第49回日本SF大会、お疲れさまでした。

 今回のSF大会では事前には公式ブログでの東京SF大全(6本)を執筆し、「SFマガジン」9月号の「東京SF化計画」への寄稿をさせていただいたうえで、大会スーヴェニアブックへの東京SF大全、東京SFビブリオを掲載いただき、かつ編集協力としてクレジットをいただいております。
 またディーラーズルームで販売された巽孝之さんの雑誌「科学魔界」52号には、「SFセミナー2009 Speculative Japanバラード読書会」の記録のご掲載をいただきました。
 また当日は、「東京SF大全を踏まえてSF評論の意義を問い直す」、「仁木稔と『ミカイールの階梯』を語る」、「クトゥルーの御代」の3本の企画の進行に協力させていただきました。
 すべてのパネルで来場者の層層も進行スタイルも求められるトーク内容も異なり、スイッチの切り替えや事前準備が大変でしたが、おかげさまでなんとか成功に貢献できたように思えます。
 いらしていただいた方、お力添えをいただいた方々、一緒にパネルを盛り上げて下さった方々に深くお礼を申し上げます。


 以下、個人的な感想などを徒然と。抜けがあるかもしれませんが、他意はありませんのでご心配なく。


・東京SF大全については、あまりに多すぎて書ききれませんが、一点を挙げるとしたら、日本でまったく紹介されてこなかった、フランク・ミラーの『RONIN』を推すことができたのは、批評家冥利につきました。


・夏笳(シア ジア)さんをはじめとした中国のSF作家や評論家と歓談し、有意義な時間を持つことができました。ひかわ玲子さんに立原透椰さん、本当にありがとうございました。夏笳(シア ジア)さんには、C・L・ムーアの『シャンブロウ』を教えておきました。


小松左京賞&日本SF新人賞パネルでは、荒巻義雄さんの熱気と、作家の方々の不退転の決意を感じました。。その後、日本SF評論賞パネルへ出演。ここは勝負をかけて戦い抜いたつもり。その他、改めて小松左京賞&日本SF新人賞作家の方々とお話することができました。


・「R・P・G」の記事で一方的にファンだった、田中桂さん・伊豆平成さんと初対面し、D&Dウォーハンマーについて話しました。


大野典宏さんと格闘技話に興じたり、ペレーヴィンについて話したりできました。また、長谷敏司さんやSF乱学講座のエピクトさんらにお声をかけていただきました。


白石朗さんに初めてきちんとご挨拶させていただくことができました。


・東京SF大全パネルについては、山野浩一さん・荒巻義雄さん・巽孝之さんと、SF評論賞受賞者たちで有益な対話ができたと思います。来場されていた山口優さんの熱い質疑応答をいただいたことを、特に嬉しく思いました。


山野浩一さんから、NW-SFについて詳しくお話を聞くことができました。SF大会1日目のパネル出演後、ゲスト控え室で打ち合わせをしたのですがそれが終わった後、企画に出向くには中途半端な時間だったので横道仁志さんと四方山話をしていたら、なぜか山野浩一さんが入ってこられたのです。そこでいろいろとNW-SF時代の貴重なお話をいただきました。ナチュラルに塚本邦雄やら平岡正明らの名前が出てきて、びっくりしました。


飛浩隆さんの「自生の夢」が星雲賞日本短篇部門を受賞。この作品には語りきれぬ思い入れがあるのですが、くまざわ書店前でお会いした折に飛さんには私の喜びが伝わったようで、嬉しく思います。


樺山三英さんがセンス・オブ・ジェンダー賞話題賞を受賞したこと。かつてインタビューをさせていただき、またSFセミナー10でパネルを担当させていただいた樺山三英さんがセンス・オブ・ジェンダー賞の「話題賞」を獲得したこと。おめでとうございます。「打てば響く」ものを感じ、嬉しくなりました。樺山さんのWikipediaもいつのまにか更新されておりました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%BA%E5%B1%B1%E4%B8%89%...
 受賞の言葉はこちら。
http://gender-sf.org/sog/2009/02.html
 樺山さんの「太陽の帝国」へのアンサーができたのも嬉しい限りですが、「太陽の帝国」のテクストがすごすぎて、私の論文はなんかアホみたいだなあとひしひし感じたのでリンクは手控え。まずはSFマガジンの原テクストを読んでみて下さい。


・『ミカイールの階梯』をじっくり研究できる機会が持てました。私は批評家であるとともにライターでもあります。その両義性とこの作品はぴったり嵌ったのでした。また仁木稔パネルには私の妻も参加していましたが、熱心に聞き入っていた模様です。なお、くまざわ書店に入荷した『ミカイールの階梯』は売り切れたとのことでした(ありがとうございます!)。
 当日使用したヴェレシシャーギンの『戦争礼賛』はこちらの絵になります。