「図書新聞」2021年2月13日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評」第七二回「骨抜きにされた民衆蜂起の可能性を代補するために」が掲載

 発売中の「図書新聞」2021年2月13日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評」第七二回「骨抜きにされた民衆蜂起の可能性を代補するために」が掲載されています。六年目の最終回は、連邦議会議事堂占拠事件について分析し、秩父事件等について論じつつ、以下の作品を言及しました。

藤野裕子『民衆暴力――一揆・暴動・虐殺の日本近代』(中公新書
・森元斎『国道3号線 抵抗の民衆史』(共和国)
・奥憲介「神も知らぬ無頼――森崎和江試論」(「三田文學」)
・三國美千子「骨を撫でる」(「新潮」)
・崎山多美「フウコ、森に立て籠る」(「三田文學」)
山尾悠子「部屋と喫水」(「群像」)
・小縞山いう「手首の海み」(「三田文學」)
・住本麻子「二〇一九年の掃除/清掃」(「早稲田文学」)
平田俊子「「幡ヶ谷原町」バス停」(「現代詩手帖」)
PIPPO編『一篇の詩に出会った話』(かもがわ出版
・アマンダ・ゴーマン「私たちが登る丘」(長畑明利訳、「中日新聞」)
・西村紗知「椎名林檎における母性の問題」(すばるクリティーク賞受賞作)
・長澤唯史『70年代ロックとアメリカの風景 音楽で闘うということ』(小鳥遊書房)
ミシェル・ビュトール『レペルトワールI 1960』(石橋正孝監訳、幻戯書房
・佐藤憲一『異形のピューリタン――ジョン・ウィンスロップ・ジュニアとトランスアトランティック・トランザクション』(春風社
・三浦育真「夜明珠(イェミンジュ)」(織田作之助青春賞受賞作、「三田文學」)
外岡秀俊「借りた場所、借りた時間 過ぎ去り行く香港」(「逍遙通信」)
・十三不塔『ヴィンダウス・エンジン』(ハヤカワSFコンテスト優秀作、ハヤカワ文庫JA)
・河﨑秋子「介護者D」(「小説トリッパー」)
・川嶋侑希「吹雪の吹き溜まりに命を吐いて」(「フラジャイル」)
・二宮清隆『海へ』(フラジャイル)

 また、時評欄とは別ですが、今号には佐藤保治『厚岸のアイヌ』(藤田印刷エクセレントブックス)の書評(上野昌之)が掲載されており、これは上野さんからの依頼で、私が査読協力いたしました。

 なお、『レペルトワール』のキェルケゴール論について、「生前未発表」と書いてしまいましたが、これは雑誌発表の初出が確認できないという意味で、翻訳された『レペルトワールI』の元本が初出です。念のため、補足しておきます。