SFセミナー2009にご来場ありがとうございました。
5月2日のSFセミナー2009にご来場いただきまして、ありがとうございました。
本会企画の「若手SF評論家パネル」では、300人ほどの来場者の方を前に、緊張してしまうのではないかと思いましたが、いつもの調子で話せました。
今回は「わかりやすく話す」ということを第一義にしていました。司会者の森下さんにはご迷惑をおかけしたのではないかと危惧しますが、パネル終了後、柄にも似合わず来場者の方(しかもなぜか珍しく複数の女性も)や辛辣な友人にお褒めの言葉をいただくことがあり、それなりにうまくいったのではないかと思っております。
また、少しでもSF評論を書く人が増えてくれると嬉しいです。私宛にメール(orionaveugle★hotmail.co.jp、★→@)いただければ、必ず持てる範囲の知識を駆使して拝読し、メンバーと相談のうえで「Speculative Japan」に載せられるかどうかお返事をいたします。
id:catalyさんにいただいたフリーペーパーで、フランスで賞を取ったセオドア・ローザックの謎の長編“The Crystal Child”(Webにもまるで情報がなく、識者の知見求む)の存在を知ったり。
合宿企画の1コマ目「若手評論家と語ろう」では、20人近く来場者がいらっしゃり、たいへん盛り上がった内容となりました。批評の立ち位置についての意見が多くありましたが、熱気ある内容で、この手の話題にありがちなループとシニカルな現状追認をうまく免れていた感じ。個人的には、横道仁志さんの語られた内容は興味深くありました。「内容」について語ることができる批評の場所はいまや貴重で、ある意味、SFというジャンル以外ではもはや難しくなっていることもあり、横道さんのような作品が、今まで以上に評価されうる場が必要ですね。あと、少し触れましたが、SFは「アメリカ」のような大きなテーマを表象だけではなく作品の内実に即した形で語ることのできるジャンルだと思い、それゆえ「帝国」を主題とした「S-Fマガジン」6月号に掲載された石和義之さんの「アシモフの二つの顔」は素晴らしい論文だったと再確認しました。
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合宿企画の3コマ目「Speculative Japan」バラード追悼読書会では、20人程度のご来場をいただきました。まず私が、簡単な批評理論的見地から、バラード作品を概説し、『夢幻会社』や『楽園への疾走』の特異性を示した後、仁木稔さんが『楽園への疾走』のドクター・バーバラのキャラクター造形について、夜明ちかしさんが『楽園への疾走』の演繹性と再帰性について経済学的な見地から、素晴らしい発表をして下さいました。
また、海老原豊さん、横道仁志さんらの若手SF評論家連、増田まもるさん、柳下毅一郎さんといったバラード翻訳に関わられた方々から、貴重なご意見を賜りました。そして永田弘太郎さんや「異色な物語その他の物語」のさあのうずさんが、長年バラードに親しんでこられた思いを発表されていたのも興味深くありました。こっそり新城カズマさんもいらっしゃってました。伊東総さんら、バラードを知らない方も来ていただき、これからバラードを読むとおっしゃってました(Gaucheさんは読んでいるのかな)。
合宿企画の4コマ目「仁木稔と『HISTORIA』シリーズを語る」では、時間制限がなかったのでなんと4時間半にも及ぶ長丁場に。冒頭に私が仁木作品がどう読まれるべきかを語り、続いて仁木さんへの質疑応答に。仁木さんはかなり意識的にご自分の作品を構築されており、その創作方法やスタンス、幅広く奥深い知識などを聞いているだけでもとても勉強になりました。良い意味で大学のゼミのように熱いパネルで、八代嘉美さんや若いSFファンの方々に、Gaucheさん、水鏡子さん、永田弘太郎さん、増田まもるさんらが長時間参加して下さり、密度の濃い企画となりました。企画段階から当日に至るまで仁木さんとパネリストの伊東総さんには色々ご尽力を賜りました。
パネリストの方々、事務局の方々、そして何よりご来場いただいた方々、どうもありがとうございました。取り急ぎ、お礼まで。より詳しいご報告を、後日寄せられるかもしれません。