バロン・ミュンヒハウゼンRPG


 バロン・ミュンヒハウゼンってご存知でしょうか。
 ドイツの民話の登場人物で、日本では、ほら吹き男爵の名前で知られてます。日本昔話で言う、吉良六(きっちょむ)さんみたいなものですな。
 

 テリー・ギリアムの映画『バロン』(最高です)の原題は、 「ミュンヒハウゼン男爵の大冒険」でした。
 カー二バルな感じがよく出ていて、テリー・ギリアムならではの妄想の強度が、うまい具合に働いたのではないかと思います。独特の泥臭さと、浮遊感のアンバランスさがたまりません。大好きな映画です。


 さて、このミュンヒハウゼン男爵の「手になる」RPGが、いよいよアメリカのMongoose社より発売になります。
 

 このMongooseという会社は、現在(ムアコックの)『ホークムーン』のRPG版や、『ルーンクエスト』の最新版を出しているところです。

Michael Moorcock's Hawkmoon: The Roleplaying Game (Runequest RPG)

Michael Moorcock's Hawkmoon: The Roleplaying Game (Runequest RPG)


 海外RPGは一般的に、リサーチに割く労力が半端ではなく、原作では1行しか触れられていないような設定でも、徹底的に調べて、ゲームとしての使用に耐えるようにしているのですから、あなどれないところがあります。
 私は『RPGマガジン』のリプレイでしか読んだことはありませんが、ムアコックの『コルム』シリーズのRPGなど、相当、クオリティが高かったと聞いたことがあります。

剣の騎士 [永遠の戦士 コルム1] (ハヤカワ文庫SF)

剣の騎士 [永遠の戦士 コルム1] (ハヤカワ文庫SF)


 さて、『バロン』のRPG版の発表は、これが初めてではないようです。
 初版は1999年度のオリジン・アワード(年間ゲーム大賞、昔はH・G・ウェルズ賞と呼ばれていました)を獲っているとのこと。
 きっと、何かしら新しいものがあったのではないかと思います。


 これまでも、『フォーチュン・クエスト・コンパニオン』、あるいは『キャッスル・ファルケンシュタイン』など、物語の登場人物の手によって記されたRPGのルールブックは存在してきましたが、この作品はその中でもひときわ異彩を放っていると言ってよいでしょう。

キャッスル・ファルケンシュタイン 日本語版

キャッスル・ファルケンシュタイン 日本語版

 あくまで推測ですが、小説風フレーバーテキストが充実しており、まずはそれを読んだ後に参加者がイメージの統一を図って、そのうえで「バロン」っぽいシナリオソースが提示されるという仕掛けに、すなわち『キャッスル・ファルケンシュタイン』式の仕組みになっているのではないかと予想します。
 で、ルールシステム的にも、あっと驚くような強力なギミックがしかけられていて、二度びっくりとなるのでは、と期待します(笑)


 一見、ミュンヒハウゼンというとマニアックに思われるかもしれませんが、料理の仕方によってはまったくそうならないとも思います。RPGというものは、世界観やイメージを遊ぶゲームという側面が強いので、うまくできていれば、非常に豊かな作品になることでしょう。
 現に、White Wolfより発売されていた、“Changeling:the Dreaming”という『ピーターパン』や『ナルニア国ものがたり』、ひいてはラファティの『地球礁』などのような物語を遊ぶRPGは、たいへん優れたものでした。

Changeling: The Dreaming : The Storytelling Game of Modern Fantasy (World of Darkness)

Changeling: The Dreaming : The Storytelling Game of Modern Fantasy (World of Darkness)

  • 作者: Ian Lemke,Jackie Cassada,Brian Campbell,Richard E. Dansky,Chris Howard,Angel McCoy,Neil Mick,Nicky Rea
  • 出版社/メーカー: White Wolf Pub
  • 発売日: 1997/08/01
  • メディア: ハードカバー
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地球礁

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 幸い、日本でも、冒険企画局製作、新紀元社より発売が予告されている『ピーカーブー』など、児童文学的なテーマを遊ぶゲームは増えてきたようですので、今後、『バロン・ミュンヒハウゼンRPG』のような作品も、受け入れられる余地は出来てくるかもしれません。そうなるといいなあ。