※蔵原大さんの遺稿追悼文集をこちらで無償頒布中です。
「図書新聞」2025年6月28日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第一二四回 イスラエル・イラン間の新たな戦争と狭山事件を結ぶ糸」が掲載
「ナイトランド・クォータリーvol.39 狂気の華〜アウラ・ヒステリカ」が発売
2025年6月13日頃、僭越ながら私が編集長をつとめる「 ナイトランド・クォータリーvol.39 狂気の華〜アウラ・ヒステリカ」が発売。ムアコックに続き、イアン・ワトスンが初登場。小池博史インタビューや、エルゼ・ラスカー-シューラー、日本語の書下ろし小説、詩歌や批評も充実!
幻視者のためのホラー&ダーク・ファンタジー専門誌《ナイトランド・クォータリー》。
vol.39の特集は「狂気の華〜アウラ・ヒステリカ」。
狂気に囚われたものが持つ得体の知れなさ。
しかしときに人は、狂気に魅了される。
狂気は、異常な世界ではむしろ正しい存在であり、何よりも美しい姿ではないだろう か。
その美しさに人は惹かれ、翻弄される。
そして、人は狂気に恐怖することになる。
恐怖こそが、美しさの先にあるものなのだ。
小説・詩は、マイクル・ムアコック、イアン・ワトスン、シャーリイ・ジャクスン、エ ルゼ・ラスカー‐シューラー、V・R・ラング、エミーリオ・ソレッシー、花田一三六、二宮トキ、田辺青蛙、図子慧、髙坂明良(葛原りょう)。
ほか、演出家・小池博史インタビューを始め、レビューやコラム記事も満載!
◎主な内容
【Story】
■マイクル・ムアコック「森の民〜若きエルリックの物語〜」/訳:健部伸明
■イアン・ワトスン「慰めの散歩」/訳:大和田始
■シャーリイ・ジャクスン「歯」/訳:待兼音二郎
■エルゼ・ラスカー‐シューラー「バグダードのティノの夜」/訳:垂野創一郎
■花田一三六「不定期連載〈tribute circus〉彼女に関わる自叙伝」
■二宮トキ「水、夢の女」
■田辺青蛙「其レを育てる」
■図子慧「夢を食う魚」
【Poetry】
■ V・R・ラング「詩(ダーリン、奴らダイナマイトを見つけたわ)」二編/訳:菅原慎矢
■髙坂明良(葛原りょう)「短歌連作 青面母仔図」
■二宮トキ「腑窟 Ⅰ」
■エミーリオ・ソレッシー「死んだ女に寄せる詩」/訳:岡和田晃
【Interview】
■小池博史インタビュー「双方向的な身体性から出発する総合的な舞台芸術のために」/聞き手=岡和田晃・岩田恵
【Movie】
■『28年後...』〜パンデミックの先にある未来へ/深泰勉
【Essay】
■巻頭言/いわためぐみ
■六条御息所の生霊と「もの狂い」、そして「疎外」〜「葵上」『源氏物語』『伊勢物語』/榎村寛之
■多言語空間で身体的に再現される『オデュッセイア』の浄化〜小池博史演出・脚本・構成・振付『Soul of ODYSSEY』/岡和田晃
■妖女シメールの変容〜幻獣の登場とその発展について〜/健部伸明
■〈海外漫画の倉庫から〉 槌の音、絶やすべからず/吉川悠
■独立系未訳短編群から見るマイクル・ムアコック像/健部伸明
■「狂女」とメスメリズム、怪奇幻想文学をつなぐもの〜『アウラ・ヒステリカ』と『自然科学の夜の面』/岡和田晃
■怒り心頭、怒髪天!〜周囲のモータルたちを苛む女神たちと女傑軍団/丸屋九兵衛
■狂気と寝る男たち〜またはカンヌの闇/浅尾典彦
■古典より蘇る狂女ヤンデレ/鈴木一也
■いわくらの狂女の恋と絶望と……/深泰勉
【Book guide】/岡和田晃
■拉致の歴史と貧困の現在を「狂女」で結ぶ〜マリアーナ・エンリケス『寝煙草の危険』
■巨匠イアン・ワトスン、ここにあり!
■表紙/小池博史ブリッジプロジェクト -ODYSSEY『Soul of ODYSSEY』 Photo:許方于
「図書新聞」2025年6月7日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第一二三回「死後の生」を凌辱の反復とせず、「負債のエコノミー」として再解釈すること」が掲載
早いところでは本日(JST)より発売中の「図書新聞」2025年6月7日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第一二三回「死後の生」を凌辱の反復とせず、「負債のエコノミー」として再解釈すること」が掲載されています。今回は、自民党の西田昌司参議院議員による「ひめゆりの塔」の解説の歪曲を批判しつつ、以下の作品を取り上げました。紀要と批評に着目しています。
取り上げたのは以下の作品です。
・東京都立大学人文科学研究科西山雄二研究室紀要
「リミトロフ」七号での森澤友一朗と杉浦順子の責任編集のルイ=フェルディナン・セリーヌ特集
・森澤友一朗「ツケまみれのセリーヌ――「なしくずしの死」三部作としての『戦争』『ロンドン』」(「リミトロフ」)
・有田英也「海と戦争――セリーヌ未定稿「戦争」に見る感情とイデオロギー」(「リミトロフ」)
・杉浦順子「セリーヌの「伝説」」(「リミトロフ」)
・彦江智弘「ルイ=フェルディナン・セリーヌの工学的エクリチュール――セリーヌとル・コルビュジエのアメリカ」(「リミトロフ」)
・ミカエル・フェリエ「セリーヌ――プルーストとペレックの間で」(杉浦順子・今野健訳)(「リミトロフ」)
・有田英也・富山太佳夫共編『セリーヌを読む』(国書刊行会)
・セリーヌ『戦争』(幻戯書房、日仏翻訳文学賞奨励賞)
・宮崎裕助『ジャック・デリダ――死後の生を与える』(岩波書店)
・五味渕典嗣「「知能化兵士」の憂鬱と感傷――伊藤計劃『虐殺器官』における戦争と暴力」(「早稲田大学大学院教育学研究科紀要」三五号)
・ジュディス・バトラー『自分自身を説明すること――倫理的暴力の批判』(佐藤嘉幸・清水知子訳、月曜社)
・樺山三英「藪/地獄」(「逆光線」二〇号)
・赤井浩太・松田樹編『批評の歩き方』(人文書院)
・赤井浩太「ゼロ距離の批評――小林秀雄論」(『批評の歩き方』)
・小峰ひずみ「青春と悪罵――吉本隆明入門」(『批評の歩き方』)
・松田樹「あいまいな批評家の私――柄谷行人」(『批評の歩き方』)
・韻踏み夫「六八年の持続としての批評――絓秀実『小説的強度』を読む」(『批評の歩き方』)
・角野桃花「「孤児」よ、「痛み」をうめいて叫べ――『鬼滅の刃』と木村敏における自己と時間の再生」(『批評の歩き方』)
・森脇透青「批評と運動、あるいは東浩紀の批評的アクティヴィズムについて」(『批評の歩き方』)
・平坂純一「西部邁論――熱狂しないことに熱狂すること」(『批評の歩き方』)
・七草繭子「オブジェと円環的時間――澁澤龍彥論」(『批評の歩き方』)
・前田龍之祐「「反SFとしてのSF――山野浩一論」(『批評の歩き方』)
・安井海洋「見ることのメカニズム――宮川淳の美術批評」(『批評の歩き方』)
・岡田基生「「戦場」から「遊び場」へ――西田幾多郎と三木清の関係性を手がかりに「批評」の論争的性格を問い直す」(『批評の歩き方』)
・長濱よし野「「あなた」をなかったことにしないために――竹村和子論」(『批評の歩き方』)
・笠間直穂子『山影の町から』(河出書房新社)
・黒田夏子『組曲 わすれこうじ』(新潮社、新潮社紫式部文学賞)
その他、鎌田哲哉、内藤千珠子、大杉重男、池田雄一、石川忠司、山城むつみ、セリーヌ『なしくずしの死』、『ロンドン』、「クロゴルド王伝説」『古謡集バルザス=ブレイス』、芥川龍之介「河童」、「或阿呆の一生」、「地獄変」、「藪の中」、柄谷行人『批評とポスト・モダン』、『トランスクリティーク』、『遊動論』、神山睦美、ユイスマンス『さかしま』、澁澤龍彥『高丘親王航海記』、劉慈欣『三体』、ブランショ、黒田夏子「タミエの花」、ジョーン・ロビンソン『思い出のマーニー』等にも言及しています。
「図書新聞」は書店、図書館、コンビニのマルチコピー機、電子版各種でアクセスできます。
「図書新聞」2025年5月3日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第一二二回 ポストクリティーク時代を拓く、第三風景を意識した研究と批評を!」が掲載
・大城貞俊・村上陽子・鈴木比佐雄編『又吉栄喜の文学世界』(コールサック社)より下記の論考・ドリアン助川「又吉さんの目」・村上陽子「群星(むりぶし)の輝き――『又吉栄喜小説コレクション』をめぐって」・柳井貴士「〈耳〉をめぐる生者と死者の対話の可能性/不可能性――「ターナーの耳」論」・上戸理恵「谷崎由依『遠の眠りの』――〈行きつ戻りつ〉する者の物語」・菊原昌子「若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』――「これがらの人」の行く道」・渡辺みえこ「LBGTからSOGI(ソジ)へ」・遠藤郁子「高木佳子の短歌的世界――沈黙の構図に抗するために」・有元伸子「永井愛「見よ、飛行機の高く飛べるを」論――〈新しい女〉たちの絆と帰路」・佐川亜紀「現代女性詩の動向――多様化と抑圧の二面性の中で」・谷口幸男『新版 アイスランド サガ』(谷口幸男訳、松本涼監修、新潮社)および松本涼の解説・西村醇子「ダイアナ・ウィン・ジョーンズの流儀――ファンタジー作家は何と戦ったのか」・内田均「コナン・ドイルの短編小説と視覚情報」・内田均「H・G・ウェルズのゲーム作品と写真」・佐藤憲一「『白鯨』の内と外――タウン・ホー号の物語の時空間」・佐藤憲一「『白鯨』奪胎――マンガ版『白鯨』研究序説」・井川ちとせ『アカデミアの内と外――英文学史、出版文化、セルフヘルプ』(小鳥遊書房)・アン・クイン『スリー』(西野方子訳、幻戯書房)・ジル・クレマン『第三風景宣言』(笠間菜穂子訳、共和国)
その他、以下の作品・作家についても言及しています。『又吉栄喜小説コレクション』、『沖縄戦幻想小説集 夢幻王国』、又吉栄喜「ジョージが射殺した猪」および「ギンネム屋敷」に「ターナーの耳」、フロイト「喪とメランコリー」、ゴーゴリ「鼻」、若武千佐子「『暗い絵』私論」、高木佳子『片翅の蝶』および『青雨記』、石川啄木「飛行機」、ステブリン=カメンスキイ『サガのこころ』、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『魔法使いハウルと火の悪魔』および〈デイルマーク王国史〉と第三巻『呪文の織り手』および粕谷知世の解説、コナン・ドイル「科学の声」および「漆器の箱」に「大空の恐怖」、H・G・ウェルズの「フロアー・ゲームズ」および「リトル・ウォーズ」、ピーター・P・パーラ、イェスパー・ユール、ヴァージニア・ウルフ、グレアム・グリーン、F・ R・リーヴィス、アルバート・J・ゲラード、アーノルド・ベネット、D・H・ロレンス、ジェイムズ・ジョイス、ナタリー・サロート、ジャイルズ・ゴードン、イアン・ワトスン、カフカ、志賀直哉『暗夜行路』、かわぐちかいじ『テロルの系譜』および『牙拳』、『沈黙の艦隊』、柳瀬善治『三島由紀夫研究』、トマス・モア『ユートピア』、ガヤトリ・C・スピヴァク。