2005-01-01から1年間の記事一覧
とかく、奇妙な色合いのルポルタージュだ。 凄まじい邦題から背を向けて原題に立ち返ると、『チリに潜入したミゲル・リティンの冒険』とある。 つまりは、芸術家肌だと思われるミゲル・リティンという映画監督が、ビザを偽造し姿を変え、追放された祖国チリ…
ジョン・スラデックの『遊星よりの昆虫軍X』を読む。 スラデックとはトーマス・M・ディッシュの盟友で、ニューウェーヴSF全盛期、つまり60年代後半にディッシュと組んでアメリカからイギリスへと移住し、そこでおちゃらけた言語遊戯系SFをものして名…
クラシックD&Dの高レベルシナリオを準備している。その兼ね合いでクラシックD&Dの緑箱(コンパニオンセット)から導入される「ウォーマシーン」という大規模戦闘ルールを用いたテストセッションを行ってみた。 用いたシナリオはルールセット付属の「ブラック…
ultan.net(http://www.ultan.net)の力を借りて、ようやくジーン・ウルフ『新しい太陽の書』の第五巻「The Urth of the New Sun」を読了しました。と、タイムリーに1巻〜4巻が復刊ISBN:4150106894(リンク先は『拷問者の影』のみ)。こちらもばっちり入手し…
いわゆる「近代小説」が語られるとなると、たいていその出発点はサミュエル・リチャードソンやセルバンテスからとなる。それ以前の文学作品はその多くが書簡形式であったり、吟遊詩人によって語られるロマンスに代表される騎士道文学や牧人文学という形をと…
糞暑いなかの労働を終えて家路に着く途中、近所の名画座でヴィスコンティの『山猫』のリヴァイヴァル版を上映していたので衝動的に飛び込み、22時30分頃までじっと見入る。 いやあ、よかった。 正直に告白すれば、いまの私の生活において『山猫』に共鳴…
ポール・ド・マンの『美学イデオロギー』を思い切って購入する。この手の本を買うのはずいぶん久しぶりである。 ド・マンについてはざっと教科書的な知識しかなかったのだが、ざっと一読するとずいぶん印象が変わった。 デリダの書き方がレトリックに逃げて…
▼絶え間なく文章が逸脱していくテクストに惹かれ続けている。*1 ▼それがなぜ魅力的に感じられるかというと、ある種の明快な断言からはほど遠い言い回しによって、普通ならば通り過ぎてしまうような切り捨てられた生の断片を拾い上げて寄せ集め、そこから総体…
▼でも、長くなりそうなので、このノートでは、ディレイニー作品に共通して抱いている感想めいたものを『ノヴァ』を中心に書いていこうと思う。 ▼ディレイニーは60年代を代表する早熟の「天才」SF作家だが、いま読み直してみると、そのヴィジョンの審美的な…
▼アメリカ・コロラド州の奥地にある謎の湖。その傍らには「恐竜ロッジ」(湖より発掘された恐竜の化石標本が展示されていることが名称の由来であるらしい)と呼ばれる曰く付きの建物が存在するが、それを、こともあろうに「ドリームウェブ研究所」という謎の…