「季刊メタポゾン」第9号に『北海道電力〈泊原発〉の問題とは何か』評、そして佐藤亜紀『醜聞の作法』論を掲載いただきました。

 文芸誌「季刊メタポゾン」(メタポゾン/寿郎社)次号についての案内が、責任編集の大西赤人さんから行われました。6月中には発売されることでしょう。
 以下、大西さんのTwitterhttps://twitter.com/MetaPoson)のまとめとなります。

 第三期目の本年より年間三回の発行となる『季刊メタポゾン』ですが、5月中発売を予定していた第九号(仲夏号)の編集作業がまたもや滞り、ようやく校了となりました。読者の皆様、執筆者の皆様、本当に申しわけありません。ただし、今号にも多くの方から原稿を寄せていただき、盛り沢山の内容です。
 まず「書評 レビュー特集」として、出久根達郎さん、保坂和志さん、西木正明さん、中野翠さん、中条省平さん、すが秀実さん、岡和田晃さんにより、書籍、演劇、映画、様々な分野の作物に関する批評が並びます。特に出久根さんの書評は、某紙での掲載が不可能となった異色の一編(理由は本文御参照)。
 『秋冬の実』を引き継ぐ大西巨人聞き書き『夏冬の草』は、戦後の文学と政治への関わりを新たに振り返ります。新連載エッセイ『デジタルとアナログの間』は切通理作さん。大西と中学で同級だった清水徹郎君の『シェイクスピア講義ノートから』、大西一穂の育児日記『うぐいすの糞《ふん》』もスタート。
 『とても小さな王国の とても小さな王様』は、北大路公子さんの文に、にご蔵さんが絵をつけたカラー絵物語。長谷川集平さんの連載エッセイ『集平のツイ』は「坊主頭」、同じく小説『ベガーズバンケット』は「聖母と散楽師」「ファンタジア(初出)」「ハミングバード(新作)」の三本となります。
 森枝卓士さんの『喰らうて思う』は、ポルトガルを訪ねた「マディラ酒を飲みに」。加藤喬さんの『モントレー風便り』は、「寒い国から逃げて来た男」。片岡一郎さんの『活動弁士 キネマを語る』は、「東京行進曲」と「折鶴お千」。渡辺考さんの『ああ わがテレビ』は「駿馬が見つめた日本の素顔」。
 SF評論家チームの連作評論は、高槻真樹さんによる『来なかった未来』『せめぎあう二つの「組曲」』の二編と、岡和田晃さんによる『「思想」と「エロス」を分かつもの』。出河雅彦さんの医療ルポ『「薬害」HIV感染を問い直す』は、第九回。小説は、小路幸也さんの連載『石田荘物語』をはじめ、⇒
 馬塲言葉さんの『一枚のはがき』(イラストも)、川光俊哉さんの『蝉が泣いた日』、大西の『危篤の報(後篇)』です。常盤雅幸さんの表紙とイラストに加え、稲葉彩乃さん、佐々木淑子さん、木村晴美さん、田中雅子さん、なかやあいこさんがそこかしこを彩っています。では、いましばらくお待ち下さい。

 「メタポゾン」9号に、私は2本の原稿を寄せています。
 特集の「書評 レビュー」枠に「「痛み」を忘れず、信頼に足る情報を――『北海道電力泊原発〉の問題は何か』を読む」を寄稿しています。これは、前代未聞の泊原発検証本を論じたものです。インターネット上のデマゴギーに惑わされず、信頼に足る文献を精査することの重要性を論じました。

北海道電力〈泊原発〉の問題は何か

北海道電力〈泊原発〉の問題は何か

 続いて、日本SF評論賞受賞者による「連作評論」枠に、「『思想』と『エロス』を分かつもの――歴史の表層と『醜聞の作法』」も寄稿しております。これは佐藤亜紀の長編小説『醜聞の作法』を論じた批評。文庫解説や短評以外の佐藤亜紀論の商業誌掲載は、おそらく初めてのことだろうと思います。
醜聞の作法 (100周年書き下ろし)

醜聞の作法 (100周年書き下ろし)

 ところで、もし文庫解説や短評(新聞書評、雑誌の1〜2ページ枠(200〜2000字程度の書評)以外の佐藤亜紀論をご存知の方は、お手数ですが当方までご一報をお願いいたします。ちなみに卒業論文で扱った方はいらっしゃるようでして、プランというか梗概のようなものを国会図書館で読むことができました。