11月7日のSF乱学講座で「仁木稔と語る、歴史を動かした驚異の(擬似)科学」というイベントを開催いたします!


 表題の通りですが、SFセミナー2009、第50回日本SF大会TOKON10で開催され、好評を博したSF作家の仁木稔さんのパネルを、SF乱学講座でも開催させていただくことになりました。
 前回、前々回に来ていただいた方にも楽しめるよう、今回は仁木さんと相談のうえ、テーマ設定に凝ってみました。
 よろしくお願いします!
 以下、乱学講座のサイト(http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/5302/next.html)からの転載になります。

■SF乱学講座2010年11月の予定
タイトル:「仁木稔と語る、


歴史を動かした驚異の(擬似)科学」


講師  :仁木稔氏 (SF作家)
     岡和田晃氏 (RPGライター、SF評論家、翻訳家)


●講師紹介:


仁木稔(にき・みのる);
 SF作家。1973年長野県生まれ。龍谷大学大学院文学研究科修士課程修了。専攻は東洋史学。2004年、ハヤカワSFシリーズJコレクションより長編『グアルディア』を発表し作家デビュー。SF作家・沖方丁氏の絶賛を受けた。
 続篇『ラ・イストリア』(ハヤカワ文庫JA)、上下巻に二分冊された大作『ミカイールの階梯』(ハヤカワSFシリーズJコレクション)など、ダーウィンとメンデルの遺伝学が幸福な結婚を果たした世界を描く未来史シリーズ「HISTORIA」を書き続けている。
 また、GONZOのアニメーション『スピードグラファー』のノベライズ(全3巻、ハヤカワ文庫JA)、『神林長平トリビュート』(早川書房)への寄稿(「完璧な涙」)など、多彩な活躍を見せている。
 加えて「SFマガジン」創刊50周年記念アートブック『Sync Future』(早川書房)では、『グアルディア』が「日本を代表するSF小説25作」に選ばれ、岡崎能士氏によって美麗なイラストを付され、同書に収録されている。
 現在は「HISTORIA」シリーズの最新作を執筆中。 SFセミナー2009、第49回日本SF大会TOKON10ではそれぞれ「仁木稔と語る」パネルを開催、好評を博した。
 いま最も注目を集める新鋭SF作家の一人。


岡和田晃(おかわだ・あきら):
 SF評論家。1981年北海道生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業。2009年、SF乱学講座で「「ナラトロジー」×「ルドロジー」――新たな角度からSFを考える」を講義。同年「「世界内戦」とわずかな希望――伊藤計劃虐殺器官』へ向き合うために」で第 5回日本SF評論賞優秀賞を受賞。ほか「青木淳悟――ネオリベ時代の新しい小説(ヌーヴォー・ロマン)」(『社会は存在しない』所収、南雲堂)、佐藤亜紀氏の小説『ミノタウロス』(講談社文庫)解説などを手がける。
 RPGライターとしての顔も持ち、著作に『アゲインスト・ジェノサイド』(新紀元社)がある。また翻訳書に『ミドンヘイムの灰燼』(ホビージャパン)、『ウォーハンマー・コンパニオン』、『救済の書:トゥーム・オヴ・サルヴェイション』、『秘術の書』、『失われし王冠を求めて』、『冒険者の宝物庫2』
『ドラゴン・マガジン年鑑』、『ダンジョン・マガジン年鑑』(以上、共訳、ホビージャパン)など。


内容紹介:
 『グアルディア』(2004)、『ラ・イストリア』(2007)、そして『ミカイールの階梯』(2009)……。
 SF作家・仁木稔によって連綿と書き継がれてきた未来史シリーズ「HISTORIA」を、あなたはご存知だろうか?


 既存の英雄像を覆す斬新なキャラクター造形、ガルシア=マルケス百年の孤独』などのラテン・アメリカ文学ミハイル・ブルガーコフ『犬の心臓』などのロシア文学の達成を踏まえた、世界文学にも繋がる広大なスケール。
 そして、洋の東西を問わず徹底的な史料調査を基盤とした奥深い世界観と、音楽・舞踊とも連動する躍動的なテクスト。


 SFファンのみならず、広く読書家の知的好奇心を刺激するこの「HISTORIA」シリーズには、実のところ共通する重要なモチーフが存在している。
 それはすばり、「科学」と政治の関係性への批評意識だ。


 あなたは「科学」を、文化や政治の影響を受けない(少なくとも受けにくい)普遍的で中立的なものだと早合点していないか?
 だが歴史を振り返ると、「科学」も政治や文化の強い影響下にあることがわかる。そして現在からすると擬似科学として一笑に付されてしまいそうな科学理論であっても、同時代の政治的現実を動かし、ひいては私たちの暮らす現代社会へ強い影響を及ぼしたものが、多々存在しているのだ。


 そこで今回の講座では……。


 ・デビュー作『グアルディア』で取り扱った、キリスト教にまつわる遺伝学、「創造論」。
 ・「HISTORIA」シリーズの第2作『ラ・イストリア』に登場した混血の優生学である、ホセ・バスコンセロスの「宇宙的人種」。
 ・最新作『ミカイールの階梯』での重要設定として採用された、よくも悪くも独自の発達を遂げたロシア・ソ連の進化論(ルイセンコ、ボグダーノフなど)。


 以上3点を中心に、ともすると歴史の闇に消えたと思われながらも、「近代」の世界史における動因となってきた(擬似)科学理論を紹介しつつ、それらがどのような問題意識をもって小説に取り入れられてきたのかを語り尽くす。
 そして可能ならば、SFの、そして世界の未来についての考察にまで射程を広げていきたい。
   (聞き手はSF評論家の岡和田晃


【参考文献】


 仁木稔作品を読まなくても講義内容は理解できますが、可能でしたら最新作『ミカイールの階梯』をはじめ、「HISTORIA」シリーズを事前に読んでおいていただけると、講義内容がよりわかりやすくなるものと思われます。
 なお、既刊の「HISTORIA」シリーズはそれぞれ独立した長編として読むことができますので、どの作品から読み始めても大丈夫です。


 参考までに、それぞれの作品について、Amazon.co.jpへのリンクを貼っておきます。


グアルディア 上

グアルディア 上

グアルディア 下

グアルディア 下

ラ・イストリア (ハヤカワ文庫JA)

ラ・イストリア (ハヤカワ文庫JA)


                                    
開催日時:2010年11月7日 日曜日


午後6時15分〜8時15分
参加費 :千円
会場  :高井戸地域区民センター3F

                 以上

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会場は、京王井の頭線高井戸駅のプラットホームから見えています。特大の煙突が目印です。
駅の改札口をでてすぐの歩道橋で、環状8号道路をわたって下さい。
そこから、井の頭線沿いの横道を少し入って、左手の方向にある階段を上って広場に出たところの建物です。
いつも近くで二次会をやっています。だいたい10時くらいまでです。

SF乱学講座はどなたでも参加できる公開講座です。

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事前の申込は必要ありません。開催日に会場へ直接お越し下さい。