海賊と『ウォーハンマー・コンパニオン』

 『ウォーハンマーRPG』の翻訳チームでお世話になっている阿利浜秀明さんが、『ウォーハンマー・コンパニオン』に関連した小ネタを紹介していらっしゃいました。なかなか興味深い内容でしたので、ご本人の許可を得てこちらに転載させていただきます。

 今年に入って海賊に関するニュースが激増している。決して過去の歴史や映画・漫画のなかの話ではないことを改めて思い知らされた。


「身代金で繁栄する海賊の町 ソマリア、住民からの尊敬高まる」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081120-00000586-san-int


 一部抜粋
“「海賊は私たちを頼り、私たちは海賊からもうける」と、商店を営む女性はAP通信に語った。海賊に対する女性の信頼は厚く、店では海賊がツケで買い物ができる。身代金入手後に支払うという。"


“AP通信によると、住民の平均寿命は46歳、4人に1人が5歳未満で死亡する。海賊が身代金を町で浪費することによって、仕事が生まれ、住民は収入を得ることができるのだ。"



 今月末に発売される『ウォーハンマー・コンパニオン』には海賊都市サルトサが紹介されているが、この街のありようはまさに上のソマリアそのものだ。そのように理解すると、よりいっそうオールド・ワールドを身近に感じられるものと思う。

 歴史とは何か、幻想とは何か。
 そんなことを考えさせられるエピソードでした。
 なお、海賊をしっかりと扱ったRPGに使える資料は、現状、意外と少ないです。魅力的なテーマなのにねぇ。
 『ウォーハンマーRPG』に関したものだと、他には『ウォーハンマーRPG 基本ルールブック』の冒頭に掲載されている短編小説「人生は、死を越えてなお」の作者、ダン・アブネットが書いた“Fell Cargo”という海賊ものの小説があります(未訳)。
 こちら読みましたが、ストーリーラインが骨太で展開も大胆。かなり楽しめました。

Fell Cargo (Warhammer Novels)

Fell Cargo (Warhammer Novels)

 また海賊ものという括りで個人的なお勧めを挙げると、ティム・パワーズという作家が書いた『幻影の航海』という小説がすごいです。
 こちらも力作で、僕は何回も繰り返し読んでいます。まったく飽きないんだよなあ。不思議だ。
幻影の航海 (ハヤカワ文庫FT)

幻影の航海 (ハヤカワ文庫FT)