「向井豊昭アーカイブ」に「一揆」が掲載されました。

 わずか30部しか刊行されていない、個人誌「手」の四号(1966年)から、入手困難な「一揆」を復刻します。向井には珍しい、時代小説調の作品で、かつ、現存する向井作品でもっとも古い時期に構想されたものとなっています。
 以下、東條慎生さんの紹介文となります。

今月はガリ版刷りの同人誌「手」の四号から、短篇「一揆」を公開します。およそ五十枚ほどです。

江戸時代を舞台に、圧政に苦しむ農民の一揆へと向かう様子が書かれていますけれども、江戸へ上京するかどうかの問題や「父無し子」が重要なモチーフとなっているなど、著者自身の、あるいは現代的な状況が色濃く滲ませてあり、作者の闘争への決意を江戸農民に写し込んだものと読めます。

この同人誌の後書きには以下のような文言があります。

アカの紐付きだと、マスコミにも叩かれている文学同盟に入り、その支部を組織し、機関誌を出そうと、ぼくをして力ませるもの――それはアイヌ問題である。これを追求するほど、ぼくは、政治の深みにはまり込んでいくのだ。

向井豊昭アーカイブ更新 2015.03
http://d.hatena.ne.jp/CloseToTheWall/20150324/p1