『神曲 煉獄編』

 おおっ、出ていた!
 『神曲』を読んでいて驚くのは、僕たちが目にしている風景の、あまりに多くのものがダンテによって規定されていたということに気がつくからだ。中世暗黒時代を過ぎた時代のもので、神話と宗教と文学が交錯する位置にある書物のうち、現代人でもさほど違和感なく読める最初期の本ゆえだろう(それ以前、例えば『農夫ピアスの夢』などはけっこう辛い)。ルネッサンスならではの澄明さが心地よい。

神曲 煉獄篇 (河出文庫 タ 2-2)

神曲 煉獄篇 (河出文庫 タ 2-2)