「毎日新聞」朝刊で、『サブカルチャー戦争』をご紹介いただきました。

 こちらも表題の通りです。「SF小説に表れた現代の戦争」「地に足を付けつつ社会批評に全面従属はしない」と、かなり意を汲んでいただき、ありがたい限りです。

 作家・批評家の笠井潔氏、小森健太朗氏と若手批評家たちが、近年の小説からアニメ、ゲームまでを俎上(そじょう)に載せる論集。現代は、いわば低強度の戦争が遍在し続ける「世界内戦」状態というのが論者たちの主張。そこから、ハリウッド映画のカメラワークやSF小説に表れた現代の戦争、ニートの蜂起を描いたアニメ「東のエデン」までを取り上げる。

 サブカル批評というと、勝手に全世界を獲得しているかのような自意識過剰を想像しがち。だが本書は、ライトノベルに表れた学校内のコミュニケーションを実際の教員が論じたり、テレビゲームでの身体感覚の復権を説く論者がいたり。地に足は着けつつ社会批評に全面従属はしない、サブカル批評だからこそ描けるリアリティーを示す好著だ。(生)


毎日新聞」 2011年2月6日 東京朝刊
http://mainichi.jp/enta/book/hondana/news/20110206ddm015070023000c.html

サブカルチャー戦争 「セカイ系」から「世界内戦」へ

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