新刊、『傭兵剣士+青蛙亭ふたたび+無敵の万太郎とシックスパックの珍道中』(グループSNE/書苑新社)

 新刊、著:ジェームズ・ウィルソン、岡和田晃、訳:安田均清松みゆき『傭兵剣士+青蛙亭ふたたび+無敵の万太郎とシックスパックの珍道中』(グループSNE/書苑新社)が、7月12日に刊行されます。


 簡易ルールが付属しており、これ1冊で5本のソロアドベンチャー、3本の多人数用シナリオ、1本のコミックを堪能することができます。自信をもってお勧めできる逸品ですので、ぜひお求めいただければ幸いです。 

傭兵剣士 (T&Tアドベンチャー・シリーズ7)

傭兵剣士 (T&Tアドベンチャー・シリーズ7)

 

 

 ……と、これだけでは寂しいので、もう少し詳しい説明を。

 『傭兵剣士』は『トンネルズ&トロールズ』第5版の関連製品として、1988年、最初に日本語版が出たソロ・アドベンチャーです。ゲームブック形式の一人用冒険シナリオということです。2006年には、『トンネルズ&トロールズ』第7版対応のソロアドベンチャーとして、グループSNEのサイトに連載されていたリプレイを第7版対応にする形で再刊されています。

 そう、2019年に出る『トンネルズ&トロールズ』完全版対応の『傭兵剣士』は、三度、出版されるソロアドベンチャーになるのです。おそらく、本邦初の偉業です。

 グループSNEさんのサイトで、安田均さんのあとがきが公開されていますが、そちらが簡潔明快。
「なぜ3度も? それはずばり、このソロアドベンチャーが‘名作’だからです。」

www.groupsne.co.jp

 そう、「傭兵剣士」と「青蛙亭ふたたび」は、紛うことなき名作です。詳しくは、T&Tファンの「かあかばど」さんの分析をご覧ください。

togetter.com

 ストーリーも語りも面白いです。双方向移動ができるのもポイントですね。唯一の難点はマッピングが必須のところですが、それは、私が素案を作った地図(中山将平さんヴィジュアル化)と、注釈的なシナリオ案があれば完遂できるようにしました。システム面は、先のかあかばあどさんのほか、ヒム、たまねぎ須永、吉里川べおさんによるT&T研究も参照しております!
 それに加えて、両方のソロアドベンチャーの多人数用シナリオ版をデザインしました。テストプレイの模様をご紹介。

 これらに加え、「ウォーロック・マガジン」Vol.1~3に連載された「無敵の万太郎とシックス・パックの珍道中」と、「ウォーロック・マガジン」Vol.4に収録された中山将平さんの漫画「はじめての無敵の万太郎とシックス・パック」が収められ、さらには、同シナリオの原作で、「Role&Roll」Vol.177のソロアドベンチャー「魔法の酒樽を取り戻せ!」の多人数用シナリオ版「〈黒のモンゴー〉の塔ふたたび」を、この単行本のために書き下ろしました。

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 以前「Lead&Read」掲載のD&D3.5版エベロン・リプレイ3部作(2008)を書いた際に、もっとも意識していたのはオリジナル・デザイナーのキース・ベイカーの小説でした。「無敵の万太郎とシックス・パック」が意識したのはJ・ウィルソンの雰囲気づくりです。例えば、ウィルソンは小汚いドワーフの描写がすごく巧いのです。

D&Dノベル 夜の門 (ドリーミング・ダーク第三部 完結編) (HJ文庫G)

D&Dノベル 夜の門 (ドリーミング・ダーク第三部 完結編) (HJ文庫G)

 

akiraokawada.hatenablog.com

 それだけではなく、旧版へのオマージュを捧げながら、キャンペーンゲームのエッセンスをふんだんに盛り込みました。

 ちなみに私が初めて買ったゲームブックは『傭兵剣士』なんですよ。1994年、富貴堂書店本店でのことでした。それ以降、素晴らしい雰囲気に魅せられて何度も読み直してきましたが、それから四半世紀が経過し、まさかこんな形で関われるとは感無量です。

 今年は私の『アゲインスト・ジェノサイド』(2009)の刊行十周年です。同書は高評価してくださる方が多く、幸せな本でした。

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 今度出る『傭兵剣士+青蛙亭ふたたび+無敵の万太郎とシックス・パックの珍道中』(2019)も気に入っていただけるかなと思います。

 

【付録のルール考察】

 「傭兵剣士」に出てくる〈黒のモンゴー〉の《これでもくらえ!》は46点ダメージ。つまり、知性度は46。『T&T完全版』では14レベル呪文までしか使えません。21レベルの魔術師ならではのウリは、魔力度が210点を超えるほどに豊穣、ということでしょうか。15レベル以上の呪文は《杖折り》、《能力値変換》、《召喚》、《魂隠し》、《生まれ変わり》の6つ。これらが使えないのが、おそらくモンゴーの弱点でコンプレックスだと思われます(笑)。