「隠された宝石にまつわる諸事情」の訳文修正

 『スケイブンの書』が私の周囲でも話題になっているようで、何よりです。これを機会にウォーハンマーRPGを始めた知人から、私が訳したダウンロードシナリオ「隠された宝石にまつわる諸事情」(http://www.hobbyjapan.co.jp/wh/dl_scenario.html)について、いくつか意見をいただきましたところ、校正漏れをいくつか見つけましたので、これを機会に全体を見直し、再度チェックをしてみました。誤植や誤訳部分のみならず、記法を合わせたり、全体に文章をブラッシュアップさせたりしている箇所もあります。ご参考にしていただけましたら幸いです。

▼p.2

●左段、上から9行目(第2段落)
 この冒険は、“PATHS OF THE DAMNED”キャンペーン[訳注:未訳、キャンペーンシナリオ三部作]に彩り豊かな幕間を提供してくれるだろう。いちばんよいのは、この冒険で起こる一連の出来事を、“ASHES OF MIDDENHEIM”[訳注:未訳、“PATHS OF THE DAMNED”の第1部]と“SPIRES OF ALTDOLF”[訳注:未訳、“PATHS OF THE DAMNED”の第2部]の間に挿入することだ。というのも、アルトドルフからミドンへイムに至る道中にて事件を起こすことができるからである。
 シナリオのトーンとしては、メロドラマ的な状況が恥ずかしげもなく用いられたものとなっている。だから抜け目ない読者は、登場人物が皆、紋切り型であるということに気がつくだろう。何ゆえに?
ご承知のとおり、これはメロドラマだからだ。大げさに演じるようにしよう! [訳注:ここで言う「メロドラマ」とは、いわゆる「昼メロ」のような安っぽい大衆劇のことを指すとともに、17〜18世紀のヨーロッパで上演されていた、野外劇やバロック劇の伝統をも視野に入れていると思われる。フリードリヒ・シラーの戯曲『群盗』(岩波文庫)が、その最良の例として参考になるだろう] 君がものごとにこだわる性質であるなら、「伯爵よ、我らが再会のはこびになるとは」「あっ! ふるーい爆弾が煙突を落ちていくぞー!」などと、台詞回しに凝ってみるのがよいだろう。

↓(※以下のものに差し替えてください)

 この冒険は、「呪われし道」キャンペーンに彩り豊かな幕間を提供してくれるだろう。とりわけ、この冒険で起こる一連の出来事を『ミドンヘイムの灰燼』と『アルトドルフの尖塔』との間に挿入するのが上策だ。こうすれば、アルトドルフからミドンへイムに至る道中のどこかで事件を起こすことができるようになる。
 シナリオのトーンとしては、メロドラマ的な状況が恥ずかしげもなく用いられたものとなっている。明敏なる読者は、登場人物が皆、紋切り型であるということに気がつくだろう。だからと言って何か問題があるだろうか? そう、これはメロドラマである。大げさに演じるようにしよう! [訳注:この「メロドラマ」とは、シナリオ全体の色調から考えるに、いわゆる「昼メロ」のような安っぽい大衆劇のことを指しながらも、17〜18世紀のヨーロッパで上演されていた音楽を用いる野外劇やバロック劇の伝統をも視野に入れていると思われる。アクセスが容易な作品としては、フリードリヒ・シラーの戯曲『群盗』(岩波文庫)が、その最良の例として参考になるだろう] 君が望むのであれば、「伯爵よ、我らが再会のはこびになるとは」「おやまあ、煙突に爆弾を落とすという、古色蒼然たる策略ざますか」などという凝った台詞回しが出てくるたびごとに、その発言を行なったPCへ5XPを褒賞として与えること。


●左段、「英雄求む」、上から12行目(2段落目)
ダガーか黒い羽根のついた矢によって、告知が旅人の背中に刺さっていたということにしてもよい。ひとつめの告知は、こう読める。

ダガーか黒い羽根のついた矢によって、告知が死んだ旅人の背中に刺さっていたということにしてもよい。ひとつめの告知は、こう読める。


●右段、「英雄求む」、上から2行目
その名前は、彼らが黒い羽根のついた矢のみを用いるということに由来する。

その名前は、彼らが黒い羽根のついた矢のみを用いるという習慣に由来する。


●右段、「「十字槍」と看板がある宿屋にて」、上から11行目(2段落目)
博徒噺家の姿も見られる。

博徒語り部の姿も見られる。

(※『シグマーの継承者』に合わせます。)


▼p.4


●左段、「伯爵がやってくる」、上から13行目(第3段落)
「私はアマデウス・フォン・ドラケンスブルク伯爵です。お忍びで旅をしていますが、貴兄らは、むやみに私の信用を失墜させるような真似はしてくれないでしょう。目を見ればわかります」

「私はアマデウス・フォン・ドラケンスブルク伯爵です。人目を忍んで旅をしている最中ですが、貴兄らはこちらの信頼を悪用するような真似はなさらない方々だと、私は確信しています」


●左段、「伯爵がやってくる」、上から22行目(第4段落)
そして彼らの指導者は、もとからではないと思うのですが、〈黒き矢〉との二つ名で知られています」

そして彼らの指導者は――何とも独創性のないことだと思いますが――〈黒き矢〉との二つ名で知られています」


●右段、上から7行目
彼らはローエングラムをケラーマンの手のもとへ送りこみ、うまく馴染ませ、見張りとして働かせることにしたのだ。馬車の到着や出発の時間を知らせる役目の人間のほかに、ちゃんとしたスパイが必要だと考えたのだろう。

彼らはローエングラムをケラーマンの手のもとへ手のもとへ送り込み、潜入させ、ケラーマンたちの動向を監視させつつ、馬車の時間を知らせたりするスパイとしても働かせているのだ。


▼p.5


●左段、上から4行目
 爆弾が爆発したら、部屋にいる者は1d10+6点のダメージを受ける

 爆弾が爆発したら、部屋にいる者は全員、ダメージ値6の命中を受ける

(※翻訳チームの方針に合わせました)


▼p.8


●左段、囲み記事内、「「黒き矢」とは何者なのか?」、上から11行目
〈黒き矢〉団員の人物造形は、野蛮な人殺しにもなれば、氷のように冷徹なプロフェッショナルにもなることだろう。

〈黒き矢〉団員の個性は、アナリザの人物造形によって決まる。彼らはアナリザの部下であり、野蛮な人殺しにもなれば、氷のように冷徹な仕事人にもなることだろう。


●右段、囲み記事内、「カミツキ肉食トカゲ」、「特別ルール」、上から6行目
ただし、攻撃をうk手いる状況であれば、気を散らすようなことはまずないため、【知力】テストは「容易」(+20%)になる。

ただし、攻撃を受けている状況であれば、気を散らすようなことはまずないため、【知力】テストは「容易」(+20%)になる。


●右段、囲み記事内、「カミツキ肉食トカゲ」、「特別ルール」、上から8行目
 もし君が、カミツキ肉食トカゲをゲームに登場させたくないのであれば、替わりにジャイアント・スパイダー(『オールド・ワールドの生物誌』p.95参照)を登場させるとよいだろう。


鎧:鱗
アーマー・ポイント:頭部2、両腕2、胴体2、両脚
(※レイアウトが入れ替わってしまっているので、以下のレイアウトに入れ替えてください)

鎧:鱗
アーマー・ポイント:頭部2、両腕2、胴体2、両脚


 もし君が、カミツキ肉食トカゲをゲームに登場させたくないのであれば、替わりにジャイアント・スパイダー(『オールド・ワールドの生物誌』p.95参照)を登場させるとよいだろう。
(※「鎧」と「アーマー・ポイント」を太字にして下さい。)