糞暑いなかの労働を終えて家路に着く途中、近所の名画座でヴィスコンティの『山猫』のリヴァイヴァル版を上映していたので衝動的に飛び込み、22時30分頃までじっと見入る。
いやあ、よかった。
正直に告白すれば、いまの私の生活において『山猫』に共鳴するようなところはまるでないのだけれども、おそらくそれがゆえに、深い感動を抱くことができたのだろう。
ついでに原作を読み返してしまった。
しかしながら映画を観てつくづく感じたのだけれども、シチリアの田舎というのは本当に泥臭い場所なのだな。あの鬱蒼と茂る森と煌びやかな(イタリア的な明るさとでも言おうか)のドン・ファブリツィオの邸宅との微妙な齟齬が「来る」んだなあ。
それはともかく、俺は同じヴィスコンティの『ルートヴィヒ』もかなり好きだったりするのだけれども、あの映画の城を観てもこういう類の違和感は感じなかったりする。