『ウォーハンマー・コンパニオン』には色々な追加ルールが入っているけれども、なかでもトップクラスに面白い(イカレた)ものに、裁判に関するルールが挙げられる。
これは裁判の結果をランダムで決めるという恐ろしいシステムだ。これだけでもう悶絶する人もいるんじゃないかな(笑)
このシステムを使い、エリス・ピーターズの『修道士カドフェル』あたりを参考資料とすれば、おもしろいミステリ・シナリオも組めてしまいそうだなあ。
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そもそもねえ。いまでいう科学的な分類の思考法がろくに成り立っていないのだから仕方がないでしょ。
魔女裁判の、重い石をくくりつけられて水に沈み「浮かんでくれば魔女だから有罪、沈んで死ねば無罪」なんてものはその典型。
ちょっとでも疑わしいところがあれば「人間には裁けないから神さまにお願いしよう」と神明裁判にかけられたりすることもままあったわけ。
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そして当然ながら、裁判に巻き込まれるのはプレイヤー・キャラクターたちなので、まったく穏やかではないわけだ(笑)
多くのRPGでは、シナリオのクライマックスは戦闘に指定されているものだけど、『ウォーハンマーRPG』の場合は別にそうでなくてもいい。
実際に運用する際のコツとしては、お偉いさん同士が足を引っ張り合うさまをただPCたちが眺めるという、いわゆる「観戦モード」にしないことかな。このあたり、『ミドンヘイムの灰燼』に出てくる裁判のシーンが参考になると思う。
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1:冒頭陳述
対抗〈学術知識:法学〉技能テスト
2;証人喚問
対抗〈察知〉技能テスト
3;最終弁論
対抗〈魅惑〉技能テスト
こういう三段階。で、審理のそれぞれの段階において対抗技能テストを行ない、勝ったほうがその段階では優勢となるわけ。
むろん裁判には不確定要素がつきもの。そんなわけで、もれなく何らかの事件がランダムで起こるので、裁判は思うように進まない(笑)
もちろん、事件表もサプリメントには完備されている。
で、この対抗技能テスト。裁判官を説得できるだけの材料があれば、それぞれのテストにうまくボーナスを上乗せすることができる。反対に、相手に弱みを握られてそれを暴露されると、ペナルティがかかったりする。
シティアドベンチャーでPCたちはたいてい、状況を打開しようと必死になる。このとき、ゲームマスターが往々に陥りがちなのは「口のたつプレイヤーに押し負けること」なのではないかと思う。
もちろんプレイヤーの意見は充分すぎるくらい尊重すべきなんだけれども、押し負ける場合は、プレイヤー全体の意見に負けるというよりも雄弁なプレイヤー一人に圧倒されるケースが多いような気がする。そういう場合は、マスターがヘタレる以上に他のプレイヤーが退屈に思っていたりすることが多いようだ。
こういった事態を打破するためには、裁判で自分たちを有利にするための情報を、ゲームマスターはあらかじめシナリオに散りばめておくのがよいと思う。
プレイヤー・キャラクターは各々のコネクションや情報収集を担当する範囲において、意識して「裁判に勝つための手がかり」を集めるようにすればよいのではないかなあ。
抽象的に言うと難しくなるけど、「貴族」のキャラクターと「屎尿集積人」(「ナルンの高炉」の新キャリア)のキャラクターでは、コネクションの範囲も違うし、得られる情報の質も異なってくる。そういう守備範囲の違いを活かして、裁判を有利にできる材料を、いろいろな角度から集められるようにするのがベストかな。マスターは、ばらまく情報のタイプを、裁判ルールの修正基準を参考に考えてみよう。
裁判の段階によって必要とされる技能はそれぞれ違うので、技能テストも普通はパーティで分担することになると思うのだけれども、テストをしないキャラクターも、仲間を支援するという意味で、事前の情報収集で活躍したり、国会中継でヤジを飛ばす議員さんみたいに大声で割り込んだり(笑) 場合によってはプロレスみたいに相手の陳述に乱入したりするのも面白い。そうして、「お地蔵さん」になるのではなくガンガン、セッションに食い込むのがよいと思う。
もちろん、暴れすぎてはつまみ出されてしまうからご用心!
『ウォーハンマーRPG』は世界観が奥深いわりには自由度が高いシステムなので、工夫次第でいくらでもセッションを面白くすることができる。サプリメントはそのようなネタに満ちているので、ぜひ楽しんでほしい。きっと得るものがあるはずだ。
この裁判ルールの考え方は、『ガンドッグゼロ』のターゲットレンジシステムや、『ダンジョンズ&ドラゴンズ 第4版』の『ダンジョンマスターズガイド』に出てくる「技能チャレンジ」にも応用が利くと思うで、そのあたりに興味がある人も見ておいて損はないはず。
ガンアクションTRPG ガンドッグゼロ (Role&Roll RPGシリーズ)
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