「TH(トーキング・ヘッズ叢書)No.79 人形たちの哀歌」でジェフリー・フォード論、図子慧インタビュー、山野浩一連載等が掲載

 「TH(トーキング・ヘッズ叢書)No.79 人形たちの哀歌」が、2019.7.30頃に発売。私は特集レビューで、ジェフリー・フォード「言葉人形」を論じました。「「図子慧×岡和田晃ミニトーク」レポート〜冒頭の1ページで小説の主体や状況をわかりやすく提示する図子慧流」も寄稿!
 連載「山野浩一とその時代(8)」では、「メロドラマと「大人の事情」への抵抗」と題し、新発見資料「復刊第一号 関映連ニュース」を中心に、五社協定で閉塞する1960年前後の映画シーンでの、山野浩一の奮闘を論じています。ヌーヴェルヴァーグ! 特選街レビューは第12回TRPG文華祭について書きました。

 また、以下の各氏による論考とレビューを監修しています。
■幕屋の偶像(アイドル) ――物そのもの(フェティッシュ)への眼差し●仁木稔
■ロボット・アンドロイド演劇の一〇年――「人形」が「感情」を語る時●高槻真樹
■言葉を奪われた人形に浄瑠璃が命吹き込む「文楽」の世界●待兼音二郎
ストップモーションが叶えうる〝永遠の少年〟――『犬ヶ島』から●関根一華
■あなたの知らない人形怪談の世界●阿澄森羅
■七夕人形――殺戮と捕囚の記憶●宮野由梨香
グレッグ・イーガン不気味の谷」●放克犬
◎セルヒオ・G・サンチェス監督「マローボーン家の掟」、アリ・アスター監督「へレディタリー/継承」●松本寛大
 加えて、特選街レビューでは、『巨星 ピーター・ワッツ傑作選』について放克犬さんが書いています。

athird.cart.fc2.com

人形たちの哀歌 (トーキングヘッズ叢書 No.79)

人形たちの哀歌 (トーキングヘッズ叢書 No.79)

 

詩誌「壘(るい)」創刊号に現代詩「黄昏の丘へ」、「大理石像の瘢痕」を寄稿

荒巻義雄さんが立ち上げた詩誌「壘(るい)」の創刊同人として、現代詩「黄昏の丘へ」、「大理石像の瘢痕」の二編を寄稿しました。どちらも別個のロマン派文学を下敷きにした形而上詩です。

こちらはデジタルベースドな発刊スタイルなので、お読みになりたい方はakiraokawada@gmail.comにまでご連絡ください。

なお、創刊同人とはいえ、他の書き手の原稿は事前に見ておりませんので、特に意見を同じくするというわけではございません。

追記:個別に連絡を取るのに抵抗があるという人がいるようで、また現代詩人の多くはnoteを発表の場としているため、拙作に関してはnoteでも公開しています。

https://note.mu/orionaveugle/n/n145dc14eb0f5

「Role&Roll」Vol178に『エクリプス・フェイズ』シナリオ「因縁のダークキャスティング」が掲載

 発売されたばかりの「Role&Roll」Vol.178に、『エクリプス・フェイズ』の拙作シナリオ「因縁のダークキャスティング」が掲載されています。

 非合法のエゴキャスティング(精神を送信し、後から義体を確保する移動法)の「闇通信(ダークキャスティング)、および“代理人(ファクター)”という異星人とのファースト・コンタクトがテーマで、イメージ・ソースは劉慈欣『三体』。
 未訳のサプリメントFirewall』から、「オペレーション・ビネガー」および「アルファ=オメガ」の設定を抄訳しています。

Role&Roll Vol.178

Role&Roll Vol.178

 

 テストプレイの様子と、テーブルゲームファンフェスタ2019でのお披露目の様子を、Twitterの引用にてご紹介いたします。

「図書新聞」2019年7月19日号の、019年上半期の読書アンケートに回答

本日発売の「図書新聞」2019年7月19日号は、2019年上半期の読書アンケート特集の号ですね。岡和田晃は、以下を選定しています。
 

東千尋編訳・茂木政敏解説『ヤニス・リッツォス詩集』(土曜美術社出版販売
ビアンカ・ベロヴァー『湖』(阿部賢一訳、河出書房新社
・ギョルゲ・ササルマン『方形の円 偽説・都市生成論』(住谷春也訳、東京創元社
・籾山庸爾・日下知『デス・オア・グローリー』(ハーミットイン)

あまり知られていないかもしれませんが、「図書新聞」はコンビニから有償プリントアウトできます。今号は明日から。

https://www.e-shinbun.net/cp/toshoshimbun

新刊、『傭兵剣士+青蛙亭ふたたび+無敵の万太郎とシックスパックの珍道中』(グループSNE/書苑新社)

 新刊、著:ジェームズ・ウィルソン、岡和田晃、訳:安田均清松みゆき『傭兵剣士+青蛙亭ふたたび+無敵の万太郎とシックスパックの珍道中』(グループSNE/書苑新社)が、7月12日に刊行されます。


 簡易ルールが付属しており、これ1冊で5本のソロアドベンチャー、3本の多人数用シナリオ、1本のコミックを堪能することができます。自信をもってお勧めできる逸品ですので、ぜひお求めいただければ幸いです。 

傭兵剣士 (T&Tアドベンチャー・シリーズ7)

傭兵剣士 (T&Tアドベンチャー・シリーズ7)

 

 

 ……と、これだけでは寂しいので、もう少し詳しい説明を。

 『傭兵剣士』は『トンネルズ&トロールズ』第5版の関連製品として、1988年、最初に日本語版が出たソロ・アドベンチャーです。ゲームブック形式の一人用冒険シナリオということです。2006年には、『トンネルズ&トロールズ』第7版対応のソロアドベンチャーとして、グループSNEのサイトに連載されていたリプレイを第7版対応にする形で再刊されています。

 そう、2019年に出る『トンネルズ&トロールズ』完全版対応の『傭兵剣士』は、三度、出版されるソロアドベンチャーになるのです。おそらく、本邦初の偉業です。

 グループSNEさんのサイトで、安田均さんのあとがきが公開されていますが、そちらが簡潔明快。
「なぜ3度も? それはずばり、このソロアドベンチャーが‘名作’だからです。」

www.groupsne.co.jp

 そう、「傭兵剣士」と「青蛙亭ふたたび」は、紛うことなき名作です。詳しくは、T&Tファンの「かあかばど」さんの分析をご覧ください。

togetter.com

 ストーリーも語りも面白いです。双方向移動ができるのもポイントですね。唯一の難点はマッピングが必須のところですが、それは、私が素案を作った地図(中山将平さんヴィジュアル化)と、注釈的なシナリオ案があれば完遂できるようにしました。システム面は、先のかあかばあどさんのほか、ヒム、たまねぎ須永、吉里川べおさんによるT&T研究も参照しております!
 それに加えて、両方のソロアドベンチャーの多人数用シナリオ版をデザインしました。テストプレイの模様をご紹介。

 これらに加え、「ウォーロック・マガジン」Vol.1~3に連載された「無敵の万太郎とシックス・パックの珍道中」と、「ウォーロック・マガジン」Vol.4に収録された中山将平さんの漫画「はじめての無敵の万太郎とシックス・パック」が収められ、さらには、同シナリオの原作で、「Role&Roll」Vol.177のソロアドベンチャー「魔法の酒樽を取り戻せ!」の多人数用シナリオ版「〈黒のモンゴー〉の塔ふたたび」を、この単行本のために書き下ろしました。

akiraokawada.hatenablog.com

 以前「Lead&Read」掲載のD&D3.5版エベロン・リプレイ3部作(2008)を書いた際に、もっとも意識していたのはオリジナル・デザイナーのキース・ベイカーの小説でした。「無敵の万太郎とシックス・パック」が意識したのはJ・ウィルソンの雰囲気づくりです。例えば、ウィルソンは小汚いドワーフの描写がすごく巧いのです。

D&Dノベル 夜の門 (ドリーミング・ダーク第三部 完結編) (HJ文庫G)

D&Dノベル 夜の門 (ドリーミング・ダーク第三部 完結編) (HJ文庫G)

 

akiraokawada.hatenablog.com

 それだけではなく、旧版へのオマージュを捧げながら、キャンペーンゲームのエッセンスをふんだんに盛り込みました。

 ちなみに私が初めて買ったゲームブックは『傭兵剣士』なんですよ。1994年、富貴堂書店本店でのことでした。それ以降、素晴らしい雰囲気に魅せられて何度も読み直してきましたが、それから四半世紀が経過し、まさかこんな形で関われるとは感無量です。

 今年は私の『アゲインスト・ジェノサイド』(2009)の刊行十周年です。同書は高評価してくださる方が多く、幸せな本でした。

akiraokawada.hatenablog.com

 今度出る『傭兵剣士+青蛙亭ふたたび+無敵の万太郎とシックス・パックの珍道中』(2019)も気に入っていただけるかなと思います。

 

【付録のルール考察】

 「傭兵剣士」に出てくる〈黒のモンゴー〉の《これでもくらえ!》は46点ダメージ。つまり、知性度は46。『T&T完全版』では14レベル呪文までしか使えません。21レベルの魔術師ならではのウリは、魔力度が210点を超えるほどに豊穣、ということでしょうか。15レベル以上の呪文は《杖折り》、《能力値変換》、《召喚》、《魂隠し》、《生まれ変わり》の6つ。これらが使えないのが、おそらくモンゴーの弱点でコンプレックスだと思われます(笑)。

2019年7月14日のテーブルゲームファンフェスタ2019(於:京セラドーム大阪)にゲスト参加

2019年7月14日のテーブルゲームファンフェスタ2019(於:京セラドーム大阪)にゲスト参加します。12:45より安田均さんとのトークショーに出演し、16:30から『エクリプス・フェイズ』卓のGMをさせていただきます。関西圏の人、この機会にお目にかかれましたら幸いです。

tgff.info

卓紹介は以下となります。

クローズド・ハビタットの囚人

システム : エクリプス・フェイズ

時間枠 : 3時間卓

開始時間 : 16:30

 

卓No.:4

年齢制限:なし
プレイヤー数:最低3名~最高5名
ジャンル:トランスヒューマン・ホラー
使用ダイス:D10

GM名:岡和田晃
GMからのコメント:TGFF2018での安田均先生との「日本のゲーム史」が、『日本現代卓上遊戯史紀聞[1b]』として発売中です!
シナリオコメント::「Role&Roll」Vol.174掲載の拙作をプレイします。既読の方はご遠慮ください。記憶を失い、見知らぬ「街」の住民として番号で呼ばれるPCたち。脱出は執拗に阻まれる。「街」は何のためにあるのか?黒幕のNo.666とは何者か?脱出ゲーム風に始まり意外な展開を見せる入門用シナリオ!初心者でもプレイしやすいことと思います。

エクリプス・フェイズ (Role&Roll RPG)

エクリプス・フェイズ (Role&Roll RPG)

 
日本現代卓上遊戯史紀聞 [1b]安田均/補遺

日本現代卓上遊戯史紀聞 [1b]安田均/補遺

 

 

「Role&Roll」Vol.177に「戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典」の第五十一回「人類史の椅子取りゲーム? 北大西洋航海史」も掲載

Role&Roll」Vol.177には、西洋中世史の入門コラム「戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典」の第五十一回「人類史の椅子取りゲーム? 北大西洋航海史」も掲載されています。今回は凄いですよ、中世のアイスランドグリーンランドの解説です! 『ドラゴンクエストIII』(ファミコン)のグリンラッドのエピソードを思い出しますね!

Role&Roll Vol.177 (ロールアンドロール)

Role&Roll Vol.177 (ロールアンドロール)