ゲリラ企画! 早稲田文学新人賞最終候補者が関わった雑誌を頒布します!


 もう日付が回ってしまいましたね。
 本日開催される第9回文学フリマ、「幻視社」のブース(A-11)で突発企画を実行します!


 「はてなダイアリー」に毎回、信じがたい守備範囲の広さで硬質の批評文を投下しつつ、オンライン書店bk1での書評コーナーでは「書評の鉄人」の称号まで与えられ新刊の献本を受けている渡邊利道id:wtnbt)さんがプロデュースした雑誌……
「CENOTAPH」
 こちらを頒布させていただくことになりました。


 冒頭にある渡邊利道さんの小説「ギフト」は、少女漫画や少女小説の技法にヌーヴォー・ロマン的な視線/意識の転換を導入した野心作。中原昌也とかフランツ・カフカ、ヨーゼフ・ヴィンクラーが好きな人はぜひ。


 岩崎純一さんの小説「反転する世界の王女」は、目眩く狂的なイメージと、畳みつけるようなうねりある文体。横光利一の『機械』とホフマンの『ブランビラ王女』が合体し、ブランショ風に味付けられた感じだと申しましょうか。
 ちなみに岩崎さんは気鋭のカント研究者で、この作品を書いて小説というジャンルに見切りをつけ、ドイツに渡ってしまったそうです。


 そして掉尾を飾る安藤魚晴さんの小説「幽霊する回帰」は、これを母体にした作品が早稲田文学新人賞の最終候補にもなった傑作。腹切ってでも読んどけ!
 この作品の所感については、私からは以下の言葉を添えるに留めておきます。

 亡霊は精神の逆接的な体内化なのであり、精神が〈身体となること〉であり、精神の現象的かつ肉体的な一形態なのである。(ジャック・デリダマルクスの亡霊たち』)

 とまあ、掲げられた看板だけでもすさまじい限りですが、こうした一切の看板を外してでもなお成立する強度を備えた作品ばかりです。ぜひ、文学フリマをきっかけに「文学から考えて」いきましょう。
 頒布開始時間は秘密。当日頒布される冊子はごく少部数に限られるので、ぜひお早めにお越し下さい!