『D&D』の広大な世界 - Flying to Wake Island 岡和田晃公式サイト（新）

　さて、『Role&Roll』別冊『Role&Roll Extra Lead&Read vol.1』に45ページオーバーという破格の分量にて掲載された、私の手になる『ダンジョンズ＆ドラゴンズ』のエベロンを舞台にしたリプレイ
「Secret Struggles in Sharn」
　ですが、なんとも畏れ多いことに……。

　各種ルールブック・サプリメントの翻訳や、ヒロイックなキャラクターのガチバトルが楽しいリプレイ『若獅子の戦賦』で知られる柳田真坂樹（id:D16）さん、
［http://d.hatena.ne.jp/D16/20080131/p1］

　『若獅子の戦賦』にもプレイヤー参加され、日本オリジナル設定の『君の作る街、トーチポート』でも名高い石川雄一郎さん、
［http://4thcage.blogspot.com/2008/01/cm_26.html］

『ダンジョンズ＆ドラゴンズ　オンライン：ストームリーチ』の日本語版公式サイトで小説『強き戦友（とも）との旅立ちに』を連載されていた市川丈夫さん、
［http://sideway-shiffle.cocolog-nifty.com/wargamer/ddd20/index.html］

　以上のお三方にそれぞれ、ご自身のブログにて拙リプレイを紹介していただきました。
　若輩の身には余る光栄です。本当にありがとうございます！

　そういえば、なんで私のような者がリプレイを書いているのかと申しますと……。
　『D&D』って、よい意味でものすっごく巨大なシステムだと思うからなのです。「巨大」と言うと、ひょっとするとマイナスイメージを持たれるかもしれません。が、全然、そんなことありません。
　「簡単だけど、奥が深い」、「色々な舞台やルールを使って、長く遊べる」とまあ、そんな感じだと思って下さい。だから、『D&D』の楽しさ、深さを知ってもらうためには、リプレイにしろ小説にしろ、さまざまな切り口から、具体的な遊び方を伝えてくれる媒体がもっと増えてもよいのではないか、と考えたのです。

　たとえば、ひとえに『D&D』のリプレイと言っても、柳田さんや石川さんが関わっておられる『若獅子の戦賦』は、今風の味付けが楽しいのはもちろんですが、『D&D』で「騎士道物語」をプレイしようという、高邁な志が読む者に伝わってくる好リプレイだと思います。
　おそらく柳田さんは、『アーサー王の死』だとか『狂えるオルランド』だとか、『アマディース・デ・ガウラ』だとか、騎士道物語の古典をちゃんとご存知なのではないでしょうか。私は高校のときからセルバンテスを愛読しているので、騎士道物語には弱いんですよね。

　一方で、今回私が書いた「Secret Struggles in Sharn」の舞台となっているワールド「エベロン」は、あえて古典ファンタジーの流れとは異なるものを求めた仕様となっています。もちろん、『D&D』なハイ・ファンタジーな世界観がベースになっていますが、ある種のエクゾティシズムが強調されているというわけです。
　私自身、オールドタイマーなので、いわゆる『D&D』っぽいファンタジーは死ぬほど好きなのですが、いまはそこから一歩別な方向に踏み出したバージョンもあり、その代表例がエベロンだということですね。エベロンは斬新な世界なので、『D&D』を「昔ながらのファンタジー」だとか感じている方は、びっくりされること請け合いです。
　だって、『インディ・ジョーンズ』や、レイモンド・チャンドラーのミステリみたいな世界なんですよ？　てなわけで、シナリオも、どこかスチームパンク／サイバーパンク風の、モダンな装いを意識したものになっています。