シルバーネイルと嵐の戦士


 さて、ジャック・ヨーヴィルことキム・ニューマン氏の邦訳新刊、『シルバーネイル』(HJ文庫G)を読んだわけですが、面白すぎるよこれ!
 細部の描写がいちいちツボ。僕は3年前くらいにバルザックを4冊くらい熱心に読んで、小説のキモは細部にあるということを学んだけれども、その細かな部分の悪乗りが最高にイカすのである。ニヤニヤ笑いが止まらない。
 俺が死ぬときは、オールド・ワールドで死にたい! アルトドルフを見てから死ね、みたいな(意味不明)。


 あと、かつて社会思想社が出していた『ウォーハンマーRPG』小説である、吟遊詩人オルフィーオ三部作を少しずつ読み直していた。 これ、密かにかなり面白いですよ。
 2巻の『いまわしき死の使い』とか、ゾクゾクしますね。
 この前、オールド・ワールドにおける「混沌」の位相について盛り上がったことがあるのだけれども、いかにして人が堕落するか、という「混沌」の入り込み方やじっとりと語られる悪の哲学が、素晴らしい。
 加えて、物語のはじめと終わりに差し込まれるオルフィーオとカリフのまったりとした講評がじんわりと感動を呼ぶ。
 3巻の『嵐の戦士』は7年ぶりに読み返したけど、これは、ウェールズの伝説集『マビノギオン』に多くをよっていますね。やはり。ケルトとキリストのモチーフが前面に出ている。


 ちなみに、オルフィーオ三部作の作者は「B・クレイグ」となっているけれども、その正体は知る人ぞ知るSF作家ブライアン・ステーブルフォード。最近、彼のSFを1冊手に入れたので、面白かったらここに書くかもしれません。

ウォーハンマーノベル シルバーネイル (HJ文庫G ジ 1-1-4)

ウォーハンマーノベル シルバーネイル (HJ文庫G ジ 1-1-4)

吟遊詩人オルフィーオの物語〈2〉いまわしき死の使い (現代教養文庫)

吟遊詩人オルフィーオの物語〈2〉いまわしき死の使い (現代教養文庫)