一緒に『D&D』を遊んでいる仲間が、『秘術の書』を読んで、次のような疑問をぶつけてきました。
単純だけど、ひょっとするとあまり理解されていなかったりしそうな気もするので、この場ででも紹介しておきます。
「『秘術の書』のパワーを眺めてたんだけど、1点疑問が沸いたので教えてよ。新しく収録されたサモン・ファイアー・ウォーリアーという1日毎パワーなんだけど、効果を見たら、ファイアー・ウォーリアーを呼び出せるようだけど、そのファイアー・ウォーリアーの能力がどこにも記載されていない。どうすればいいの?」
といった内容の疑問でした。
確かに、サモン(召喚)系の呪文(ウィザード用パワー)って、『AD&D』や『D&D』第3.X版の頃と運用の仕方がドラスティックに変わったので、戸惑ってしまうこともあるかもしれません。
第3.X版時代のサモン・モンスターなんかと違って、第4版の[召喚]パワーは、PCと同じデータで記述がなされたモンスターを召喚(あるいはPCが「母艦」だとしたら「艦載機」を飛ばすような)イメージよりは、コミックの『ジョジョの奇妙な冒険』に書かれたスタンドを飛ばすようなイメージで運用といったほうがわかりやすいでしょうか。
もっとも、スタンドと違って、クリーチャーが死んでも本人はぴんぴんしているわけですが(笑)
というわけで、ファイアー・ウォリアーのデータブロックはないんです。アローホークみたいに、第3.X版時代には『モンスター・マニュアル』に収録されていたクリーチャーもいるので、ややこしい話ではありますが……。
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もう少し詳しく解説しましょう。
それでは、『秘術の書』のP6の「新しいキーワード:[召喚]」という項目を参照して下さい。そこに[召喚]パワーについての詳しい説明が出ています。
召喚されたクリーチャーの防御値は使用者の防御値に等しく、ヒットポイントは使用者の重傷値に等しくなります。 そこにクリーチャーごとに決められた補正がかかるわけです。
サモン・ファイアー・ウォリアーだと、使用者のAC&頑健に+2、それに飛行(ホバリング)が付く。 マイナーアクションで1つの標準命令と、サモン・ファイアー・ウォリアーのパワー欄に記載されている特殊命令を下すことができるわけです。
ゲーム的な運用としては、テンプレートの乗った分身みたいな感じで動かすとよいと思います。フレーバーとしては、従来通り「モンスターを召喚する」でよいのですが、運用面ではそう思うようにすると、楽だと思います。
ちなみに、こう説明するとひどく味気ないように見えますが、実際に運用すると管理が非常に楽なので、ダマされたと思っていちど召喚型ウィザードを遊んでみて下さい。
実際、色々なマニュアル参照するより、自分のデータが基本と考えると直感的にわかりやすいですし、自分の能力が強化されれば相対的に召喚されたクリーチャーも強くなるので、高レベルになってパワーの使い道がなくなるってこともなくなります。何より『D&D』第4版はスピードが重要なRPGなので、召喚クリーチャーとの連携を考えやすい仕様になっているんです。現場重視の発想と言いますか。
なお、『秘術の書』P9下段のコラム内の「召喚と創造の違い」を読まれると理解が深まると思いますので、興味ある人はぜひ読んでみて下さい。