お知らせです。これまで私は故・向井豊昭氏の遺稿をお預かりし、東條慎生さんの献身的な協力を得て、未発表の手書き原稿の文字起こし・自費出版・ウェブ公開を続けてきました。 このたび、そこから小説「用意、ドン!」が「早稲田文学」の最新6号(9/6発売)に掲載されることになりました!
「早稲田文学」とは、1891年創刊、つまり日本最古参の文芸雑誌です。最近では同誌が初出となる黒田夏子「abさんご」が芥川賞を受賞したことが、記憶に新しいことと思います。
「用意、ドン!」の本文は、東條慎生さんが文字起こしをしたもの。私は同誌に解説文「二〇一三年の向井豊昭」を寄稿させていただきました。はじめて向井豊昭を読む人にも、入りやすい作品です。また、解説では、向井とエスペラントについての関係も掘り下げて語られます。この機会に、ぜひご覧ください。
自分が13年にもわたって読み続けている雑誌に寄稿できるとは、なかなか感慨深いものがありますし、とても光栄です。
しかし、何よりも、この雑誌は向井さんの「ホーム」なのです。おかえりなさい!
かつて「早稲田文学」で向井さんの小説に触れた方、遺稿を通して知った方に、そして「向井豊昭の闘争」をお読みくださった方には、ぜひとも読んでいただきたいと思います。
掲載の英断を下された編集室の方々には改めて御礼を申し上げるとともに、遺稿の大半の文字起こしとアーカイブ運営等を担当された東條慎生さんは本当に偉いと思います。また、各種協力をいただいた幻視社メンバーにもこの場を借りて感謝を捧げます
作中で挿入されるエストニアの詩人ウラジーミル・ベークマンも見逃せません。
解説「二〇一三年の向井豊昭」では、向井さんと生前交流があったエスペランティストの方々の力をお借りし、最新情報と研究成果、読解ガイドをお伝えすべく務めました。
奇しくも、9月にはひつじ書房から『日本エスペラント運動人名辞典』が刊行される予定となっています。こちらには、向井さんのエスペランティストとしての業績が網羅的に紹介されています。「用意、ドン!」とあわせて、繙いていただければ幸いです。