はじめに


・このブログの方針につきまして
・自己紹介 
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・訂正記事 ・反論記事

単著ほか最近の仕事

・岡和田晃の最新の仕事はこちらから見られます!

※最新の評論『反ヘイト・反新自由主義の批評精神』が出ました。2008年から18年まで書いてきた、「純文学」とポストコロニアルなテーマを精選した批評集です。
エクリプス・フェイズ (Role&Roll RPG)

エクリプス・フェイズ (Role&Roll RPG)

※『エクリプス・フェイズ』日本語版ルールブックが、発売となりました。岡和田晃は翻訳チームに参加しています。スペースオペラサイバーパンクが融合した本格SF-RPGの世界を日本語でご堪能下さい。A4変形フルカラー400ページです。圧倒的情報量にも関わらずプレイアブル。日本語版の公式サイトで、サマリー形式の簡易ルール&シナリオ「ヘリオンズ・エッグ」、サンプルキャラクター等を無料でダウンロードできます
ガンドッグゼロ リプレイ アゲインスト・ジェノサイド (Role&Roll Books) (Role & RollBooks)

ガンドッグゼロ リプレイ アゲインスト・ジェノサイド (Role&Roll Books) (Role & RollBooks)

※『アゲインスト・ジェノサイド』は初の単著、自信作です。ロールプレイングゲームの可能性を引き出すべくつとめました。
「世界内戦」とわずかな希望〜伊藤計劃・SF・現代文学 (TH Series ADVANCED)

「世界内戦」とわずかな希望〜伊藤計劃・SF・現代文学 (TH Series ADVANCED)

※『「世界内戦」とわずかな希望』は、第二単著です(日本図書館協会選定図書になりました)。詳しくはこちらのエントリをご覧ください。また、収録記事「二十一世紀の実存」に脱落がありますが、版元のサイトで完全版をPDF形式でダウンロードできます。
※『向井豊昭の闘争』は第三単著。未來社のPR誌「未来」の連載を大幅に加筆改稿したもので、書き下ろしの第三章、詳細な作品リストもついています。帯は笙野頼子さん。
※『向井豊昭傑作集』は、編集、解説、年譜作成を担当しました(こちらも日本図書館協会選定図書になりました)。
北の想像力 《北海道文学》と《北海道SF》をめぐる思索の旅

北の想像力 《北海道文学》と《北海道SF》をめぐる思索の旅

※『北の想像力』は、統括と編集を担当いたしました。特設サイトはこちら! 日本SF大賞最終候補&星雲賞参考候補となりました。
アイヌ民族否定論に抗する

アイヌ民族否定論に抗する

アイヌ現代思想史研究者のマーク・ウィンチェスターさんとの共編で、レイシズムヘイトスピーチ歴史修正主義に反対する本を作りました。『アイヌ民族否定論に抗する』です。全国学図書館協議会選定図書となりました。
※『「世界内戦」とわずかな希望』は、第四単著です。2013年から2017年に書いた批評を集成しています。
ベア・ダンジョン+ベア・カルトの地下墓地+運命の審判 (T&Tアドベンチャー・シリーズ4)

ベア・ダンジョン+ベア・カルトの地下墓地+運命の審判 (T&Tアドベンチャー・シリーズ4)

※J・ピーターズ『ベア・カルトの地下墓地』レベル1を全訳し、レベル2を杉本=ヨハネさんと共同制作しました。
※『ブラマタリの供物』の設定協力と解説を担当いたしました。
※『こころ揺らす』に、岡和田晃のインタビューが掲載されています。
トンネルズ&トロールズ完全版BOOK

トンネルズ&トロールズ完全版BOOK

※『トンネルズ&トロールズ完全版BOOK』に翻訳を担当した『アンクル・アグリーの地下迷宮』が同梱されています。
ナイトランド・クォータリーvol.17 ケルト幻想〜昏い森への誘い〜

ナイトランド・クォータリーvol.17 ケルト幻想〜昏い森への誘い〜

ナイトランド・クォータリーvol.18 想像界の生物相

ナイトランド・クォータリーvol.18 想像界の生物相

※「ナイトランド・クォータリー」Vol.16から編集に参画し、このVol.17から編集長になりました。
傭兵剣士 (T&Tアドベンチャー・シリーズ7)

傭兵剣士 (T&Tアドベンチャー・シリーズ7)

※ジェームズ・ウィルソン「傭兵剣士」「青蛙亭ふたたび」の翻訳チェック・多人数シナリオ寄稿、続編の「無敵の万太郎とシックス・パックの珍道中」と「〈黒のモンゴ―〉の塔ふたたび」が掲載されています。心意気としては第六単著のつもりです。

献本について

 このブログやTwitterにて、アトランダムに献本いただいた作品を紹介しています(原則として商業媒体の新作。すべてを紹介できているわけではありません)。文芸時評をやっている関係上、文芸誌の献本については原則、ウェブログでの紹介はいたしません。時評や書評に間に合った場合、そちらに替えさせていただくこともあります。

「Role&Roll」Vol.180に、『エクリプス・フェイズ』の入門シナリオ「スペース人形浄瑠璃怪談——阿古屋の琴責(ことぜめ)」が掲載

発売中の「Role&Roll」Vol.180に、『エクリプス・フェイズ』の入門シナリオ「スペース人形浄瑠璃怪談——阿古屋の琴責(ことぜめ)」が掲載されています。さあ、ポストヒューマン社会での文楽はどうなっているのか、その恐怖を体感しましょう! サイパーパンクならではのジャパネスク路線の作品です。

 

 

 

東海大学文芸創作学科2019年秋学期シラバス(幻想文学・SF論)

2019年度 秋学期  
授業科目名 サブカルチャーと文学
曜日 時限 水-4
テーマ 幻想文学とSFの講読と批評を介した“反”サブカルチャー
キーワード 幻想文学 SF 批評


【授業要旨または授業概要】

 シラバス編成の都合上、本講義タイトルには「サブカルチャー」と掲げられていますが、講師はこの水曜4限の講義を「幻想文学・SF論」と呼ぶことにしています。
 本講義(幻想文学・SF論)では、古典と現在の幻想文学、とりわけ英語圏からの翻訳作品を徹底的に読み込むことを重視します。課題のテクストを、時には声を出して精読していきながら、その表現されている細部を身体レベルで自家薬籠中の物としていきます。
 というのも、いま、創作や批評を試みるにあたって、もっともネックになるのが、絶対的な読書量の不足なのです。ただ、やみくもに数をこなせばよいというわけではありません。プロの作家や書評家でも、作品の読み込み、全体的なパースペクティヴの提示、状況への批評意識の三つを兼ね備えている人は少ないのが現実です。
 しかしながら、複雑化する現実を、既存のリアリズムでは捉えきれなくなっている現状は確かに存在します。幻想文学やSFの講座は英語圏では普通に存在しますが、日本では限られた大学でしか講じられていません。それゆえ、これらの方法を身に着けていれば、並み居る(広義の)作家志望者たちから、一歩抜きん出ることが可能になるでしょう。実際、過去の受講生のなかには、講師の監修のもと、商業芸術批評誌においてデビューを果たした者もいます。
 大学で講じられる文学の多くは、戦前から戦後まもない時期に確立されたカノン(規範的作品)に基づいており、それ以外は「サブカルチャー」として周縁に追いやられがちなのですが、本講義はそのような立場を採りません。
 大学生ならば知っていて当然である世界文学の古典と連関させながら、古典とみなされていないテクストをも貪欲かつ批評的に解釈していきます。その意味で、本講義は「幻想文学やSFを媒介とした“反”サブカルチャー論」と言うのが正確でしょう。このことは、講義内でも絶えず強調していくので、忘れずにいてほしいと思います。

 

 

 同名の講座が水曜3限・水曜4限で展開されます。意欲のある受講者は、両方の受講も歓迎します(ただし、単位は片方しか出ません)。既習者の受講も歓迎します(自由聴講扱いとなります)。

※より詳しくは、続けて【授業計画】の項目をご参照ください。


【学修の到達目標】

 

◆授業で育成するスキル
自ら考える力・文章情報を読み解く力・批評的な思考力

◆学習の到達目標
・日常的に接する文化環境に対しての批判的な視座を持ち、そのルーツを探り新たな表現を産むために必要な(最低限の)知識と好奇心を涵養します。
・文学を中心にしつつ、哲学・歴史学・美学といった人文科学についての基本的な知識をも習得します。
現代文学とSF・ミステリ・幻想文学の各「ジャンル」で蓄積されてきた批評理論の基礎を習得します。
・カルチュラルスタディーズ、ジェンダーポストコロニアル理論といった、文化批評の基礎を習得します。
・批評の執筆の基礎をも学ぶことで、学術的な視座の批評や創作への応用を目指します。

 

【授業計画】

 

◆スケジュール
<注意:水曜4限では、幻想文学・SFの講読と批評を中心に学習します。水曜3限と4限では、授業内容が異なります>

映像資料の分析も交えますが、基本的には小説・批評を講読していきます。
 本気でプロの物書きになりたい人は、大いに歓迎します。前期履修者の継続出席、他学部・他学科からの聴講も歓迎しますが、途中で離脱するケースが多いので、いちどやると決めたら、最後まで受講することを推奨します。さもなければ、身につきません。
 しばしば誤解されるのであらかじめお断りしておきますが、「サブカルチャー」と授業名に冠されているからといって「ラク」というわけではありません!

 

※2019年前期(春学期)の内容を、参考までに以下に示します。受講生の関心や状況に応じ、随時変更を加えていきます。教室での指示を聞き逃さないようにして下さい。

 

1:ガイダンスおよび自己紹介
 批評的読解の訓練として、アーサー・マッケン「変身」(阿部主計訳)を講読する。

 

2:批評文の基礎
 感想文や小論文と、レポートの違いを解説する。

 

3:ゴースト・ストーリーとモダン・ホラー
 アンジェラ・スラッター「心は罪人の鏡」(植草昌実訳)および「すべての肉体の道」(友成純一訳)を講読し、19世紀のホラーと20世紀のホラーの違いを考える。

 

4:ロマン主義と「語り=騙り」
 アーサー・マッケン「翡翠の飾り」(南條竹則訳)より、「薔薇園」「妖術」「儀式」を講読する。

 

5:「ケルト文学」と再話の仕組み
 ピーター・トレメインの『アイルランド幻想』(甲斐万里江訳)より「石柱」を講読し、マッケンとの違いを考察する。

 

6:スペキュレイティヴ・フィクション入門
 ヴォンダ・マッキンタイア「火の河」(室伏信子訳)を講読し、テクノロジカル・ランドスケープ(科学によって変容する風景)を20世紀以降の文学がどう捉えるのかを考察する。

 

7:中間レポートとフィードバック
 レポート作成のために、予備訓練としてミニ・レポートを執筆し、その講評。参考として、OGの仕事(「TH」No.78に掲載された『海蛇と珊瑚』評(関根一華))の構造を分析。続いて、小中英之の歌集『翼鏡』より二首を精読し、短詩系文学としての幻想文学を考察する。

 

8:ドイツ表現主義本格ミステリ
 ハイミート・フォン・ドーデラー「ヨハン・ペーター・へーベル(1760-1826)の主題による七つの変奏」(垂野創一郎訳)」(垂野創一郎訳)を講読し、モダニズムと、モダニズムから文化した「ジャンル」のあり方を考察する。

9:民話の構造と「語り=騙り」
 ジェレマイア・カーティン「聖マーティン祭前夜」(下楠昌哉訳)、アンジェラ・スラッター「赫い森」(岡和田晃訳)を講読し、土俗的な要素がどのように把握されているのかを分析する。

 

10:アクション描写と身体感覚
 ジェフ・C・カーター「かかる警句のなきがゆえに」(待兼音二郎訳)を講読し、文字での表現が難しい、建築物、身体、アクションを通した両者の連関を考察する。

 

11:先行テクストの変奏
 ピエール・コムトワ「幻の巻狩」(大和田始訳)を、これまで読んできたアーサー・マッケンの文脈から分析する。

 

12:世界内戦とテロル
 松本寛大「ケルトの馬」を軸に、幻想文学が現代の社会状況を、どのように表象できるのかを考察する。

 

13:時間と予言、そして未来
 内田百けん(※けんは門構えに月)「件」、小熊秀雄「ある夫婦牛の話」、小松左京「牛の首」を軸に、幻想文学は時間をどう捉えるのか、過去と未来とはどのように表象されうるのかを考察する。

 

14:追憶と反復
 デヴィッド・テラーマン「木の葉のさだめ」(待兼音二郎訳)を講読し、文学が表象する記憶のメカニズムを考察する。

 

◆予習・復習

 毎回、前回の講義で課題に指定されてきたテクストを読んできて下さい。
 毎回のフィードバックと、途中で行う小レポートのために、相応にハードな予習復習が必要となります。
 また、最終的には書評SNSに登録して批評を書くのですが(匿名登録可能)、講義を離れても一般読者の評価に堪えるだけの作品を書けるようになるため、各種コンテストへの積極的な応募も推奨します。

 

◆集中授業の期間

 

【履修上の注意点】
 講義の際には、相当分量の論文や小説を読み進めていくことになります。関連して文献も紹介しますが、少々難解かもしれない理論も含まれます。講義へのフィードバックを毎回記入してもらい、それを講師が講義内容へ反映させていきます。その他、双方向的な講義になりますので、積極的な協力・参加が求められます。期末レポートのほかに、中間レポートがあります。

 

【成績評価の基準および方法】
 評価のポイントは、以下の4点です。

1)取り扱った作家・作品の内在的特性が理解できているか(約20%)
2)作品の周辺に存在する文脈が理解できているか(約20%)
3)テクストへ積極的に取り組み、読解・創作ができているか(約40%)
4)批評的であることの意義が理解できているか(約20%)

 毎回、フィードバックシートへの記入を行ってもらい、それを小テストの代わりとします。それとは別に、期末レポートを課します。なお、レポート執筆の際にWikipediaを参考資料に用いることを禁止します。代返等・コピペ等の不正行為に関しては厳正に対処します。各種文章がしっかり書けていることは、評価の前提条件とします。
 上記の学習目標が達せられているかどうかを、フィードバックを含む出席点(40点)、レポート(60点)、のウエイトで評価して総合的に判定します。具体例として、その合計が90点以上をS評価、80点以上90点未満をS評価、70点以上80点未満をB評価、60点以上70点未満をC評価とします。
 ただし、出席回数が7割未満の場合、この限りではありません。


【教科書・参考書】

区分 書名 著者名 発行元 定価
教科書 「ナイトランド・クォータリーVol.18 想像界の生物相」/岡和田晃ほか/アトリエサード/1700


【その他の教材】

 「TH(トーキング・ヘッズ叢書)No.79 人形たちの哀歌」、関根一華「ストップモーションが叶えうる〝永遠の少年〟――『犬ヶ島』から」が掲載。本講義のOGによる商業誌での批評です。参考にしてください。
 その他、随時、講義内で教示します。

東海大学文芸創作学科2019年秋学期シラバス(ゲームデザイン論)

※春学期に引き続き、東海大学文化社会学部文芸創作学科で教えます。こちらでは利便性を鑑み、シラバスを公開いたします。

 

2019年度 秋学期  
授業科目名 サブカルチャーと文学
曜日 時限 水-3
テーマ 文学を媒介とした“反”サブカルチャー論としてのゲームデザイン
キーワード ゲームデザイン 幻想文学 創作


【授業要旨または授業概要】


 シラバス編成の都合上、本講義タイトルには「サブカルチャー」と掲げられていますが、講師はこの水曜3限の講義を「ゲームデザイン論」と呼ぶことにしています。
 本講義(ゲームデザイン論)では、創作の一環として、古くて新しい表現形式であるところのゲーム、とりわけストーリーゲーム/ナラティヴゲームと呼ばれるものをワークショップ形式で体験し、実際に創作することを目指します。
 過去の受講生たちは、ロールプレイングゲームのシナリオやソロアドベンチャーをデザインしたり、あるいはリプレイ小説を書いたりしてきました。シナリオのなかには講師が監修のうえでリライトし、商業誌への掲載を果たしたものもあります。
 しかしながら、創作には必ず発想の源泉となる教養が必要です。そのため、古典的な幻想文学や文学理論を、時間をかけて講読することで、土台の構築をしていきます。
 また、巷では「ゲーム」というと、日本製の“アニメ・漫画・ゲーム”という粗雑なくくりに置かれ、のみならず、それらが語られる際には、従来「文学」とされてきた領域を敵視して「日本」の文脈に閉じこもることがままあるのですが……本講座はそういった“クールジャパン”的な文脈とは基本的に無関係です。
 むしろ、この講義では「世界文学」との連関性を重視し、その一環としてゲームを捉えています。真に“クール”なのは、ゲームを「サブカルチャー」として居直らない姿勢だと考えるからです。その意味で、本講義は文学を媒介とした“反”サブカルチャー論」言うのが正確でしょう。このことは、講義内でも絶えず強調していくので、忘れずにいてほしいと思います。

 同名の講座が水曜3限・水曜4限で展開されます。意欲のある受講者は、両方の受講も歓迎します(ただし、単位は片方しか出ません)。既習者の受講も歓迎します(自由聴講扱いとなります)。

※より詳しくは、続けて【授業計画】の項目をご参照ください。

 


【学修の到達目標】

 

◆授業で育成するスキル
自ら考える力・文章情報を読み解く力・批評的な思考力

◆学習の到達目標
・日常的に接する文化環境に対しての批判的な視座を持ち、そのルーツを探り新たな表現を産むために必要な(最低限の)知識と好奇心を涵養します。
・文学を中心にしつつ、哲学・歴史学・美学といった人文科学についての基本的な知識をも習得します。
アリストテレス以降の古典的な文学理論を習得します。
・カルチュラルスタディーズ、ジェンダーポストコロニアル理論といった、文化批評の基礎を習得します。
ゲームデザインクリエイティヴライティングの基礎をも学ぶことで、学術的な視座の批評や創作への応用を目指します。

 

 

【授業計画】

 

◆スケジュール

 

<注意:水曜3限では、ゲームデザイン幻想文学(ヒロイックファンタジー)の講読を中心に学習します。水曜3限と4限では、授業内容が異なります>

 ブロンテ姉妹が架空の王国を創造して「ごっこ遊び」を展開した19世紀から、21世紀、スマートフォンを駆使したAR(拡張現実)ゲームまで、ストーリーゲームは多様な形態が存在しています。
 そこで本講座では、ゲームと「文学」が交錯したわかりやすい事例として、会話型(テーブルトーク)のロールプレイングゲームを中心に扱います。
 ただし、意識するのは、規範となる海外の(主として英語圏の)作品です。
 文献講読とストーリーゲームの体験を前半回での講義では組み合わせて行い、後半回の講義では本格的なワークショップで実際にゲームをプレイします。
その過程で、文学研究や文芸批評の方法論を軸に、学術的なゲーム研究における最新の成果も紹介しながら、他ジャンルにまたがる普遍的なストーリー構造や、原型となる神話素、「語り」をはじめとした表現スタイルの微妙な差異などを検証することで、総合的な教養を培うことが目標です。
 本気でゲームや小説の仕事につきたい人は、大いに歓迎します。講師の仕事も講義内でその都度、紹介し、現場の空気を知ってもらうきっかけといたします。
 しばしば誤解されますが、「サブカルチャー」と授業名で冠されているからといって、「ラク」というわけではありません!
 前期履修者の継続出席、学部・他学科からの聴講も歓迎しますが、途中で離脱するケースが少なくないので、いちどやると決めたら、最後まで受講することを推奨します。さもなければ、実になりません。

 

※2019年前期(春学期)の内容を、参考までに以下に示します。受講生の関心や状況に応じ、随時変更を加えていきます。教室での指示を聞き逃さないようにして下さい。

 

1:オリエンテーションヒロイック・ファンタジー概論
【ワークショップ:カードゲーム『ワンス・アポン・ア・タイム』をプレイする(1)】
・ガイダンス
・スプレイグ・ディ・キャンプによるヒロイック・ファンタジーの定義を紹介。
・ストーリーゲーム・ワークショップはアイスブレイク。

 

2:ゲーム・スタディーズの基礎
【ワークショップ:カードゲーム『ワンス・アポン・ア・タイム』をプレイする(2)】
・『ドラゴンクエストⅠ』に至るコンピュータゲーム史を概説、『ドラゴンクエストⅠ~Ⅲ』の構造を分析する。
・プロット構造、映画的なシークエンス、インターフェイスレベルデザインといった批評的ポイントを確認。
・ワークショップは同じルールを再戦することで、プレイングにどのような深みがもたらされるかを体感してもらう。

 

3:ゲーム企画の立案訓練
【ワークショップ:カードゲーム『ワンス・アポン・ア・タイム 騎士の物語/動物の物語』をプレイする】
・ゲーム作品の構造を学び、実際に企画を立ててみる。
・ワークショップでは、拡張ルールを導入することでのプレイ感覚の変化を体感してもらう。

 

4:三幕構成の研究(1)
【ワークショップ:カードゲーム『知ったか映画研究家』をプレイする】
井手聡司「三幕構成の研究」および、アリストテレス詩学』新訳(三浦洋訳、光文社古典新訳文庫)を介して、三幕構造の古典的解釈および現代的な応用を探る。
ロジェ・カイヨワ、ツヴェタン・トドロフおよびローズマリー・ジャクスンの理論も紹介する。
・ワークショップでは、『ワンス・アポン・ア・タイム』とは違うナラティヴ・ゲームを体感してもらう。

 

5:三幕構成の研究(2)
【ワークショップ:RPG『聖珠伝説パールシード』をプレイする(1)】
井手聡司「三幕構成の研究」および、アリストテレス詩学』新訳(三浦洋訳、光文社古典新訳文庫)を介して、三幕構造の古典的解釈および現代的な応用を探る。
ロジェ・カイヨワ、ツヴェタン・トドロフおよびローズマリー・ジャクスンの理論も吸収する。
・ワークショップでは、本格的なロールプレイングゲームのキャンペーン(連続)ゲームを開始する。まずはキャラクター創造とレベル1用の導入シナリオ。

 

6:フリッツ・ライバー「淒涼の岸」を講読
【ワークショップ:RPG『聖珠伝説パールシード』をプレイする(2)】
・ファンタジー文学の構造と文体を解析・考察する。
・ワークショップではレベル2用のシナリオをプレイする。

 

7:エリザベス・ダンフォース「ミッション:インプッポシブル」を講読
【ワークショップ:RPG『聖珠伝説パールシード』をプレイする(3)】
シェアード・ワールドとは何かを整理・考察する(二次創作とは違う)。
・ワークショップでは、レベル3用のシナリオをプレイする(NPCとのインタラクション)。

 

8:ケン・セント・アンドレ「カザンで最低の盗賊二人」を講読
【ワークショップ:RPG『聖珠伝説パールシード』をプレイする(4)】
・ファンタジー文学とライトノベルの違い、そして小説とゲームの違いを考える。
・ワークショップでは、レベル4用のシナリオをプレイする(一気に戦闘が激しくになる)。

 

9:キャサリン・カー「たった一つの小さな真実」を講読
【ワークショップ:RPG『聖珠伝説パールシード』をプレイする(5)】
・ファンタジー文学とジェンダーについて考察する(吉里川べおの批評を用いる)。
・ワークショップでは、レベル4用のシナリオをプレイする。

 

10:ベア・ピーターズ「魔術師あるところ道あり」を講読
【ワークショップ:RPG『聖珠伝説パールシード』をプレイする(6)】
・ファンタジー文学における建造物と戦術の描写から、リアリズムの位相について考察する。
・ワークショップでは、レベル5用のシナリオをプレイする。

 

11:マーク・オグリーン「オーガー・ポーカー」を講読
【ワークショップ:RPG『聖珠伝説パールシード』をプレイする(7)】
・ファンタジー文学における異種族描写の手法を分析する(吉里川べおの批評を用いる)。
・ワークショップでは、レベル5用のシナリオをプレイする。

 

12:岡和田晃「魔法の酒樽を取り返せ!」を講読
【ワークショップ:RPG『ピークス・オブ・ファンタジー』をプレイする(1)】
RPGのソロアドベンチャーをプレイし、一人用シナリオの基礎を考える。
・1 on 1 専用RPG『ピークス・オブ・ファンタジー』をプレイする。それぞれ学生がゲームマスター・プレイヤーの双方に挑戦する。

 

13:拡大版ワークショップ:RPG『ピークス・オブ・ファンタジー』をプレイする(2)
・1 on 1 専用RPG『ピークス・オブ・ファンタジー』をプレイする。それぞれ学生がゲームマスター・プレイヤーの双方に挑戦する。

 

14:『ピークス・オブ・ファンタジー』のシナリオ創作講座
・学生が考えてきたシナリオ素案をもとに、ルールと設定から肉付けを行い、レポート用に『ピークス・オブ・ファンタジー』のシナリオを創作する骨子を作る。

 

 

◆予習・復習

 毎回、前回の講義で課題に指定されてきたテクストを読んできて下さい。
 毎回のフィードバックと、途中で行う小レポートのために、ハードな予習復習が必要となります。
 また、レポート作成のためには、自分たちで実際にゲーム会を、最低1回は運営してもらうことになります(楽しく、やりがいのあることです!)。

 

【履修上の注意点】

 講義の際には、相当分量の論文や小説を読み進めていくことになります。関連して文献も紹介しますが、少々難解かもしれない理論も含まれます。自前でのゲーム会の運営など、授業外でも相当な努力が必要になります。講義へのフィードバックを毎回記入してもらい、それを講師が講義内容へ反映させていきます。その他、双方向的な講義になりますので、積極的な協力・参加が求められます。

 

【成績評価の基準および方法】

 評価のポイントは、以下の4点です。

1)ゲームデザインという作業の特性が理解できているか(約20%)
2)作品の内実や、周辺に存在する文脈が理解できているか(約20%)
3)課題へ積極的に取り組み、読解・創作ができているか(約40%)
4)批評的であることの意義が理解できているか(約20%)

 毎回、フィードバックシートへの記入を行い、それを小テストの代わりとします。それとは別に、期末レポートを課します。なお、レポート執筆の際にWikipediaを参考資料に用いることを禁止します。代返等・コピペ等の不正行為に関しては厳正に対処します。各種文章がしっかり書けていることは、評価の前提条件とします。
 上記の学習目標が達せられているかどうかを、フィードバックを含む出席点(40点)、レポート(60点)、のウエイトで評価して総合的に判定します。具体例として、その合計が90点以上をS評価、80点以上90点未満をS評価、70点以上80点未満をB評価、60点以上70点未満をC評価とします。
 ただし、出席回数が7割未満の場合、この限りではありません。

 なお、2019年後期(秋学期)のレポート課題は、RPG『ピークス・オブ・ファンタジー』のシナリオをデザインするという試みでした。

 


【教科書・参考書】

 

区分・書名・著者名・発行元・定価
教科書 『傭兵剣士』/J・ウィルソン、岡和田晃/書苑新社/1800
参考書  〈永遠の戦士エルリック〉/マイクル・ムアコック早川書房  
参考書  「層 映像と表現」Vol.11 /北海道大学大学院  
参考書  『ピークス・オブ・ファンタジー』/Fuyuki(伏見健二)/グランペール  
参考書  『ミッション・インプポッシブル』/K・S・アンドレほか/書苑新社  
参考書  『モンスターメーカー リザレクションRPG』/伏見健二/エンターブレイン  


【その他の教材】
ウォーロック・マガジン」Vol.5(グループSNE/書苑新社)掲載、岡和田晃/豊田奏太「ドルイドの末裔」(2018年度の最優秀レポートを、受講生の同意のもとに講師が商業水準まで徹底改稿した作品です)。本講義の一つの成果として参考になさってください。

「三人が、読む!『北園克衛モダン小説集 白昼のスカイスクレエパア』」の第6回が更新・完結

 シミルボン連載の「三人が、読む!『北園克衛モダン小説集 白昼のスカイスクレエパア』」の第6回が更新され、完結いたしました。最終回はこの連載で最長の14000字、全体では60000字に及ぶ、充実した座談会になりました。ボリュームたっぷりでお届け、すべて無料で読むことができます!

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シミルボン連載の「三人が、読む!『北園克衛モダン小説集 白昼のスカイスクレエパア』」、連載第5回

シミルボン連載の「三人が、読む!『北園克衛モダン小説集 白昼のスカイスクレエパア』」、連載第5回が更新されました。今回も10000字の大ボリュームです! フーゴ・ハルさん、黒澤俊邦さんとのセッションです。

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「図書新聞」2019年9月14日号に、連載「〈世界内戦〉下の文芸時評 第五五回 立ち消えた声を聞くための異なるテーブル」を寄稿

 早いところでは本日より発売の「図書新聞」の2019年9月14日号に、連載「〈世界内戦〉下の文芸時評 第五五回 立ち消えた声を聞くための異なるテーブル」を寄稿しました。今号では地上派TVで連日のように繰り出される嫌韓キャンペーンほか、以下を批判しました。

菅義偉×小泉進次郎(司会:田崎史郎)の対談「令和の日本政治を語ろう」(「文藝春秋」
「文藝春秋」嫌韓記事
古市憲寿「百の夜は跳ねて」に関する芥川賞の制度(「文藝春秋」
・千葉雅也「デッドライン」(「新潮」)
・「文芸評論家・渡部直己はなぜ、早稲田大学文学学術院教授を「解任」されたのか」(「映画芸術」)

 小説としては、以下を取り上げています。

・「文藝」の「韓国・フェミニズム・日本」特集および、イ・ラン「あなたの可能性を見せてください」(斎藤真理子訳)、チョ・ナムジュ「家出」(小山内園子/すんみ訳)、パク・ソルメ「水泳する人」(斎藤真理子訳)、ハン・ガン「京都、ファサード」(斎藤真理子訳)
・パク・ミンギュ「デウス・エクス・マキナ」(斎藤真理子訳、「文藝」)
・宮内悠介『偶然の聖地』(講談社
・鴇澤亜妃子『飢え渇く神の地』(創元推理文庫
・睡蓮みどり、石黒健治『BAD MOOD 睡蓮みどり写真集』(彩流社
・間宮緑「語り手たち」(「群像」)
・高尾長良「音に聞く」(「文學界」)
・子安ゆかり『聴くヘルダーリン/聴かれるヘルダーリン 詩作行為における「おと」』(書肆心水

 その他、チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』、グレアム・ハーマンのオブジェクト指向存在論、『ファイナルファンタジー』とナーシャ・ジベリアラン・ロブ=グリエ監督『囚われの美女』等にも言及しました。