「図書新聞」2025年6月28日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第一二四回 イスラエル・イラン間の新たな戦争と狭山事件を結ぶ糸」が掲載

 早いところでは日本時間で本日から入手できる「図書新聞」2025年6月28日号(3693号)に、岡和田晃の連載「〈世界内戦〉下の文芸時評 第一二四回 イスラエル・イラン間の新たな戦争と狭山事件を結ぶ糸」が掲載されています。
 イスラエルとイランの間で勃発した新たな戦争は、他の地域にも関係あるということを指摘しつつ、冤罪を晴らさぬまま「強制終了」させられた部落差別事件・狭山事件についての論で結んでいます。以下の作品を取り上げました。
・木村哲也編『大江満雄セレクション』(書肆侃侃房)および収録作「音のしない大砲」、「機械の呼吸」、「四方海」、木村哲也の解説
神谷光信『片山敏彦  夢想と戦慄』(マイブックル)
神谷光信『片山敏彦 詩心と照応』(マイブックル)
鈴木ひとみ編『石川信雄全歌集』(書肆侃侃房)
・谷口哲郎編『藤田文江全集』(書肆子午線)および谷口の解説論文「藤田文江詩集『夜の聲』、未収録詩篇について――戦争の地震計としての詩」等
・石沢麻依『饒舌な名画たち――西洋絵画を読み解く11の視点』(集英社)およびジョルジュ・ド・ラ・トゥール「二つの炎のあるマグダラのマリア」等
・宮本正人「解放文学の軌跡(第十回)――「狭山事件」と竹内泰宏『人間の土地』」(「革」四ニ号)
 その他、『辻詩集』、鮎川信夫「『死の灰詩集』の本質」、高橋義孝ナチスの文学』『構想する精神』、トーマス・マンロバート・A・ハインライン『地球の緑の丘』、『石川信雄著作集』、ドゥルーズ無人島』、三浦篤『まなざしのレッスン1 西洋伝統絵画』、中野孝次ブリューゲルへの旅』、ケネス・クラーク『風景画論』、中上健次『地の果て至上の時』、渡邊英理「地域開発の記録文学/思想文学」等についても言及しています。
 
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「ナイトランド・クォータリーvol.39 狂気の華〜アウラ・ヒステリカ」が発売

 2025年6月13日頃、僭越ながら私が編集長をつとめる「 ナイトランド・クォータリーvol.39 狂気の華〜アウラ・ヒステリカ」が発売。ムアコックに続き、イアン・ワトスンが初登場。小池博史インタビューや、エルゼ・ラスカー-シューラー、日本語の書下ろし小説、詩歌や批評も充実!
 幻視者のためのホラー&ダーク・ファンタジー専門誌《ナイトランド・クォータリー》。
 vol.39の特集は「狂気の華〜アウラ・ヒステリカ」。
 狂気に囚われたものが持つ得体の知れなさ。
 しかしときに人は、狂気に魅了される。
 狂気は、異常な世界ではむしろ正しい存在であり、何よりも美しい姿ではないだろう か。 
 その美しさに人は惹かれ、翻弄される。
 そして、人は狂気に恐怖することになる。
 恐怖こそが、美しさの先にあるものなのだ。

 小説・詩は、マイクル・ムアコックイアン・ワトスン、シャーリイ・ジャクスン、エ ルゼ・ラスカー‐シューラー、V・R・ラング、エミーリオ・ソレッシー、花田一三六、二宮トキ、田辺青蛙、図子慧、髙坂明良(葛原りょう)。

 ほか、演出家・小池博史インタビューを始め、レビューやコラム記事も満載!

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◎主な内容

【Story】
マイクル・ムアコック「森の民〜若きエルリックの物語〜」/訳:健部伸明
イアン・ワトスン「慰めの散歩」/訳:大和田始
■シャーリイ・ジャクスン「歯」/訳:待兼音二郎
■エルゼ・ラスカー‐シューラー「バグダードのティノの夜」/訳:垂野創一郎
花田一三六不定期連載〈tribute circus〉彼女に関わる自叙伝」
■二宮トキ「水、夢の女」
田辺青蛙「其レを育てる」
■図子慧「夢を食う魚」

【Poetry】
■ V・R・ラング「詩(ダーリン、奴らダイナマイトを見つけたわ)」二編/訳:菅原慎矢
■髙坂明良(葛原りょう)「短歌連作 青面母仔図」
■二宮トキ「腑窟 Ⅰ」
■エミーリオ・ソレッシー「死んだ女に寄せる詩」/訳:岡和田晃

【Interview】
■小池博史インタビュー「双方向的な身体性から出発する総合的な舞台芸術のために」/聞き手=岡和田晃・岩田恵

【Movie】
■『28年後...』〜パンデミックの先にある未来へ/深泰勉

【Essay】
■巻頭言/いわためぐみ
六条御息所の生霊と「もの狂い」、そして「疎外」〜「葵上」『源氏物語』『伊勢物語』/榎村寛之
■多言語空間で身体的に再現される『オデュッセイア』の浄化〜小池博史演出・脚本・構成・振付『Soul of ODYSSEY』/岡和田晃
■妖女シメールの変容〜幻獣の登場とその発展について〜/健部伸明
■〈海外漫画の倉庫から〉 槌の音、絶やすべからず/吉川悠
■独立系未訳短編群から見るマイクル・ムアコック像/健部伸明
■「狂女」とメスメリズム、怪奇幻想文学をつなぐもの〜『アウラ・ヒステリカ』と『自然科学の夜の面』/岡和田晃
■怒り心頭、怒髪天!〜周囲のモータルたちを苛む女神たちと女傑軍団/丸屋九兵衛
■狂気と寝る男たち〜またはカンヌの闇/浅尾典彦
■古典より蘇る狂女ヤンデレ/鈴木一也
■いわくらの狂女の恋と絶望と……/深泰勉

【Book guide】/岡和田晃
■拉致の歴史と貧困の現在を「狂女」で結ぶ〜マリアーナ・エンリケス『寝煙草の危険』
■巨匠イアン・ワトスン、ここにあり!
■表紙/小池博史ブリッジプロジェクト -ODYSSEY『Soul of ODYSSEY』 Photo:許方于

 

「図書新聞」2025年6月7日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第一二三回「死後の生」を凌辱の反復とせず、「負債のエコノミー」として再解釈すること」が掲載

 早いところでは本日(JST)より発売中の「図書新聞」2025年6月7日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第一二三回「死後の生」を凌辱の反復とせず、「負債のエコノミー」として再解釈すること」が掲載されています。今回は、自民党西田昌司参議院議員による「ひめゆりの塔」の解説の歪曲を批判しつつ、以下の作品を取り上げました。紀要と批評に着目しています。
 取り上げたのは以下の作品です。

 

東京都立大学人文科学研究科西山雄二研究室紀要「リミトロフ」七号での森澤友一朗と杉浦順子の責任編集のルイ=フェルディナン・セリーヌ特集
・森澤友一朗「ツケまみれのセリーヌ――「なしくずしの死」三部作としての『戦争』『ロンドン』」(「リミトロフ」)
・有田英也「海と戦争――セリーヌ未定稿「戦争」に見る感情とイデオロギー」(「リミトロフ」)
・杉浦順子「セリーヌの「伝説」」(「リミトロフ」)
・彦江智弘「ルイ=フェルディナン・セリーヌの工学的エクリチュール――セリーヌル・コルビュジエアメリカ」(「リミトロフ」)
・ミカエル・フェリエ「セリーヌ――プルーストペレックの間で」(杉浦順子・今野健訳)(「リミトロフ」)
・有田英也・富山太佳夫共編『セリーヌを読む』(国書刊行会
セリーヌ『戦争』(幻戯書房、日仏翻訳文学賞奨励賞)
・宮崎裕助『ジャック・デリダ――死後の生を与える』(岩波書店
・五味渕典嗣「「知能化兵士」の憂鬱と感傷――伊藤計劃虐殺器官』における戦争と暴力」(「早稲田大学大学院教育学研究科紀要」三五号)
ジュディス・バトラー『自分自身を説明すること――倫理的暴力の批判』(佐藤嘉幸・清水知子訳、月曜社
樺山三英「藪/地獄」(「逆光線」二〇号)
・赤井浩太・松田樹編『批評の歩き方』(人文書院
・赤井浩太「ゼロ距離の批評――小林秀雄論」(『批評の歩き方』)
・小峰ひずみ「青春と悪罵――吉本隆明入門」(『批評の歩き方』)
・松田樹「あいまいな批評家の私――柄谷行人」(『批評の歩き方』)
・韻踏み夫「六八年の持続としての批評――絓秀実『小説的強度』を読む」(『批評の歩き方』)
・角野桃花「「孤児」よ、「痛み」をうめいて叫べ――『鬼滅の刃』と木村敏における自己と時間の再生」(『批評の歩き方』)
・森脇透青「批評と運動、あるいは東浩紀の批評的アクティヴィズムについて」(『批評の歩き方』)
・平坂純一「西部邁論――熱狂しないことに熱狂すること」(『批評の歩き方』)
・七草繭子「オブジェと円環的時間――澁澤龍彥論」(『批評の歩き方』)
・前田龍之祐「「反SFとしてのSF――山野浩一論」(『批評の歩き方』)
・安井海洋「見ることのメカニズム――宮川淳の美術批評」(『批評の歩き方』)
・岡田基生「「戦場」から「遊び場」へ――西田幾多郎三木清の関係性を手がかりに「批評」の論争的性格を問い直す」(『批評の歩き方』)
・長濱よし野「「あなた」をなかったことにしないために――竹村和子論」(『批評の歩き方』)
・笠間直穂子『山影の町から』(河出書房新社
黒田夏子組曲 わすれこうじ』(新潮社、新潮社紫式部文学賞

 その他、鎌田哲哉内藤千珠子大杉重男池田雄一石川忠司山城むつみセリーヌ『なしくずしの死』、『ロンドン』、「クロゴルド王伝説」『古謡集バルザス=ブレイス』、芥川龍之介「河童」、「或阿呆の一生」、「地獄変」、「藪の中」、柄谷行人『批評とポスト・モダン』、『トランスクリティーク』、『遊動論』、神山睦美、ユイスマンス『さかしま』、澁澤龍彥『高丘親王航海記』、劉慈欣『三体』、ブランショ黒田夏子「タミエの花」、ジョーン・ロビンソン『思い出のマーニー』等にも言及しています。
 「図書新聞」は書店、図書館、コンビニのマルチコピー機、電子版各種でアクセスできます。

チケットの半券、テキストの画像のようです

5月21日18:45より、さっぽろ自由学校「遊」にて、「近代のアイヌの経験を日本語で文学として描くこと」を開催

 長岡伸一さんがコーディネートする、さっぽろ自由学校「遊」の連続講座「「和人問題」をあぶり出せ なぜマジョリティは特権に無自覚か」の第1回、5月21日18:45~20:45に、「近代のアイヌの経験を日本語で文学として描くこと」と題してお話します。よろしければご参加ください。オンライン開催で、お申し込みはこちらから。

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 長岡伸一さんは、元NHKディレクター。NHKのカメラマンだった私のおじ(故人)とも一緒に仕事をしていた方で、共編著『アイヌ民族否定論に抗する』(河出書房新社)にもご寄稿をいただきました。

 

「図書新聞」2025年5月3日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第一二二回 ポストクリティーク時代を拓く、第三風景を意識した研究と批評を!」が掲載

 発売中の「図書新聞」2025年5月3日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第一二二回 ポストクリティーク時代を拓く、第三風景を意識した研究と批評を!」が掲載されました。今回は、単行本で出ている優れた論集を中心に論じています。具体的には、以下の作品を紹介しました。
・大城貞俊・村上陽子・鈴木比佐雄編『又吉栄喜の文学世界』(コールサック社)より下記の論考
ドリアン助川「又吉さんの目」
・村上陽子「群星(むりぶし)の輝き――『又吉栄喜小説コレクション』をめぐって」
 ・柳井貴士「〈耳〉をめぐる生者と死者の対話の可能性/不可能性――「ターナーの耳」論」
・新・フェミニズム批評の会『現代女性文学論』(翰林書房)より下記の論考
・上戸理恵「谷崎由依『遠の眠りの』――〈行きつ戻りつ〉する者の物語」
・菊原昌子「若竹千佐子『おらおらでひとりいぐも』――「これがらの人」の行く道」
・渡辺みえこ「LBGTからSOGI(ソジ)へ」
・遠藤郁子「高木佳子の短歌的世界――沈黙の構図に抗するために」
・有元伸子「永井愛「見よ、飛行機の高く飛べるを」論――〈新しい女〉たちの絆と帰路」
・佐川亜紀「現代女性詩の動向――多様化と抑圧の二面性の中で」
・谷口幸男『新版 アイスランド サガ』(谷口幸男訳、松本涼監修、新潮社)および松本涼の解説
・今村武・佐藤憲一『越境のパラダイムパラダイムの越境――フュスリ絵画から魔法使いハウルまで』(春風社)より以下の論考
・西村醇子「ダイアナ・ウィン・ジョーンズの流儀――ファンタジー作家は何と戦ったのか」
・内田均「コナン・ドイルの短編小説と視覚情報」
・内田均「H・G・ウェルズのゲーム作品と写真」
・佐藤憲一「『白鯨』の内と外――タウン・ホー号の物語の時空間」
・佐藤憲一「『白鯨』奪胎――マンガ版『白鯨』研究序説」
・ロバート・ハンプソン『評伝 ジョウゼフ・コンラッド――女性・アメリカ・フランス』(山本薫訳、松柏社
・井川ちとせ『アカデミアの内と外――英文学史、出版文化、セルフヘルプ』(小鳥遊書房)
・アン・クイン『スリー』(西野方子訳、幻戯書房
・マックス・ブロート『ユダヤ人の女たち』(中村寿訳、幻戯書房
・柳瀬善治「尾道の文化関連資料における地域表象とヒーロー表象――尾道市史近代編現代編編集作業の余白に」(「アジア社会文化研究」第二五号)
・ジル・クレマン『第三風景宣言』(笠間菜穂子訳、共和国)

 

 その他、以下の作品・作家についても言及しています。『又吉栄喜小説コレクション』、『沖縄戦幻想小説集 夢幻王国』、又吉栄喜「ジョージが射殺した猪」および「ギンネム屋敷」に「ターナーの耳」、フロイト「喪とメランコリー」、ゴーゴリ「鼻」、若武千佐子「『暗い絵』私論」、高木佳子『片翅の蝶』および『青雨記』、石川啄木「飛行機」、ステブリン=カメンスキイ『サガのこころ』、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ魔法使いハウルと火の悪魔』および〈デイルマーク王国史〉と第三巻『呪文の織り手』および粕谷知世の解説、コナン・ドイル「科学の声」および「漆器の箱」に「大空の恐怖」、H・G・ウェルズの「フロアー・ゲームズ」および「リトル・ウォーズ」、ピーター・P・パーラ、イェスパー・ユール、ヴァージニア・ウルフグレアム・グリーン、F・ R・リーヴィス、アルバート・J・ゲラード、アーノルド・ベネット、D・H・ロレンス、ジェイムズ・ジョイスナタリー・サロート、ジャイルズ・ゴードン、イアン・ワトスンカフカ志賀直哉『暗夜行路』、かわぐちかいじ『テロルの系譜』および『牙拳』、『沈黙の艦隊』、柳瀬善治『三島由紀夫研究』、トマス・モア『ユートピア』、ガヤトリ・C・スピヴァク

4月15日に『戦え!オスパー』の上映、20日に第一回「若松丈太郎の詩と評論を語り継ぐ会」で発表

 山野浩一公式サイト、更新しました。貴重な機会です。是非お越しください。

4/15に東京シネセンターで『戦え!オスパー』が上映 - 山野浩一(Koichi Yamano)公式ウェブサイト(新)

 

 すでにコールサック社のメールマガジンFacebookで告知されていますが、第一回「若松丈太郎の詩と評論を語り継ぐ会」が2025年4月20日(日)に開催されます。私は在外研究中のためリモート参加にて、「詩集『北緯37度25分の風とカナリア』における予見的な詩の解明」と題しお話をさせていただきます。

 

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