「夢見る都」を鏡明訳で講読

8:ヒロイック・ファンタジー入門(2)
マイクル・ムアコック「夢見る都」講読の続き

9:ゲームマスターGM)体験
・1 on 1 専用RPG『ピークス・オブ・ファンタジー』のサンプル・シナリオを、実際にGMとして運用する

10:オリジナル・キャラクターのデザイン
・過去の受講生が書いた『ピークス・オブ・ファンタジー』のシナリオを実際にプレイする
・1975年が初版の古典的RPGの最新版『トンネルズ・アンド・トロールズ完全版』(T and T)を軸に、オリジナルのキャラクターをデザインする

11:ソロ・アドベンチャーと多人数用アドベンチャー(1)
・T and Tソロ・アドベンチャー「魔法の酒樽を取り返せ!」(「Role and Roll」Vol.177、講師のデザイン)をプレイする
・「魔法の酒樽を取り返せ!」を多人数用にアレンジした「〈黒のモンゴ-〉の塔ふたたび」(『傭兵剣士』所収、講師のデザイン)をプレイする

12:ソロ・アドベンチャーと多人数用アドベンチャー(2)
・T and Tのソロ・アドベンチャー「廃都コッロールのトークティパス」(「Role and Roll」Vol.183、講師のデザイン)をプレイする
・T and Tの多人数用シナリオ「廃都コッロールのヴァンピレス」(「ウォーロック・マガジン」Vol.6、講師のデザイン)をプレイする

13:オリジナル・シナリオの創作(1)~地図から考える
・「ウォーロック」Vol.26の「カザンの戦士たち」を題材に、地図からシナリオを作る方法を考える

14: オリジナル・シナリオの創作(2)~設定情報から考える
・学生提出の『ピークス・オブ・ファンタジー』の設定を検討し、ディヴェロップメント(改良)を行う
・実際にオリジナル・シナリオの素案を作る

 

◆予習・復習
 ゲームデザインは場数を踏まなければまったくシナリオが書けません。ソロ・アドベンチャーや多人数用アドベンチャーを積極的にプレイしてみてください。
 創作は研究あってこそ成り立ちます。幅広い人文科学的素養も必要です。講義で指示した文献を確実に消化してください。
 各種フィードバックを含め、授業外でも積極的な学習が求められます。これを怠るとレポートが書けず、挫折を余儀なくされることになります。

予習:講義内で指示された課題をこなし、講義前日12:00までに提出する(100分)

復習:講義内での指摘を中心に作品を書き直し、また講義外でテストプレイの機会を確保し、ディヴェロップメント(改良)を行う(100分)

 

【履修上の注意点】
 講義の際には、相当分量の論文や小説、各種ルールを読み進めていくことになります。関連して文献も紹介しますが、少々難解かもしれない理論も含まれます。自前でのゲーム会の運営など、授業外でも相当な努力が必要になります。講義へのフィードバックを毎回記入してもらい、それを講師が講義内容へ反映させていきます。その他、双方向的な講義になりますので、積極的な協力・参加が求められます。

 

【成績評価の基準および方法】
  評価のポイントは、以下の4点です。

1)ゲームデザインという作業の特性が理解できているか(約20%)
2)作品の内実や、周辺に存在する文脈が理解できているか(約20%)
3)課題へ積極的に取り組み、読解・創作・論文執筆ができているか(約40%)
4)批評的であることの意義が理解できているか(約20%)

 毎回、フィードバックシートへの記入を行い、それを小テストの代わりとします。それとは別に、期末レポートを課します。なお、レポート執筆の際にWikipediaを参考資料に用いることを禁止します。代返等・コピペ等の不正行為に関しては厳正に対処します。各種文章がしっかり書けていることは、評価の前提条件とします。
 上記の学習目標が達せられているかどうかを、フィードバックを含む出席点(40点)、レポート(60点)、のウエイトで評価して総合的に判定します。具体例として、その合計が90点以上をS評価、80点以上90点未満をS評価、70点以上80点未満をB評価、60点以上70点未満をC評価とします。
 ただし、出席回数が7割未満の場合、この限りではありません。

 なお、2020年度後期(秋学期)のレポート課題は、RPGのシナリオをデザインするという試みでした。しかし、今期は論文形式へ変更する可能性もあります。指示を聞き漏らさないようにしてください。

 

【教科書・参考書】
区分 書名 著者名 発行元 定価
教科書 「ウォーロック・マガジン」Vol.7(4月末発売予定)※その後、5月8日発売になりました。   グループSNE/書苑新社 1800
参考書 エクリプス・フェイズ ロブ・ボイル/岡和田晃他訳 新紀元社 7500


【その他の教材】
ウォーロック・マガジン」Vol.5(グループSNE/書苑新社)掲載、岡和田晃/豊田奏太「ドルイドの末裔」(2018年度の最優秀レポートを、受講生の同意のもとに講師が商業水準まで徹底改稿した作品です)。本講義の一つの成果として参考になさってください。
 その他、講義内で随時指示します。

 

【教員との連絡方法】

  akiraokawada@gmail.comで事前にアポイントを取ってください。

 初回授業終了時に、自己紹介のメールを送ってください。

 

「小説トリッパー」2020年春号の永江朗「「ヘイト本」について考える10冊」で『反ヘイト・反新自由主義の批評精神』が紹介

小説トリッパー」2020年春号の永江朗「「ヘイト本」について考える10冊」で、『反ヘイト・反新自由主義の批評精神』について、取り上げていただきました。永江さんのお仕事は大学生の時から親しんできました。こうして『私は本屋が好きでした』と共闘でき、とても光栄です。

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小説 TRIPPER (トリッパー) 2020年 春号 [雑誌]

小説 TRIPPER (トリッパー) 2020年 春号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/03/18
  • メディア: 雑誌
 

 

形而上詩誌「白亜紀」156(2020.2)にて、岡和田晃詩集『掠れた曙光』が紹介

形而上詩誌「白亜紀」156(2020.2)にて、岡和田晃詩集『掠れた曙光』をご紹介いただきました。次号、作品も送ってありますので、掲載されると思います。

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