岡田剛の本格ファンタジー『十三番目の王子』は傑作です。

 東京創元社さまから、岡田剛『十三番目の王子』をご恵贈いただきました。「SFマガジン」2012年6月号のレビューで、ハヤカワSF-Jコレクションで刊行された『ヴコドラク』についてレビューしたからだと思いますが、この新作は一読、息を呑みました。ええ、あまりにも嬉しくて。そう、こういう作品が読みたかったんですよ! 今は失われたとされる、本格ファンタジーの香気が、確かにあります。圧倒的な書き込みの密度が、最高です。ただただ、感涙。こんな作品を書いてくれたことに、読者へ選んでいただけたことに、必ず何らかの形で応えたいと思っています。この感動は古川日出男『砂の王』以来だ。
 思えば『ヴコドラク』は2009年だったから、4年ぶりの新刊か…(遠い目)。迷惑かもしれないけど勝手に戦友のように思っている書き手が何人かいて、その一人だったので、我がことのように嬉しい。傑作『十三番目の王子』の第一章は、無料で立ち読みできます(http://www.webmysteries.jp/special/html/okada1305.html)。岡田剛さんは「SFマガジン」巻頭での「My Favorite SF」に、R・A・サルヴァトーレの『ダークエルフ物語』を挙げておられました。そう、『十三番目の王子』は、『アイスウィンド・サーガ』のように、『ドラゴンランス』のように、あるいは『竜剣物語』のように、読んでみて、何ら損をしない、それ以上の充実感が得られる、稀有な作品です。

十三番目の王子

十三番目の王子

ヴコドラク (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

ヴコドラク (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

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