本日2019年9月26日の共同通信配信記事で、川越宗一『熱源』(文藝春秋)の書評を書きました。週末から全国の地方紙に掲載されていきます。
サハリン(樺太)アイヌの対雁への強制移住、昨年没後100年だった人類学者ピウスツキが等が扱われ、アイヌ、北方(文学)史入門にも最適な小説です。
書評では、より現代的な課題にまで、さらに踏み込みました。
岡和田晃×倉数茂「新自由主義社会下における 〈文学〉の役割とは」、さっそく第2回を公開いたしました。2018年11月10日にジュンク堂書店池袋本店で行ったトークショーの採録です。
倉数さんがツィートで補足されていますが、私は便宜的にジャンル分けをすることはあるものの、「純文学」と「エンタメ」の棲み分けは有害無益で、一刻も早く撤廃すべきだと考えています。また、「周縁」の立場から「知識人」として社会を語って、何も問題ないじゃない、とも。
私は文芸時評を長く続けている偽らざる感想として、制度としての「純文学」にも「エンタメ」にも期待をしていません。黴の生えた古臭いカースト制。そういった枠組みを批判的に捉えるのが大前提として、質の高いものを〈文学〉として受け止めています。私のやっていることも〈文学〉を目指しています。
なお、相模原事件を文芸誌がほぼ黙殺した、というのは、単に時事ネタを拾えていない、ということを言っているのではありません。荒井祐樹さんとの対談では、70年代からの障害者の権利獲得運動の全てをちゃぶ台返しするような事件だったという話が出ました。そこに言葉が届いていない、ということです。
『骨踊り 向井豊昭小説選』(幻戯書房、2019年)ですが、商業媒体での書評があらかた出揃った感がありますので、以下にまとめておきます。その他、ご存知のものがあれば、お手数ですがお知らせください。なお、私や山城むつみさんが書いてきた関連原稿は除いてあります。
・「日本経済新聞」2019年2月21日夕刊(評者:陣野俊史)
・「朝日新聞」2019年3月23日日曜版(評者:サンキュータツオ)
・「東奥日報」2019年3月30日朝刊(評者:山田勝仁)
・「POPEYE」864号(2019年4月号、マガジンハウス)
・「週刊新潮」2019年4月4日号(十行本棚)
・「北海道新聞」2019年4月14日日曜版(評者:中舘寛隆)
・「週刊金曜日」2019年5月17日号(評者:永田希)
・「図書新聞」2019年6月15日号(評者:川﨑秋子)
・「季報 唯物論研究」148号(2019年8月号、評者:奥間埜乃)
また、今まで反映している誤記は以下のとおりです。
・目次
×向井豊昭略年譜
↓
○向井豊昭年譜
※なお、年譜内にある斎藤作治氏は2017年に、鳴海健太郎氏は2018年に、それぞれ亡くなっていることが刊行後に判明しました。また、年譜内p.634の「夷」のルビの「えにし」は間違いで、正しくは「えみし」です。
・解説
※p.620にて、「曙色の傷はあるか」の引用として記した「生命の論理」は間違いで、正しくは「生身の論理」でした。
「SF Prologue Wave」2019年9月20日号で紹介されました。
『月刊アナログゲーム情報書籍「Role & Roll」Vol.179「『エクリプス・フェイズ』シナリオ・ソース トランスヒューマンは知性化イルカの夢を見るか?」
今回紹介されているEclipse Phase情報『トランスヒューマンは知性化イルカの夢を見るか?』は、シナリオそのものではなく、「シナリオの作り方、その取っ掛かりとなる部分の説明」(・∀・)/ 凄い、至れり尽くせりですね! 上手な人に懇切丁寧に教えてもらえるのは、このジャンルの特権なのかも。
— 片理誠@小説家(時々絵描き) (@henri_makoto) 2019年9月20日