『北海道電力〈泊原発〉の問題は何か』へのノート

 寿郎社刊『北海道電力泊原発〉の問題は何か』(http://t.co/yAzR9EFJ … …)を読了しました。
 そもそも泊原発を集中的に論じた書物は皆無だと思う。勇気ある試みです。「原発なしでも北海道はやっていける」という章が特に面白い。冬、原発なしで乗りきれるかという疑問に答えてくれるからです。原発関連本は、それなりに読んできました。しかし、『北海道電力泊原発〉の問題は何か』は、あえて旗幟を鮮明にしていることの是非はおいても――反原発本にまま見られるファナティックな視点がなく――多角的な視座で冷徹に論じているところが魅力的です。インターネットの情報をつまみ読みしていくより、これを読み込むべきかとも思います。本書で提供されているシミュレーションは衝撃的なもので、はっきり言って泊原発の存在は、北海道にとって自殺行為でありましょう。直ちに廃炉にすべきです。
 なお、本書は、3・11の問題について、文芸批評の立場から論じた「メタポゾン」7号掲載エッセイの版元・寿郎社さまからご恵贈いただいたものです。ありがとうございました。献本ということを差し引いても良書で、お勧めできます。当事者による「声」が明晰に伝わってきます。はっきりと旗幟を明晰にして主張は行うが無理筋にはしないという、ジャーナリスティックな良心を感じます。
 寿郎社は『原発を拒み続けた和歌山の記録』という本も出しており、買って実際に読んでみましたが、民衆史的というか、また泊原発本とは異なるアプローチで、考えさせられること大でした。もう少し時間をかけて、読み込んで考えていきたいと思っています。同書を読むと、単に紀伊半島がキレイだから、自然と建設されない……ということじゃなくて、ドロドロの闘争の歴史が続いているとわかります。政治的状況もかなり複雑。

北海道電力〈泊原発〉の問題は何か

北海道電力〈泊原発〉の問題は何か

原発を拒み続けた和歌山の記録

原発を拒み続けた和歌山の記録