はじめに

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・訂正記事 ・反論記事

単著ほか最近の仕事

※編著『現代北海道文学論』が発売になりました。『北の想像力』の姉妹編です。
※翻訳「コッロールの恐怖」、「ヴァンパイアの地下堂」が収録されています。
※最新の評論『反ヘイト・反新自由主義の批評精神』が出ました。2008年から18年まで書いてきた、「純文学」とポストコロニアルなテーマを精選した批評集です。
ホビージャパン ウォーハンマーRPG ルールブック

ホビージャパン ウォーハンマーRPG ルールブック

  • 発売日: 2020/10/02
  • メディア: おもちゃ&ホビー
※『ウォーハンマーRPG ルールブック』が発売されました。第4版でオールド・ワールドの冒険を堪能しましょう。岡和田晃は翻訳チームに参加しています。
幻想と怪奇の英文学IV――変幻自在編

幻想と怪奇の英文学IV――変幻自在編

  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: 単行本
※論考「E・F・ベンスン、拡散と転覆のオブセッション――「塔の中の部屋」と「アムワース夫人」を中心に」を寄稿しています。
〈戦後文学〉の現在形

〈戦後文学〉の現在形

  • 発売日: 2020/10/23
  • メディア: 単行本
※論考「津島佑子 作家の芯にある「夢」で差別という「陵辱」を退ける」、「コラム 震災と文学」を寄稿しています。
エクリプス・フェイズ (Role&Roll RPG)

エクリプス・フェイズ (Role&Roll RPG)

※『エクリプス・フェイズ』日本語版ルールブックが、発売となりました。岡和田晃は翻訳チームに参加しています。日本語版の公式サイトで、サマリー形式の簡易ルール&シナリオ「ヘリオンズ・エッグ」、サンプルキャラクター等を無料でダウンロードできます
※『アゲインスト・ジェノサイド』は初の単著、自信作です。ロールプレイングゲームの可能性を引き出すべくつとめました。
「世界内戦」とわずかな希望〜伊藤計劃・SF・現代文学 (TH Series ADVANCED)

「世界内戦」とわずかな希望〜伊藤計劃・SF・現代文学 (TH Series ADVANCED)

  • 作者:岡和田晃
  • 発売日: 2013/11/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
※『「世界内戦」とわずかな希望』は、第二単著です(日本図書館協会選定図書になりました)。詳しくはこちらのエントリをご覧ください。また、収録記事「二十一世紀の実存」に脱落がありますが、版元のサイトで完全版をPDF形式でダウンロードできます。
※『向井豊昭の闘争』は第三単著。未來社のPR誌「未来」の連載を大幅に加筆改稿したもので、書き下ろしの第三章、詳細な作品リストもついています。帯は笙野頼子さん。
向井豊昭傑作集 飛ぶくしゃみ (転換期を読む)

向井豊昭傑作集 飛ぶくしゃみ (転換期を読む)

※『向井豊昭傑作集』は、編集、解説、年譜作成を担当しました(こちらも日本図書館協会選定図書になりました)。
※『北の想像力』は、統括と編集を担当いたしました。特設サイトはこちら! 日本SF大賞最終候補&星雲賞参考候補となりました。
アイヌ民族否定論に抗する

アイヌ民族否定論に抗する

  • 発売日: 2015/01/24
  • メディア: 単行本
アイヌ現代思想史研究者のマーク・ウィンチェスターさんとの共編で、レイシズムヘイトスピーチ歴史修正主義に反対する本を作りました。『アイヌ民族否定論に抗する』です。全国学図書館協議会選定図書となりました。
※『「世界内戦」とわずかな希望』は、第四単著です。2013年から2017年に書いた批評を集成しています。
※J・ピーターズ『ベア・カルトの地下墓地』レベル1を全訳し、レベル2を杉本=ヨハネさんと共同制作しました。
※『ブラマタリの供物』の設定協力と解説を担当いたしました。
※『こころ揺らす』に、岡和田晃のインタビューが掲載されています。
トンネルズ&トロールズ完全版BOOK

トンネルズ&トロールズ完全版BOOK

  • 発売日: 2018/12/23
  • メディア: おもちゃ&ホビー
※『トンネルズ&トロールズ完全版BOOK』に翻訳を担当した『アンクル・アグリーの地下迷宮』が同梱されています。
ナイトランド・クォータリーvol.17 ケルト幻想〜昏い森への誘い〜

ナイトランド・クォータリーvol.17 ケルト幻想〜昏い森への誘い〜

  • 発売日: 2019/06/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
ナイトランド・クォータリーvol.18 想像界の生物相

ナイトランド・クォータリーvol.18 想像界の生物相

  • 発売日: 2019/08/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
ナイトランド・クォータリーvol.19 架空幻想都市

ナイトランド・クォータリーvol.19 架空幻想都市

  • 発売日: 2019/12/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
ナイトランド・クォータリーvol.20 バベルの図書館

ナイトランド・クォータリーvol.20 バベルの図書館

  • 発売日: 2020/04/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
ナイトランド・クォータリーvol.21 空の幻想、蒼の都

ナイトランド・クォータリーvol.21 空の幻想、蒼の都

  • 発売日: 2020/06/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
ナイトランド・クォータリーvol.22 銀幕の怪異、闇夜の歌聲

ナイトランド・クォータリーvol.22 銀幕の怪異、闇夜の歌聲

  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
※「ナイトランド・クォータリー」Vol.16から編集に参画し、Vol.17から編集長になりました。
傭兵剣士 (T&Tアドベンチャー・シリーズ7)

傭兵剣士 (T&Tアドベンチャー・シリーズ7)

※ジェームズ・ウィルソン「傭兵剣士」「青蛙亭ふたたび」の翻訳チェック・多人数シナリオ寄稿、続編の「無敵の万太郎とシックス・パックの珍道中」と「〈黒のモンゴ―〉の塔ふたたび」が掲載されています。心意気としては第六単著のつもりです。
掠れた曙光 (幻視社別冊)

掠れた曙光 (幻視社別冊)

  • 作者:岡和田 晃
  • 発売日: 2019/11/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
※限定部数のみ刊行した第一詩集が、今年度の茨城文学賞を受けるなど望外の好評を得たため、増刷し商業流通することになりました。

献本について

 このブログやTwitterにて、アトランダムに献本いただいた作品を紹介しています(原則として商業媒体の新作。すべてを紹介できているわけではありません)。文芸時評をやっている関係上、文芸誌の献本については原則、ウェブログでの紹介はいたしません。時評や書評に間に合った場合、そちらに替えることもあります。

ウォーロック・マガジン」vol.9掲載「トロールの国のアリス」のサンプルキャラクターが無料ダウンロード可能になりました

 「ウォーロック・マガジン」vol.9掲載の「トロールの国のアリス」は、世界観的にはルイス・キャロルをはじめ英国古典ファンタジー作家たちの築いた基礎と、RPGファンタジーであるT&Tのつながりを「はっきり」示した仕事。ゲーム的なギミックも工夫しており、岡和田的には新境地の一作になりました。

 サンプルキャラクターが、グループSNEのサイトから無料ダウンロードできるようになっております。トウィードルダム&トウィードルディー無敵の万太郎、チェシャ猫の4体です。ご覧あれ! 戦闘時にコンボが出来たり、あれこれ楽しい仕掛けがあります。

 

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ウォーロックマガジンvol.9

ウォーロックマガジンvol.9

  • 作者:安田 均
  • 発売日: 2021/01/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

「壘」Vol.7に、形而上詩「ウィーン体制に一矢報いて」が掲載

詩誌「壘」Vol.7(2021年1月15日号、有限会社ネオセントラル)が刊行されました。形而上詩「ウィーン体制に一矢報いて」が掲載されています。

ペタル二世ペトロビッチ=ニェゴシュの仕事にインスパイアされた作品です。

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「潮流詩派」264号(潮流出版社)に、新作の現代詩「プロレタリア詩の逆襲」を寄稿

 1955年から続く詩誌「潮流詩派」264号(潮流出版社)に、新作の現代詩「プロレタリア詩の逆襲」を寄稿しました。

 「早稲田学報」2020年6月号「プロレタリア詩の誕生」を読んだ主宰の麻生直子さんにご依頼をいただき、巻頭から三番目、故・村田正夫さんの隣に配置していただく粋な計らいを頂戴しました。

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「図書新聞」2020年1月16日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第七一回 「意味の専有」を退け、詩が「無力」だと言わないでいること」が掲載

 発売中の「図書新聞」2020年1月16日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第七一回 「意味の専有」を退け、詩が「無力」だと言わないでいること」が掲載されています。再度の緊急事態宣言が発せられる状況を受け、今回は状況論に裂く紙幅を増やしました。作品としては、以下を取り上げています

 

・田野大輔「日本の「自粛警察」とファシズム――ドイツとの比較から考える」(「群像」)
・三木那由多「コミュニケーション的専有としての、意味の専有」(「群像」)
高橋弘希風力発電所」(「新潮」)
シルヴィア・プラス「メアリ・ヴェントゥーラと第九王国」(柴田元幸訳、「すばる」)
添田馨「非非戦戦――〈戦争〉と〈詩〉の二重らせん構造」(「Nemesis」)
山本貴光『記憶のデザイン』(筑摩書房)および『マルジナリアでつかまえて』(本の雑誌社
・ペタル二世ペトロビッチ=ニェゴシュ『山の花環 小宇宙の光』(田中一生・山崎洋訳、幻戯書房
笙野頼子『初期幻視小説集 海獣・呼ぶ植物・夢の死体』(講談社文芸文庫
・仙田学『女装するシングルパパが娘ふたりを育てながら考える 家族、愛、性のことなど』(WAVE出版)

 

 

 
 その他、田野大輔『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』、ガヤトリ・スピヴァクポストコロニアル理性批判』等にも言及しています。

 

 なお、私のミスで、本文の「FtMトランスジェンダー」と、「MtFトランスジェンダー」の表記が逆になってしまっています。正しくは、順番を入れ替えてお読みいただければと思います。お詫びして訂正いたします。

向井豊昭のエスペラント関連小説「Saitô-Hidekatu」を無料公開

 向井豊昭アーカイブで、向井豊昭のエスペラント関連小説「Saitô-Hidekatu」(1976)を特別無料公開しました。「言語帝国主義」に身体を張って抵抗し、あえなく弾圧されて夭折を余儀なくされた、山形県出身の僧侶・言語学者である斎藤秀一(1908~40年)に取材した小説です。

  このところ、エスペラントに関する歴史的な理解を欠いた発言が、あちこちで散見されるようになりました。
 エスペラント語は、支配的な言語を一方的に押し付ける「言語帝国主義」に対し、一貫として批判の姿勢を維持してきました。
 例えば、山形県出身の僧侶・言語学者である斎藤秀一(1908~40年)は、エスペラント運動やローマ字教育の先駆者の一人ですが、特高に苛烈な弾圧を受けて夭折を余儀なくされています。
 この斎藤秀一に取材し、自身もエスペラント運動に深く関わった向井豊昭の小説および関連解説を、特別に無料公開します。

genshisha.g2.xrea.com

「FT新聞」No.2904に、『エルリック!』のリプレイ「ヴェルヴェット・サークルの夢の果てに」が一挙掲載

2021年1月5日配信の「FT新聞」No.2904に、『エルリック!』のリプレイ「ヴェルヴェット・サークルの夢の果てに」が一挙掲載されています。ムアコックと「エルリック・サーガ」、システム紹介、丁寧な記述のリプレイ本編、400字詰め原稿用紙換算150枚超の記事となります。


https://ftnews-archive.blogspot.com

エルリック!』リプレイ「ヴェルヴェット・サークルの夢の果てに」 No.2904

 
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エルリック!』リプレイ
「ヴェルヴェット・サークルの夢の果てに」

著:岡和田 晃
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 アリオッチ神、わたしがなりたいのは、御身かわれ自身かということを問うておられるのなら、わたしはやはり自分自身でありたい。永遠の<混沌>は永遠の<法>同様に、あるいはそのほかの恒久なもの同様に、退屈なものにちがいなかろう。ある意味での死だ。わたしはこの多元宇宙にいつくしむものが、御身より多くあるぞ、魔神殿。わたしはまだ生きている。私はまだ生者のうちにある。
           ——マイクル・ムアコック『薔薇の復讐』(井辻朱美訳)

 こうして運命は、<法>がこの世を支配するための殉教者にエルリックをしたてるわけだ、友も敵もひとしなみに殺して、魂をすすって、必要な力を与えてくれる剣を配して。そしてわたしに悪と<混沌>を倒せとて、悪と<混沌>に縛りつける——だが、わたしはそうやすやすと言いなりになる頓馬にはならぬし、嬉々として犠牲になるつもりもないぞ。そうとも、わたしはいまもってメルニボネのエルリックなのだ。
           ——マイクル・ムアコックストームブリンガー』(井辻朱美訳)


マイクル・ムアコックとは?

 マイクル・ムアコックというイギリス出身の幻想作家がいます。簡潔にして流麗な文体を持つ名文家で、キリストを題材にした『この人を見よ』でネビュラ賞マーヴィン・ピークへ捧げられた『グローリアーナ』で世界幻想文学大賞受賞と、小説家としても優れた才能を発揮していますが、『ニュー・ワールズ』という先鋭的なSF雑誌の編集長を務めたり、『ホークウィンド』というロックバンドでのヴォーカリストとしての経歴も持つ多芸多才な人物です。
 ムアコックのバンド活動である『ホークウィンド』のアルバムや、『マイクル・ムアコック・アンド・ディープ・フィックス』のアルバムは、今でも手軽に入手できますし、音源を聴くことのできるサイトもあります。

 小説家としてのムアコックの代表作は、すばり「エルリック・サーガ」です。運命に呪われた白子の公子「エルリック」と、彼が手にしている人の魂を啜る魔剣「ストームブリンガー」が、神々に弄ばれ<法>と<混沌>との間を揺れ動きながら、文字通り世界の運命を巡って闘うという、ヒロイック・ファンタジーの王道を行く物語で、後のファンタジー小説RPGなどに絶大な影響を与えました。古典とみなされることも多いですが、細々とムアコック自身の手によって続編が書き継がれており、時代の変遷と共に作品世界の思想は常に深められていっています。
 ストームブリンガーエルリックの意志とは無関係に、敵のみならず、エルリックに近しい人間にも襲いかかり、結果として彼は次々と仕事の依頼人や友人・恋人などを手にかけてしまいます。そして、奪われた婚約者を救出しようとする過程で、自らがかつて皇帝として君臨していた祖国メルニボネをも滅ぼしてしまいます。

 しかし、生来の虚弱体質であるエルリックは、魔剣が殺した相手から吸い取って分け与えてくれる生命エネルギー無しでは生きていくことができないのです。それゆえに、ストームブリンガーの邪悪さを業として背負い込まざるをえなくなります。
 そのうえ、やむをえず接触した<混沌>の魔神アリオッチが、行く先々で陰謀を巡らしているがゆえに、禍根を断ちきろうとするエルリックの行為は、すべからく裏目に出てしまいます。そして、神々の手駒として働くうちに<法>と<混沌>との闘いの帰趨を担うほど重要な存在となったエルリックは、<混沌>から世界を救うために奮戦するものの、最終的には自らの手で世界全体を滅ぼしてしまうのです……。

 エントロピーに侵食される世界を敵わないと知りながらも守り抜こうとする、アンチヒーローとしての色彩が強いエルリックですが、単なるハムレット的な悲劇の主人公、というわけでは決してありません。冒険を進めるうちにエルリックは、自らの生きる<新王国>以外にも世界は存在し、それらの均衡を保つために転生を繰り返しながら人知れず奮闘している、「エターナル・チャンピオン(永遠の戦士)」と呼ばれる人たちと知り合い、自分もそのなかの一人として闘い続ける運命にあるということを悟ります。
 こうしてエルリックは、<法>と<混沌>との闘争は常に繰り返され、その間にもエントロピーは侵食を続けているけれども、戦い続ければいつか真の意味での自由を獲得し、新たな価値観に基づいた世界を作り上げることができるかもしれない、という、微かな希望の光を見出すのです。
 そして、ストームブリンガーによって<新王国>そのものが壊滅させられてもなお、エルリックたちによってもたらされた、来たるべき新たな世界の誕生は、確かな予感として物語全体を覆うに至ります。

 なお、エルリックの世界をムアコックの文章にててっとり早く体感したいという方は、旧版では『白い狼の宿命』、現行版では『この世の彼方の海』(ハヤカワ文庫SF)という文庫本に収録されている、『夢見る都』という短編がお勧めです。独立した物語として楽しめます。

●『エルリック!』とは?

 『トンネルズ&トロールズ』のデザイナーであるケン・セント・アンドレは、1981年に、このムアコックが手がけたファンタジー小説シリーズ「エルリック・サーガ」(邦訳は早川文庫。現行版では「永遠の戦士エルリック」シリーズ)をもとにしたRPG(会話型RPG、テーブルトークRPG)の『ストームブリンガー』をデザインしました。順調に版を重ね、第2版は1988年にホビージャパンから日本語版が刊行され(翻訳:安田均とグループSNE)、『クトゥルフ神話TRPG(クトゥルフの呼び声)』のディヴェロップメントで知られる、リン・ウィリスが整理した第5版が2006年にエンターブレインから日本語版が刊行されています(翻訳:江川晃とグループSNE)。
 注意していただきたいのが、原作付きのRPGだからといって、基本的には原作のキャラクターに成り代わって原作を追体験するゲームではない、ということです。もちろん、そのような遊び方もできますが、あくまで原作の世界観を体験するのが一般的なプレイスタイルであるといってよいでしょう。
 同じく原作付きのRPGである『指輪物語ロールプレイング』でもそうですが、原作のキャラを借りて同じようなストーリーを追体験するよりも、世界観だけを利用して、原作の要素は演出として利用した方が、プレイしやすいし、いたずらに物語が安っぽくなるのを避けることができるのですね。
 ベーシック・ロールプレイング・システムという技能ルールを中心にした簡素な汎用システムを母体としており、『ルーンクエスト』、『クトゥルフ神話TRPG』とほぼ同じ感覚でプレイすることができます。
 さて、『ストームブリンガー』のシステム的な特徴を思いつくままに書き出して見ますと、こんな感じでしょうか。

・原作モノにつきのものの「世界の狭さ」を感じさせない、骨太のデザイン・コンセプト
・『ベーシック・ロールプレイング・システム』ならではの、簡潔明快な判定システム(技能システム中心のD100下方ロール)
・原作に出てくる恰好いいキャラクター・クリーチャーやデーモンの設定が充実
・緻密でシビアな戦闘システム
・デーモンの召還を中心とした独自の魔法システム
・社会構造を反映させたリアルなキャラクターメイキング
・初期状態で旧版『ストームブリンガー』よりも数値的に強力なキャラクターを使用できること
・<法>と<天秤>と<混沌>の間で価値観が揺れ動くというシチュエーションを再現した<アリージャンス(忠誠)>のルール
・イメージ豊かな<新王国>という背景世界

 なかでも特筆すべきは、背景世界の<新王国>です。原作で描かれるファンタジーとしての豊穣なイメージを、うまく社会史的に読み替えてRPGの文法に当てはめることに成功しており、非常に魅力的なものに仕上がっていると思います。
 今回のセッションでは、『ストームブリンガー』第4版(未訳)と、第5版の間に発表された『エルリック!』というルールシステムを用いています。1995年にホビージャパンから発売されました(翻訳は北川直/ホビージャパンです)。『ストームブリンガー』と、基本的なシステム上の大きな変更点はありません。
 『クトゥルフ神話TRPG』と共通するルールで中世暗黒時代のヨーロッパをプレイする『クトゥルフ・ダークエイジ』(ホビージャパン、邦訳2005年)のデザイナーであるシュテファン・ゲシュべルトは、この『エルリック!』を熱心にプレイしており、『クトゥルフ神話TRPG』や『エルリック!』のルールを自分なりに改変していった結果、『クトゥルフ・ダークエイジ』の原型が形作られたとインタビューで答えています(「Worlds of Cthulhu」誌創刊号、2004年)

 説明としてはこれくらいで充分であるでしょう。
 実際、今回のリプレイではシステム経験者はゼロでしたし、原作を読んでいるのも私とエイワーのプレイヤーだけでしたので、お世辞にも予備知識が豊富とは言えない状態だったりしました。海外RPGを楽しむにあたり最も重要なのは、世界観の正しい理解であるので、この点、経験者がいない、という事実はかなりネックになってしまいます。
 ですが、プレイしてみた結果、楽しいセッションになったということは間違いありません。この楽しさを、皆様ともぜひ共有したいと思います。
 専門的な言葉は脚注で解説させていただきましたので、ごゆっくりリプレイをお楽しみ下さい!


↓リプレイ本編はこちら
https://ftbooks.xyz/ftnews/article/sb_vc.pdf


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