『ドラゴン・ウォーリアーズ』新版登場


「異教徒どもに神の教えを伝えるため十字軍に出かけていたその隙に、従兄弟に領土を乗っ取られてしまったんだ。だから、俺は東を見るとき、いつも悲しい顔をするのさ」――ベイリン卿


 『ドラゴン・ウォーリアーズ』をご存知でしょうか。
 1990年ごろから、92年ごろにかけて、日本で展開されたRPGシステムの名前です。版元は創元推理文庫
 デザイナーは、デイヴ・モーリス&オリバー・ジョンソン。
 簡潔なシステムで、雰囲気たっぷりの冒険が楽しめる佳品でした。かなりのお気に入りです。

ドラゴンの戦士 (創元推理文庫―ドラゴン・ウォーリアーズ)

ドラゴンの戦士 (創元推理文庫―ドラゴン・ウォーリアーズ)

 詳しくはWebにある愛に満ちた解説が、なかなかに秀逸ですので、ご覧になってみてくださいませ。


 なお、解説で指摘されている「欠点」の部分については、時代性を背負っているがゆえの部分も多いので、僕は適当にコンバートしていました。
 能力値がまったく成長せず、それゆえドラゴンにやすやすと勝てるキャラクターでありながらホブゴブリンのキノコの毒で死んでしまうというのも、それはそれでオツなもの。
 というのも、クー・フーリンやジークフリートを見ればわかるように、偉大な英雄はときとして、非常にくだらない理由で死んだりするからです(笑)


 世界観を同じくするゲームブック・シリーズも、なかなかぶち切れたバランスでありながら、濃厚な雰囲気が素晴らしく、解き甲斐もありました。なかでも『ドラゴンの目』という作品は、大森望氏の翻訳家デビュー作だったはずで、その意味でも貴重です。

ドラゴンの目 (創元推理文庫)

ドラゴンの目 (創元推理文庫)

 さて、この『ドラゴン・ウォーリアーズ』、なんだかは『ウォーハンマーRPG』とやれそうなことが似ているな、と思う人があるかもしれません。
  確かに似ている部分もあり、シナリオやリソースを共有させたりコンバートさせたりすることは、比較的簡単に行なうことができます。(現に、『ドラゴン・ウォーリアーズ』のシナリオ集を、『ウォーハンマーRPG』に使っているという話も聞いたことがあります)


 ただし、やりたいシナリオによって、使い分けも充分、可能です。


 『ウォーハンマーRPG』はどちらかというと、地に足の着いた、ゲルマン的な生活観溢れる土俗性とでも言うべきシナリオに向いています。


 対して、『ドラゴン・ウォーリアーズ』はケルト的な、土俗をベースにイメージを飛翔させるような幻想性を軸にしています。
 もちろん、中世ヨーロッパ的なリアリズムが根底にあるので、そこまで派手派手しい展開にならないのですが、抑制を聞かせてもなお、光るものは残っており、その光るものの手触りが、『ドラゴン・ウォーリアーズ』を記憶に残るRPGたらしめておりました。
 現に私も、トールキン詩篇「最後の船」(『トールキン小品集』所収)をベースにしたシナリオを、書いたこともあります。

農夫ジャイルズの冒険―トールキン小品集

農夫ジャイルズの冒険―トールキン小品集

 さて、この『ドラゴン・ウォーリアーズ』、優れたシステムでありながら、絶版となって久しい状態でした。
 そんな折、Mongoose社より、『ドラゴン・ウォーリアーズ』の新版が出るとの報。素晴らしい! The Classic British Fantasy Role Playing Game! 
 

 また、『ドラゴン・ウォーリアーズ』には「レジェンド」という素晴らしい背景世界があります。
 こちらは、『RPGマガジン』Vol.10に、健部伸明さんが解説を書かれていたと記憶しておりますので、一見の価値はあるでしょう。