西岸の魔術師たちが挑戦状を突きつけてきた!
ということで、色々と不義理をやらかして時間をつくり、無理やり『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の発売されたばかりの第4版をダンジョンマスターとして遊んできました。
クイックスタートキット(15ページ弱のルール)とサンプル・キャラクターのついた、"Keep on the Shadowfell"という、90ページ弱のシナリオ集のさわりを遊び、4thならではの設計思想を考えてみたいと思ったわけです。
基本ルール3冊も届きましたが、まずはShadowfellから出発。
Keep on the Shadowfell: Adventure H1 (D&D Accessory)
- 作者: Bruce Cordell,Mike Mearls
- 出版社/メーカー: Wizards of the Coast
- 発売日: 2008/05/20
- メディア: ペーパーバック
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プレロールド・キャラクター(ドワーフのファイター、ハーフリングのローグ、ハーフエルフのクレリック、人間のウィザード、ドラゴンボーン(竜人めいた種族)のパラディンの5名に加え、英語版オフィシャルサイトから落としてこられるティーフリングのウォーロードを入れた6名でパーティを編成し、大規模な遭遇を2回遊びました。
プレイヤーは、「Secret Struggles in Sharn」でお馴染みカーコロ・ヴァレンダイン・ド=タラシュク氏(理系マンチキン)と「セルグの方」(文系マンチキン)、ソード・ワールド好き、TRPGそのものの初心者、ヴィジュアル系の美大生、ゲームデザイナー志望の青年というばらばらの編成。
簡単なサマリーを用意したものの、ルールチュートリアル+遭遇2回遊んで、かかった時間は3時間半くらい。キャラクターシートは英語のままだったけど、さほどひっかからなかったのは驚きです。
途中、レベルアップを挟んだのですが、思ったより相当早く回って、びっくり仰天。
あらかじめルールを読んでいたときは、「これ、ほんとに面白いのか」「単純すぎやしないのか」と不安がよぎって仕方がありませんでした。
でも、蓋を開けてみれば「ゲーム」としては回る、回る。プレイヤーの習得率も異常に早い。展開は非常にダイナミック。1レベル時から、動き方は『D&D』3.5版の7レベル時みたいなものとなっております。それもこれも、誰でも無尽蔵に撃てるPowerのおかげでしょう。
とは言っても、グリッドマップ上のテクニカルな動きに沿っており、さほど理不尽というか少年漫画みたいな印象は受けない。
きちんと格闘級シミュレーションゲームしていて、そこはかなり満足したのです。
ゲーム性は劇的に変化している模様。
感触を一言で言えば、
「『D&D』3.5版は、サッカーだった。でも、『D&D』4版はラグビーになった」と感じました。
「『D&D』3.5版は、柔道だった。でも、『D&D』4版はボクシングになった」とも言ってもよいかもしれません。
事前に長考して、エンチャントして、BAFして、それから一発勝利を狙うというゲーム性が、とにかく血路を切り拓き、打撃を浴びつつ、相手のトリッキーな「隠し玉」を少しずつ暴いて行く方向に変わった模様。個人的には、かなり面白かったのです。
ただ、『D&D』の草創期からのこだわりであった、(自然主義的としか言いようのない)リアリズムはばっさり切られている。こうしたシステムの変化が、背景世界や世界観そのものに、どれだけ影響するのかは未知数。フォーゴトン・レルムやエベロンがこれでどう変わるのか、気になって仕方がありません。「Keep on Shadowfell」には、レルムやエベロンへの適応パッチも発表されているので、見てみようと思います。
そもそも『D&D』の面白さとして、システムに付随する世界観が、きちんと明確な因果律を持っており、他のジャンル(例えばSF)に比肩するだけの独創性を持っているというところが大事な要素でしたけれども、Powerの在り方が『D&D』のCosmologyでどう位置づけられるのか。気になるところであります。
やっぱり、RPGは設定を遊ぶものとしての意識が強い身にとっては、『D&D』はハイ・ファンタジーかつトールキン的な方法論で、筋を通してほしいわけなのです。
ちなみにやってみた遭遇は以下の通り。
・遭遇1、Kobold minion×5、Kobold Slinger×1、Kobold Dragonshield×2
(最初の遭遇と同じもの)
・遭遇2、Kobold minion×2、Kobold Skirmisher×4、Kobold Wyrmpriest×1、Kobold Dragonshield×2
(P.29のマップの第2波を軽くしたもの。)