DVDで映画『無敵艦隊』を観る。1937年イギリス。原題は"FIRE OVER ENGLAND"。
1588年のアルマダ海戦で、ドレークがスペインの「無敵艦隊」(蔑称らしい)を破ったという歴史的な事件をモチーフにしている映画だ。
ロード・ローレンス・オリヴィエとビビアン・リーの馴れ初めとなったことで有名な作品だが(この後オリヴィエはアメリカに渡り、ビビアン・リーも彼を追いかけてハリウッドに進出したという)、それとは別に、16世紀ヨーロッパに関心がある身としては、アルマダ海戦がどのように撮られているのかが気になっていたので、観てみた。
アルマダ艦隊自体は実際に原寸大のセットを創ってあったようだが、あまり派手な動きはしていない。夜闇に紛れて火を放つという、『三国志』みたいな計略が描かれるのみ。
代わりに強調されるのは、間諜戦だ。
現に、間諜としてのロード・オリヴィエは、スペイン国王フェリペ2世の宮殿に替え玉として潜入するなど、大活躍する。一方、ビビアン・リー扮する、エリザベス1世に仕える侍女は、まるでブロードウェイでかかってそうな『赤毛のアン』のごとき、いかにもな「夢見る少女」的な動きをし、篤実な乙女をうまく演じきっている。
しかし、彼らはあまりにも「綺麗、綺麗」で、欲を言えばちょこっと物足りない。そういう時代の映画なのだろうが。ロード・オリヴィエの顔とか、男前過ぎるよ。
それもそのはず。この映画では、ロード・オリヴィエもビビアン・リーも所詮は脇役だ。「綺麗、綺麗」な壁の花。
そう、当時のイギリスの大女優、フロラ・ロブスン演じるエリザベス1世こそが、映画『無敵艦隊』の真の主役なのであった。
ものすごく、はまっている。
僕はまだ『エリザベス・ゴールデンエイジ』はチェックしていなくて、古い方の『エリザベス』しか観ていないのだけれども、残念ながらケイト・ブランシェットよりも、数段フロラ・ロブスンの方が迫力ある気がする。
プレートメイルを着こんで前線に出て、アルマダ海戦の指揮を執ったり、スペインとの内通者を一喝して黙らせたりする婆さん女王というのは、ちょっと類を見ない。かっこいいね!
あと、些細なことだが、レイピアとダガーの二刀流というのは、RPGではよく見る組み合わせなのだけれども、実際に映像で目にしたのははじめてだった。スペイン宗教戦争の現物が出てくるところも、ポイント高し。
なお、ほか、アルマダ海戦を描いた映画には、『海賊魂』(1962)という作品があるという。かなり気になるところだ。
- 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
- 発売日: 2006/12/14
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