先だって「Book News」に掲載いただいた拙稿「SF・評論入門3:「伊藤計劃以後」とハイ・ファンタジーの危機――未来は『十三番目の王子』の先にある!」について、公開後、Twitter等のソーシャルメディアや個人メールにて、各方面から反響があり、さまざまな方からご意見・ご感想をいただくことができました。
寄せられた反響からは多くを学ぶことができ、粗削りな試論ながら公開した意義はあったと愚考しています。
逐一追えてはいませんが、感想をいただいた皆さま、そして拙文をお読みいただいた皆さまに、心より感謝します。
ただし、ご批判のなかには、残念ながら常軌を逸したものがあります。
書き手について「死ね」と書きつける方がいらっしゃるのです。
たとえば、魂木波流(@ninian_oneil)氏はTwitter上で、次のように述べておられます。
さっきからこれについてなんやかや言ってるんだけど、ちょっと今死ねばいいのにくらいに思ってる。>SF・評論入門3:「伊藤計劃以後」とハイ・ファンタジーの危機――未来は『十三番目の王子』の先にある!:岡和田晃
(https://twitter.com/ninian_oneill/status/358271645225467904)
「死ね(ばいいのに)」。これは、許される言葉なのでしょうか。
ただ、魂木波流(@ninian_oneil)氏は、前後のTweetでご自分のファンタジー観を述べておられます。それが「SF・評論入門3」と見合わなかったがゆえに言葉が過ぎた、という見方もできないこともなく、特にめくじらを立てるほどではないかもしれません。
しかし、次に見る鉄山幸浩(@poponcar)という方のTweetはどうでしょう。
クソ読書感想文だ! 石を投げろー!! http://www.n11books.com/archives/30455265.html
(https://twitter.com/poponcar/status/358215256125865987)
面白おかしく言ってみたけど岡和田をいい加減黙らせろってことですよ。具体的には体が冷たくなるまで石をぶつけ続けるとかの方法で。
(https://twitter.com/poponcar/status/358215916229627906)(https://mobile.twitter.com/poponcar/status/358215916229627906)
鉄山幸浩(@poponcar)氏のTweetでは、「SF・評論入門3」の内容の批判の度を越え、「具体的には体が冷たくなるまで石をぶつけ続けるとかの方法」で「岡和田をいい加減黙らせろ」と書かれており、特定個人を物理的に殺害するよう不特定多数へ教唆する文章になっています。
いかなる理由があれども、特定個人を殺すように煽動する発言は、決して許されないでしょう。
これは「言論の自由」とは、まったく別の話です。それは言説の根本を破壊する行為だからです。
大げさに思われる方もいるかもしれません。また、「死ね」「殺せ」と言われたからといっても、ただちに人は死にません。
けれども、憎悪をもって投げかけられた「死ね」「殺せ」という言葉が野放しにされた結果、それが新たな憎悪を誘発し、秘められた暴力性が不意に爆発することで、やがて現実に「死」をもたらすという事態は、もはや珍しいことではなくなっています。
ゆえに私は文芸批評を手がける一個の人間として、このような殺人教唆、ソーシャルメディアを悪用した極度に暴力的な発言に、強く抗議いたします。
乱文をお読みいただいた皆さまに、深く御礼申し上げます。
―――――――――――――――――――――――――
2013年7月24日
―――――――――――――――――――――――――
*2013/7/24、25、27 一部修正、題も修正しました。