「TH(トーキング・ヘッズ叢書)No.77 夢魔~闇の世界からの呼び声」に寄稿しました。

 「TH(トーキング・ヘッズ叢書)No.77 夢魔~闇の世界からの呼び声」が月末に発売となります。
 私は特集にあわせて論考「「夢」を成立させる空間の構築 エドワード・ルーカス・ホワイト『ルクンドオ』」、および川勝徳重『電話・睡眠・音楽』と『D・G・ロセッティ作品集』のレビュー、連載「山野浩一とその時代(6)」を寄稿しています。


 「山野浩一とその時代(6)」は、「三つの英訳版「鳥はいまどこを飛ぶか」」と題し、英語圏でのSF研究書にも踏み込んだ内容になっています。その他、阿澄森羅さん、高槻真樹さん、仁木稔さん、放克犬さん(今号デビュー)、待兼音二郎さん、松本寛大さん、渡邊利道さんの原稿の監修をしました。

http://athird.cart.fc2.com/ca1/255/p-r2-s/

 

 なお、p.134に2点、訂正があります。

 ×夏目房之助→○夏目房之介

 ×日本画→○油絵

夢魔〜闇の世界からの呼び声 (トーキングヘッズ叢書 No.77)

夢魔〜闇の世界からの呼び声 (トーキングヘッズ叢書 No.77)

 

 

「鹿首」13号に「〈死〉を内包した北方性から 天草季紅『ユーカラ邂逅 アイヌ文学と歌人小中英之の世界』評」を寄稿

 研生英午さんの編集する詩・歌・句・美の共同誌「鹿首」13号に招待いただき、「〈死〉を内包した北方性から 天草季紅『ユーカラ邂逅 アイヌ文学と歌人小中英之の世界』評」を寄稿しました。6ページにわたって、短歌と現代詩、「アイヌ文学」の交錯する地点を、小中と天草の試みを介して論じました。

 「鹿首」のサイトはこちら。出たばかりなので、更新はまだのようですが、13号についても、そのうち更新されるのではないかと思います。注文もこちらからできるようですよ。
http://shikakubi.dou-jin.com/


 なお、「鹿首」13号の98ページ、「安藤次男」の「安藤」は、いずれも「安東」が正しいです。申し訳ありません。

 

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『骨踊り 向井豊昭小説選』が出ます

 『骨踊り 向井豊昭小説選』の予告が出ています。640ページという大著になりますが、『鳩笛』は限定500部、出ても古書で5万円ほど、「脱殻」は現存1部。ヌーヴォー・ロマンに学んだテクニカルな後期作も収めます。技法は東條慎生さん・山城むつみさんとの鼎談で解説し、『電話・睡眠・音楽』(リイド社)が好評の川勝徳重さんに装丁および挿画をお願いしました。依頼前から川勝さんは向井読者です『BARABARA』のカバーを手がけた蛭子能収からの「ガロ」的な叛逆精神の継承という文脈もあります。
 内容はぎっしり、天皇制やアイヌ差別への原理的な批判が詰まっていますが、持ち味はほどよく軽く、電車内でも読めそう。入門にも最適。近現代の日本文学・フランス文学に関心のある方にも刺さるように作りました。欧文タイトルは私が考案しております。

骨踊り

骨踊り

 

 

向井豊昭小説選
骨踊り

 

四六判並製/640頁/2019年1月下旬刊行予定
ISBN978-4-86488-164-7 C0093 ¥4600E

 

あらゆる小説ジャンルを呑み込んだ強靭な文体。アイヌ文化と「ヤマト」の差別に対する苛烈な問題意識――おそるべきゲリラ作家の入手困難な代表作を精選したメガ・コレクション。平成の日本文学シーンに衝撃を与えたデビュー作「BARABARA」の原形長篇(表題作)をはじめ、現存一部にもかかわらず話題を呼んだ初期作「脱殻(カイセイエ)」、もはや何にも似ていない独自の境地を開いた「祖父三部作」など、知られざる傑作長・中・短篇6作を(ほぼ)初書籍化。さらに関連文献や、向井を再評価すべく批評家三人が語りおろした鼎談など、作品を読み解く巻末資料も充実。没後10年……もう、この世界文学の巨人を見逃すことはできない!

 

*カバー装画は『電話・睡眠・音楽』で話題の漫画家・川勝徳重氏による描き下ろし

 

■内容


(小説)
1(初期短篇)
鳩笛[1970]
脱殻(カイセイエ)[1972]
2(長篇)
骨(コツ)踊り(「BARABARA」原型)[未発表]
3(祖父三部作)
ええじゃないか[1996]
武蔵国豊島郡練馬城パノラマ大写真[1998]
あゝうつくしや[2000]
(資料)
根室・千島歴史人名事典』より「向井夷希微」[2002]
早稲田文学新人賞受賞の言葉[1996]
単行本『BARABARA』あとがき[1999]
やあ、向井さん[2007]
平岡篤頼「フランス小説の現在」[1984
(解説)
鼎談:岡和田晃、東條慎生、山城むつみ向井豊昭を読み直す」

 

■解説鼎談より抜粋
岡和田晃氏――ヤマトに対する反逆者を探り・書く。後藤明生風に言えばそれが向井さん自身の「日本近代文学との戦い」につながる。
東條慎生氏――文学のルーツである祖父について、その逸脱をたどりつつ小説の語りもまた不断に逸脱しながらたどるのが「祖父三部作」だと思います。
■「すばる」18年12月号より
山城むつみ氏――この本には、最小限、二つの衝撃力が秘められている。ひとつは「脱殻」、もうひとつは「あゝうつくしや」だ。その衝撃力は、「驚嘆すべき」とか「瞠目すべき」という讃辞を大きく食み出て、私は困惑を禁じ得なかった。

 

【著者略歴】(むかい・とよあき)1933年、東京生まれ。祖父は詩人の向井夷希微(いきび)。東京大空襲ののち下北半島・川内町(現むつ市)に疎開。中学卒業後、鉱山労働に従事するも結核となり、療養生活を経て玉川大学文学部通信教育課程で教員免許を取得。北海道日高地方の小学校で25年間勤務した後、上京。1996年、「BARABARA」で第12回早稲田文学新人賞を当時最年長の62歳で受賞、反骨の「マイナー文学」作家として注目を集める。死の直前までゲリラ的な作品発表を継続したが、2008年、肝臓癌で逝去。商業出版の既刊単著に『BARABARA』(四谷ラウンド、1999)、『DOVADOVA』(四谷ラウンド、2001)、『怪道をゆく』(早稲田文学会/太田出版、2008)、『飛ぶくしゃみ 向井豊昭傑作集』(未來社、2014)がある。

 

週間「読書人」2019年1月18日号に、巽孝之『パラノイドの帝国』書評を寄稿

 週刊「読書人」2019年1月18日号に、巽孝之『パラノイドの帝国 アメリカ文学精神史講義』(大修館書店)の書評「マニエリスムとしてのSFで反知性主義的な現実を解毒する」を寄稿しました。

パラノイドの帝国

パラノイドの帝国

 

 

三人が、読む!~お題:『白石かずこ詩集成 Ⅰ』(書肆山田)

シミルボンで新企画が始まりました。「三人が、読む!」と題し、特定のテキストを徹底的に読んでいきます。

今回の面々は、黒澤俊邦さん(シミルボン編集部員・詩人)・田中里尚さん(文化学園大学准教授、文化史家・評論家)になります。

shimirubon.jp

『ブラマタリの供物 クトゥルフ神話ブックゲーム』(新紀元社)発売記念イベント

以下のリンク先からお申込みください!

 

2019/2/1(金)19:00〜
『ブラマタリの供物 クトゥルフ神話ブックゲーム』(新紀元社)発売記念イベント
フーゴ・ハルと語る、ゲームブック/ブックゲームの楽しみ方/つくり方(聞き手:岡和田晃)

 
<主催 岡和田晃氏よりメッセージ>

 きみはゲームブックを知っているか?
 ゲームブックは1980年代に一大ブームを起こした。ランダムにシャッフルされたパラグラフで構成された本であり、頭から読み進めることはできない。2~4ほどの選択肢から行動を選び、ときにサイコロで行動の成否を判定するため、「本とすごろく式のゲームがドッキングしたもの」などとも呼ばれてきた。ゲームブックはコンピュータゲームの高度化とともに衰退したというのが常套句だが、デジタルなノベルゲーム自体、ゲームブックと並行して発展してきたことが近年の研究で明らかになっている。
 世界的な流れとして、ゲームブックは徐々に再評価されつつある。プレイに多人数が必要なTRPGテーブルトークRPG、会話型のRPG)を気軽に遊べるソロ・アドベンチャーとしての可能性。あるいは、iPhoneのアプリケーションや電子書籍としての可能性。さらには、リアル脱出ゲームとの連動……。
 なかでも見過ごせない要素として、ゲームブックの「ブック=本」ならではのアナログ性が挙げられる。一貫してそれにこだわってきたのが、今回のゲストであるフーゴ・ハル氏なのである。つまり、「ブックゲーム」の可能性を追求してきたわけだ。
 実のところ、デニス・ホイートリー『マイアミ沖殺人事件』、フリオ・コルタサル『石蹴り遊び』、イタロ・カルヴィーノ『宿命の交わる城』、バーナード・ルドフスキー『人間のための街路』、ミロラド・パヴィチ『帝都最後の恋』、泡坂妻夫〈ヨギ ガンジー〉シリーズ……近年では円城塔「世界でもっとも深い迷宮」に至るまで、「ゲーム」と「ブック」の境界を扱った作品は数多い。
 このたび、1980年代からゲームブック業界に関わってきたフーゴ・ハル氏の初の完全オリジナルの単著『ブラマタリの供物 クトゥルフ神話ブックゲーム』(新紀元社)が、満を持して発売された。種々のユニークな試みが盛り込まれた本書だが、「ブック」の本来隠し持つ遊戯性に光を当て、新たな読書可能性を示唆するという意味で、ふだん「ゲーム」に馴染みがない読者にとっても入りやすいものになっている。
 本イベントでは、「ゲームブック/ブックゲーム」 を紹介したうえで、どうすれば「ゲームブック/ブックゲーム」 がつくれるか、というところまで一気に踏み込んでしまう。
――昔ながらのファンはもとより、面白い読書体験を求める人ならば、誰でも歓迎! 気軽にお越しいただければ幸いです。

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日時:2019年2月1日(金)19:00~21:00 (18:30開場)
場所:双子のライオン堂書店(赤坂6−5−21-101)
参加費用:事前予約:1500円、当日:1800円
参考URL:
ゲームブック温故知新――「ブックゲーム」という冒険」(レア原稿の採録あり)
http://analoggamestudies.com/?p=661

お問い合わせ:info(a)liondo.jp
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【出演者プロフィール】
フーゴ・ハル(Hugo Hall)
ダダイストフーゴ・バルにちなんだ名をもつ国籍不明の怪紳士。ゲームブック制作に1980年代黎明期から従事、以来運命に弄ばれるままに挿絵、ゲームデザイン、執筆をこなす。代表作に『グーニーズ アドベンチャーゲームブック』、『魔城の迷宮』(以上、二見書房)、『モービィ・リップからの脱出』、『虹河の大冒険』(以上、新紀元社)。ドイツ年間ゲーム大賞受賞作『シャーロック・ホームズ10の怪事件』(グレイディ、ゴールドバーグ、エドワーズ著)の日本語版(二見書房)に関わり、日本シャーロック・ホームズ大賞を受賞。モンティ・パイソン風のブラックユーモアが光るJ・H・ブレナンの〈グレイルクエスト〉や『ドラキュラ城の血闘』(創土社)の翻訳監修や挿絵も手がける。ボードゲームのデザインに、〈Yellow Hall Collection〉シリーズ(ホビーベース)がある。「Role&Roll」(新紀元社)に毎号、パズルエッセイやブックゲームを寄稿。「ウォーロック・マガジン」(グループSNE)にて「ゲームブックないしょ話」を連載中。脳内同居人(奥谷道草)の仕事として、「台湾旅行をゲーム化した」と評された『オモシロはみだし台湾さんぽ』、『もっとオモシロはみだし台湾さんぽ』(ともに交通新聞社)などがある。

岡和田晃(おかわだ・あきら)
巷では文芸評論家と呼ばれることが多いが、実はゲームの仕事は文芸よりもキャリアが長い。ゲームシナリオやリプレイ小説の執筆や翻訳は多数あるが、2018年、「ウォーロック・マガジン」連載の「無敵の万太郎とシックス・パックの珍道中」で、ついにゲームブック作家としても商業デビューを果たした。その前から、フーゴ・ハル氏のクトゥルフゲームブック「バーナム二世事件」(『ホームズ鬼譚』所収、創土社)、「レーリッヒ断章の考察」(『狂気山脈の彼方へ』所収、創土社)のディヴェロップメントにも携わる。『ブラマタリの供物』ではクトゥルフ神話関係の考証や、解説の執筆を手がけた。

『日本現代卓上遊戯史紀聞 [1b]安田均/補遺』発売!

 テーブルゲームファンフェスタ2018「日本のゲーム史」パネルの記録が『日本現代卓上遊戯史紀聞 [1b]安田均/補遺』(ニューゲームズオーダー、電子書籍、聞き手:岡和田晃)として発売になりました。なんと250円です!

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https://www.amazon.co.jp/dp/B07MQRCS9C/

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https://newgamesorder.booth.pm/items/1177787

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