嬉しいニュースが!
サプリメント『クリーチャーズ&トレジャーズ』がPDFで再刊され、かつてホビージャパン社から発売されていたRPG『ロールマスター』日本語版シリーズが、無事完結した、ということです。
・『ロールマスター』って? という方は氷川さんの解説をどうぞ。
http://www.trpg-labo.com/modules/article/index.php?articleid=28
私は『ロールマスター』を母体とした『指輪物語ロールプレイング』派ですので、『ロールマスター』はほとんどプレイできていませんが、それでもRPGの一つの極致とも言えるゲームだという認識はあります。
RPGがコンピュータ・ゲームと大きく異なる点として、ユーザーが自発的にルールを覚え、それを運用していくところが挙げられると思うのですが、そうしたユーザーによるルール運用の醍醐味をじっくりと教えてくれるのが『ロールマスター』というシステムであると考えています*1。
少なくとも、「痛打表」を振る際の、痛打の内容を読み上げる際の楽しさを、機械に代替させるわけにはいきません。
『指輪物語ロールプレイング』は、「指輪っぽくない」とまま揶揄されますが、実は、「歩いた距離がそのまま経験点獲得の対象となるところ」など、『指輪物語』ならではのリアリティ(この場合はホビットたちの「成長」のルール的サポート)を提示している要素も数多いのです*2。『指輪』の話を無理やりストーリー的に再現するとどうしてもアラが出てしまいますが、『指輪物語ロールプレイング』を通すと、さほど嘘くさくならない。それはおそらく、母体となった『ロールマスター』というシステムが――氷川さんのところで語られているような「戦闘」の魅力のみならず――豊穣であるゆえの話でしょう。
さて、繰り返しになりますが、その『ロールマスター』、ご承知の通り、「ICE JAPAN」の主導のもと、日本語版が復活しています。
そして今回、『ロールマスター』シリーズの第4作『クリーチャーズ&トレジャーズ』が、ICE社公式サイトのオンライン・ストアからPDFで復刊されました。
それをもって、以前展開していた日本語版の再リリースは完結を見たと言うことができるでしょう*3。
そうした記念碑的な作品であると同時に、個人的にも『クリーチャーズ&トレジャーズ』は、部数が少なかったのか知りませんが、どこを回っても手に入らなかった逸品なので感慨深いものがあります。
・ICE公式サイト:日本語で読める『ロールマスター』関連製品
http://shop.ironcrown.com/index.php?main_page=index&cPath=120&zenid=5376c514e4dd07d9cecf69477fbe3f1f
ともあれ、ここに『ロールマスター』の復刻が完成しました。
このことは、『ロールマスター』ファンのみならず、RPGの可能性を広げるという意味において、日本RPG界の重要な里程標となるのではないか、と思っています。
現にアメリカではPDFによるRPGシステムの販売は非常にメジャーであり、つい最近『ウォーハンマーRPG』の初期サプリメントが――エラッタを当てたうえで――PDF販売の対象となったことは記憶に新しいでしょう。http://new.fantasyflightgames.com/edge_news.asp?eidn=615。
また、たとえマイナーレーベルであっても、PDF販売を成立させることで、商業的なラインナップを維持できているケースは数多いのです。
さて、今後、ICE JAPANはいかなる展開を見せてくれるのでしょうか。RPGの未来を考えていくうえで*4、同社の活動からは目が離せません。
*1:もちろん私は『D&D』も大好きですが、どちらかと言えば、取捨選択の面白さを教えてくれるのが、『D&D』ではないかと思っています。
*2:佐藤康弘氏の『ミドルアース・ハンドブック』を読めば、そうした要素は多く見つかります。名著ですので、システムが手元にない人でも――特に『D&D』者は応用ができますので――ぜひご覧下さい。 ミドルアース・ハンドブック (HOBBY JAPAN GAME HANDBOOK SERIES)
*3:もちろん『指輪物語ロールプレイング』シリーズのPDF化にも大いに期待しておりますが
*4:そしてやや大仰ですが、出版文化の未来をも考えるうえで