7月31日発売予定の『ミドンヘイムの灰燼』の予約が、Amazon.co.jpをはじめ、さまざまなオンライン書店やゲームショップで開始されています。
- 作者: グレアム・デイヴィス,岡和田晃
- 出版社/メーカー: ホビージャパン
- 発売日: 2008/07/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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『ミドンヘイムの灰燼』とは、『ウォーハンマーRPG』のサプリメントです(基本的には、『ウォーハンマーRPG 基本ルールブック』をお持ちの方向けに書かれている本となります)。
内容は、『ウォーハンマーRPG』の主要舞台となるエンパイアの北の要、“白狼の都”ミドンヘイムの都市設定に、8話よりなるキャンペーン・シナリオ(続きもののシナリオ)を加えたものとなっています。
ミドンヘイムとは、山上にある城塞都市。混沌の軍勢による長期間の包囲を耐え抜いた街です。そのミドンヘイムの解説に、本書の3分の1が割かれているので、必要にして充分なだけの情報量があるものと思います。こうした、『墨攻』などに出てきそうな戦国時代の城下町を思わせる設定というものは、意外と日本語になっていないので、それだけでも読んでみる価値はあります。
なお、シナリオの方は、『ウォーハンマーRPG 基本ルールブック』の付属シナリオ「ドラクヴァルドの森を抜けて」の続編となります。
「ドラクヴァルドの森を抜けて」は、終わった後、「えっ、この続きどうなるの?」と気になって仕方がなくなる類の話でしたが、基本ルールブック出版より1年半、ようやく続編が日本語でお目見えになったという次第です。
ストーリー性が強く、ダイナミックで、キャンペーンの醍醐味を、あますところなく味わえます。
『ミドンヘイムの灰燼』はそれ自体、独立した設定&シナリオとして利用可能なのですが、実はこの『ミドンヘイムの灰燼』、「呪われし道」と題された連作キャンペーンの第1部であり、続く『アルトドルフの尖塔』、『ナルンの高炉』にも、接続が可能となっています。
RPG史上有数の壮大なキャンペーンが、冒険者を待っています。
僭越ながら翻訳は、私が担当させていただきました。
訳語の相談に乗っていただいたり、アドバイスをいただいた翻訳チームの待兼さん、鈴木さん、見田さん、阿利浜さん、ありがとうございました。
編集の方々にも色々、ご指導をいただき、感謝をしております。
本書は『ウォーハンマーRPG』のサプリメントという性質上、やはり『ウォーハンマーRPG 基本ルールブック』をお持ちの方向けの本となります。
しかし、たとえそうではなくても、中世ヨーロッパの文化・風俗・都市の資料に関心があったり、『パフューム』などの歴史を題材とした映画が好きな方には、楽しめる部分は多いでしょう。
もちろん、ジャック・ヨーヴィル『ドラッケンフェルズ』、マイクル・ムアコック『軍犬と世界の痛み』など中世からルネッサンス期のヨーロッパ史を設定に取り入れたファンタジーや、ハインリヒ・フォン・クライスト『ミヒャエル・コールハース』などの古典文学を愛好していたりする方にもお勧めできます。
また、『ウォーハンマーRPG』ではなくとも、街を舞台にしたミステリや探索系の冒険を再現できるルールシステム、例えば『ダンジョンズ&ドラゴンズ』、『トンネルズ&トロールズ』、『クトゥルフ・ダークエイジ』、『ハーンマスター』、『ルーンクエスト』、『ソード・ワールドRPG』、『ローズ・トゥ・ロード』などへは比較的容易にコンバートできると思います。
シナリオ作成のヒントとして、活用することもできるでしょう(都市の資料って、非常に便利ですから)。
というわけで、どうぞ、『ミドンヘイムの灰燼』をよろしくお願いいたします!