突然届いた、『MELANO MUSEUM』なる身に覚えのない仕事?

 3日前の2016年2月22日、アトリエサード社より『MELANO MUSEUM〜イタリニャ大公国、猫の名画コレクション』なる画集が届きました。イタリニャ大公国にあるメラノ美術館が所蔵する名画を集めた図録だそうですが……。美術批評がメインではない私に、どうして?

 添えられていた「ないとらんど通信」には、「告発? 画集? 魔導書?」と、穏やかならざる文句が踊っています。写真では読みづらいのですが、「パニャフスキーは」、「死んだはず」と、タイトルバックには書かれていて……。ええと、パニャフスキーって誰のこと? 『イコノロジー研究』のエルヴィン・パノフスキーの間違いでは?

イコノロジー研究〈上〉 (ちくま学芸文庫)

イコノロジー研究〈上〉 (ちくま学芸文庫)

 思い出しました。関係者筋からのリークとして、こんな写真が送られてきていたのでした。どうやらゲラらしいのですが、私が「図書新聞」で連載している「〈世界内戦〉下の文芸時評」によく似たタイトルです。ただ、私は美術批評家を名乗ったことはありませんので、その時は気にせず、放っておきました。
 しかし、「日本読書新報」2016年2月22日号だって? そんな新聞、見たことも聞いたこともないぞ!

 凡例をよく見てみれば……「Akira Okawada」ではなく、「Akira Nekowada(AN)」とのフリガナを発見! 監視の目をすり抜けて送られてきた密書なので、記録はこのサイズが限界だった模様。ぜひ現物を購入してじっくり確認いただきたいのですが、手が込んでいます。

 そして、長澤唯史さんのツィッターには、『ゼンニャ城の虜』や「ウルサーガタの猫」なる奇妙な書名が。『ゼンダ城の虜』、「ウルタールの猫」ではなくて? いったい、何がどうなってるんだッ!?
 日本SF作家クラブの公式サイトにも告知が出ていますが、こちらではネタを割っている、じゃなかったクラリス、もといクラリーチェ公女の挨拶文が出ています。

日本の皆さんごきげんよう、私はイタリニャ大公国公主クラリーチェ・ニャ・ガニャットネーロです。

この度はイタリニャのメラノ美術館の収蔵作品を私の大好きな日本で展示出来ることを大変嬉しく思います。

メラノ美術館の事をお話しなくてはなりませんね?

猫の居る絵画たちは、ルネサンスの昔から集められた大公家のコレクションです。

それまでもお屋敷で必要に応じて公開していたものですが、1961年の火事、68年のお家騒動を経て、ウルルニャン湖畔のお城を改修、79年に美術館として公開されました。

世界中の名猫画の数々をどうぞお楽しみくださいませ。

 ――本書に収録した公女挨拶より抜粋


 どうやら、何かが起こっているようです。「岡和田晃 Nekowada Akira」なる人物の寄せた解説を読むしかあるまい……。おお、どうしたことだ、頭がかき乱される。ひょっとして、朔太郎とはこのことを指していたのか。平行宇宙、いや、可能世界だろうか。ぶつかるはずのない世界が入り交じる。文芸時評で「モナドの領域」を批判した報いなのか。ああ、窓に、窓に!
 ……気づくと3日が経っていました。記憶が新しいうちに、私はこの奇妙な体験を皆さんにお伝えすべく、キーボードを叩いている次第です。何を言っているかわからないって? そういう内容なのだと説明するほかなく。詳しくは『MELANO MUSEUM』でご確認ください。

 オリジナルは前橋のギャラリーアートスープで展示中!

追記:


 おお、確かに!
ノド書  ブック・オブ・ノド

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