「図書新聞」2020年4月11日号にキャサリン・バーデキン『鉤十字の夜』の書評「ファシズムと女性差別の融合は現代日本の病理そのものである」が掲載

 発売中の「図書新聞」2020年4月11日号に、キャサリン・バーデキン『鉤十字の夜』(日吉信貴訳、水声社)の書評「ファシズム女性差別の融合は現代日本の病理そのものである フェミニズムディストピアSFの黙殺された古典」が掲載されています。かなり力を入れました。4000字ほどの書評です。

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図書新聞」2020年4月11日号

 今号の「図書新聞」では、渡邊利道さんの荒巻義雄論、陣野俊史さんの木村友祐論、坂田美奈子さんの小坂洋右論が載ってますね。今なら公式サイトに無料ログインしても読めますね。以下にご紹介にあずかり光栄です。

「Role&Roll」Vol.186に、『エクリプス・フェイズ』のシナリオ「土星の円卓の騎士、あるいは改竄された記憶の悦楽」が掲載

発売中の「Role&Roll」Vol.186に、『エクリプス・フェイズ』のシナリオ「土星の円卓の騎士、あるいは改竄された記憶の悦楽」が掲載されています。宇宙SFなのにアーサー王伝説の騎士たちを演じる、モンティ・パイソン風味の(?)ユーモアが楽しめます。リングフライヤー義体等の追加データもあるよ。

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Role&Roll Vol.186

Role&Roll Vol.186

  • 発売日: 2020/03/14
  • メディア: 大型本
 

 

SF Prologue Wave2020年3月号更新。「ザイオン・トラップト」(Part2)および「Role&Roll」Vol.185の『エクリプス・フェイズ』シナリオが紹介

SF Prologue Wave2020年3月号更新。伊野隆之さんの『エクリプス・フェイズ』シェアードワールド小説が、「SF Prologue Wave」に掲載されました。

 

・「ザイオン・トラップト(Part2)」伊野隆之

prologuewave.com

『月刊アナログゲーム情報書籍「Role & Roll」Vol.185「『エクリプス・フェイズ』シナリオ 闇のグラフィティ、あるいはゼロのスプラッシュ」』の紹介記事が掲載されています。

prologuewave.com

「ナイトランド・クォータリーvol.20 バベルの図書館」が2020/4/2頃に発売

 私が編集長をしております「ナイトランド・クォータリーvol.20 バベルの図書館」が2020/4/2頃に発売。

athird.cart.fc2.com

 ボルヘスにリスペクトを捧げたオリジナル・アンソロジー形式です。学魔・高山宏へのロングインタビュー。翻訳はジーン・ウルフ、ゾラン・ジヴコヴィッチ、ジェイムズ・ブランチ・キャベルほか。

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幻視者のためのホラー&ダーク・ファンタジー専門誌《ナイトランド・クォータリー》

vol.20の特集は、「バベルの図書館」。
その架空の図書館の存在は、
無限の知識と想像の集積をイメージさせます。
図書館と本へのインスピレーションから生まれた驚異の物語を集めました!

今号は特別増ページ!小説やインタビュー、レビュー、エッセイなど満載。

ゾラン・ジヴコヴィッチジーン・ウルフ、M・ジョン・ハリスン、
ジェイムズ・ブランチ・キャベルなど翻訳8編、
日本作家は井上雅彦樺山三英、橋本純。

また、高山宏ロングインタビューの他、
朝松健、安田均、白沢達生、岡和田晃などによる
エッセイ、ブックガイドなどなど読み応えたっぷりです!

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■主な内容
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【Story】
ゾラン・ジヴコヴィッチ「夜の図書館」/訳:山田順子
ジーン・ウルフ「シュザンヌ・ドラジュ」/訳:遠藤裕子
M・ジョン・ハリスン「奇妙な大罪」/訳:大和田始
サラ・モネット「バーナバス・ウィルコックスの遺産相続」/訳:和爾桃子
ピート・ローリック「ギブソン・フリンの蒐集癖」/訳:待兼音二郎
フランク・オーウェン「空を見上げた老人」/訳:渡辺健一郎
ジェイムズ・ブランチ・キャベル「デミウルゴスについて」/訳:垂野創一郎
アンジェラ・スラッター「生ける本、ソフィア」/訳:徳岡正肇
橋本 純「おかえりなさい」
樺山三英「post script」
井上雅彦「〈ミライ妖カイ幻視行〉第一話 深夜圖書館」

【Interview】
高山宏ロングインタビュー 「律儀な無頼」かく語りき――マニエリスムという人生作法」/聞き手・構成=岡和田晃

【Essay】
幻想の図書館へようこそ。/いわためぐみ
手触りのある音 〜音楽蔵書さまざま、バロック期を中心に〜 /白沢達生
「バベルの図書館」の解釈学/岡和田晃
図書館映画から生まれる不思議、書から生まれる映画幻想/深泰勉
夜の図書館――映画「龍宮之使」制作秘話/浅尾典彦
非在の書棚より/朝松健
古書蘇生者ピート・ローリックの小説世界/待兼音二郎

【Movie】
焚書に始まる小説愛好家のためのミステリ『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』/深泰勉

【Serial】
〈アンソロジーに花束を〉第三回 ボルヘスのアンソロジー図書館/安田均

【Book guide】/岡和田晃
『図書館情調』から始まる図書館幻想文学の世界
今福龍太『ボルヘス「伝奇集」――迷宮の夢見る虎』を素描する――「バベルの図書館」の解釈学補遺
『パラドクシア・エピデミカ』と『アレゴリー
図書館という「人生の奇跡」――シュザンヌ・ドラジュの解釈学
魔術的な他者が神話を書き換える――ヴィクター・ラヴァル『ブラック・トムのバラード』
幻想文学の必修科目――ジェイムズ・ブランチ・キャベル《マニュエル伝》

表紙写真提供/映画「龍宮之使」

ナイトランド・クォータリーvol.20 バベルの図書館

ナイトランド・クォータリーvol.20 バベルの図書館

  • 発売日: 2020/04/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 高山宏インタビューは3時間の内容をまとめました。
 翻訳はすべて本邦初訳であります。ゾラン・ジヴコヴィッチ世界幻想文学大賞受賞作より、J・B・キャベルは《マニュエル伝》の第1巻より、独立して読める部分を訳出しています。
 ハリスンは〈ヴィリコニウム〉シリーズの奥深い傑作。サラ・モネットは、キャサリン・アディスン名義『エルフ皇帝の継承者』の訳者の和爾桃子による訳。ピート・ローリックはCoCでお馴染みケイオシアムでアンソロジーを出していたパルプ愛満載のキム・ニューマン的元ネタ探し小説です。
 フランク・オーウェンは好評のダークな中華幻想を初訳で。アンジェラ・スラッターは女性の身体が本になったら……というジェンダー批評性あふれる作品。
そしてジーン・ウルフ! この作品の版権とれたときは嬉しかったですね。これは若島正さんが書評で言及しておられた傑作です。
 日本人作家、橋本純は架空戦記作家のイメージを良い意味で裏切る新境地。樺山三英「post script」は、「団地妻B」以来の小説新作。井上雅彦は、懐かしい伝奇ホラーをアップデートする連載の開始。朝松健はエッセイでの参加ですが、実話怪談のように読めます。
  白沢達生の音楽論、深泰勉の映画論、安田均連載は国書刊行会から邦訳が出ていたボルヘスの「バベルの図書館」叢書について。浅尾典彦はホラー愛溢れる映画の製作秘話。
 なお、今号はウイルス禍の影響等で、版元関連のイベントが続々中止し対応に追われる等があったため、発売が遅延して申し訳ありませんでした。内容はそのぶん、いっそう充実したものになったものと思いますので(増頁しております)、何卒ご購読のほど、よろしくお願い申し上げます。

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おかげさまで多数の予約を頂き感謝します! 書店様用のPOPもできました。

 

第13回TRPG文化祭へゲスト参加してきました

 3月20日、21日に、第13回TRPG文化祭へゲスト参加してきました。

 昨今のウイルス禍のため、ギリギリまで開催されるか不確定だったため、こちらで告知できませんでしたが、初日には『エクリプス・フェイズ』のGMをし、マ―ダ―ミステリーがらみのトークショーや独り芝居を観て、『メガトラベラー』や『mircoscope RPG』のプレイヤーをいたしました。

 また告知時間を頂戴し、『エクリプス・フェイズ』(「Role&Roll」でシナリオ連載中)と翻訳作業が終わりそうな『サンワード』。『T&T完全版』と『コッロールの恐怖』、「ウォーロック・マガジン」、近日発売「ナイトランド・クォータリーVol.20 バベルの図書館」をご紹介。

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は鳳明館森川別館の玄関で、スタッフの方に撮っていただきました。

 

「図書新聞」2020年3月21日号に、林浩治さんとの対談「民衆史から「惑星思考」へ――近代文学が棚上げし、現代にヘイトとして現出した問題について考える」が掲載

 発売中の「図書新聞」2020年3月21日号に、「民衆史から「惑星思考」へ――近代文学が棚上げし、現代にヘイトとして現出した問題について考える」と題し、林浩治さんとの対談が5面にまるまる掲載。『在日朝鮮人文学』(新幹社)×『現代北海道文学論』(藤田印刷エクセレントブックス)刊行記念です。

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 私の言及は、綿野恵太『「差別はいけない」とみんな言うけれど。』やジョ・ヨンイル『柄谷行人と韓国文学』の問題点、「アイヌが沖縄のチュチェ活動家に操られて新法を成立させた」デマへのカウンター、「寄り添い」批判、向井豊昭小熊秀雄・今野大力らの現代的な意義について等になります。

 また、林さんとの対談では、新日本文学会、労働者文学会議、浮島丸事件、金石範、李恢成、李光洙、新たなプロレタリア文学としての韓国フェミニズム文学等の話題も出ました。

 なお、「図書新聞」はコンビニのマルチコピー機でも買えます。

e-shinbun.net

在日朝鮮人文学―反定立の文学を越えて

在日朝鮮人文学―反定立の文学を越えて

  • 作者:浩治, 林
  • 発売日: 2019/12/01
  • メディア: 単行本
 

 

訃報:蔵原大さん(ゲーム/史学研究者、大学講師)

  岡和田晃(akiraokawada@gmail.com)と申します。ご遺族のご許可をいただきまして、ゲーム/史学研究者の蔵原大さんが、2020年の2月22日から23日頃、心筋梗塞でお亡くなりになったことをお知らせいたします。

 22日に具合が悪いと勤務先に連絡があり、23日に無断欠勤されたそうで、そんなことする人ではないからと勤務先の方がご実家に連絡して、妹さんが警察立ち会いの元24日に確認、という流れだそうです。不幸中の幸いとして、あまり苦しまれた様子はなかったとのこと。
 すでにご身内のみで葬儀はお済みでした。お寺さんとの都合で、これから納骨を済ませられるということです。お墓参り等をご希望の方も、納骨以降の話になります。
 妹さんは蔵原さんの携帯電話のパスコードを知らなかったらしく、ロックを解除できずに、どちらへ訃報を知らせたらよいかわからなかったそうで、亡くなってから時間が経過してしまいました。

 私は蔵原さんとは11年、12年ほどの付き合いで、昨年は私の教えている東海大学の講義にもゲスト講師として招聘し、H・G・ウェルズの『宇宙戦争』を戦略研究の視点から読む講義をしていただきました。
 今年正月にゲーム会(『トンネルズ&トロールズ完全版 コッロールの恐怖』のテストプレイ)をご一緒したのですが、その時は変わらぬご様子で楽しんでおられました。
 しかし、いつも参加していた月例の研究会(ボードゲーム読書会@高田馬場)2月末の会を連絡もなく欠席され、Facebook の更新も止まっていたので心配しておりました。
 ただそれは杞憂で、すぐに元気な笑顔を見せてくれると思っておりましたので、あまりのことに呆然とし、言葉もありません。
 蔵原さんは、来年度からは新しく開学する東京国際工科専門職大学での講師の職も決まっていたことから、意気揚々としておられました。
 本当に惜しい人を亡くしました。

 

 1972年生まれの蔵原さんは、早稲田大学出身で、社会人になってSEとして働き、お金を貯められてから早稲田大学の大学院で、修士号を取られました。
 他人に弱みを見せることが決してなかった人ですが、苦労人です。
 その後、国立公文書館を経て、民間企業、東京大学東京電機大学でお勤めになられました。並行して、研究や様々な企画を進められてきました。企業や公的機関への取材にも定評がありました。
 ウォーゲームサークルGood Gamers Group、早稲田大学シミュレーションゲーム研究会でウォーゲームやRPGに親しみ、高じて遊戯史学会の広報担当理事を務められていたこともありました。戦略研究学会、日本アーカイブズ学会、日本デジタルゲーム学会、アルテス=リベラレス研究所にも所属されていました。

 史学研究とゲーム(ウォーゲーム、シリアスゲーム)研究を、両方されていた稀有な方です。今はゲーム研究者と自認しておられました。
 近年はレヴィ=ストロースなどの構造主義や、網野善彦の民衆史等の研究書をよく読まれていて、その成果を研究会や市民講座等で披露されていました。

 

 研究者としての蔵原さんの研究業績(著書、論文、訳書、研究発表等)について、2015年末までのものは、個人的にいただいたことがあるので、以下に共有します。

Dropbox - 蔵原_研究業績.xls - Simplify your life

歴史と戦略の本質 上―歴史の英知に学ぶ軍事文化
 
世界史プレゼンテーション

世界史プレゼンテーション

 
ゲームクリエイターが知るべき97のこと 2

ゲームクリエイターが知るべき97のこと 2

  • 発売日: 2013/08/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 以降の論文では、こちらをダウンロードして読むことができます。
 

ci.nii.ac.jp

 また、書評SNS・シミルボンにも、多数のコラムを書かれています。

shimirubon.jp

 私が運営していたサイトAnalog Game Studiesにも、コラムや講座の聴講記があります。

analoggamestudies.seesaa.net

 日本SF作家クラブのネットマガジンSF Prologue Waveにも、小説や戯曲等を書かれています。

prologuewave.com

 

 私が翻訳に参加した『エクリプス・フェイズ』(新紀元社)というRPGのルールブックでは、校正協力もいただきました。蔵原さんはこの作品を、心から愛しておられました。

エクリプス・フェイズ (Role&Roll RPG)

エクリプス・フェイズ (Role&Roll RPG)

 

  蔵原さんの史学やゲームへの豊かな知見、また新しい企画への積極性や、知への飽くなき向上心には、常に刺激を与えられてきました。
 研究、仕事、ゲームと、あれこれ共闘し、苦楽を共にしてきたので、とても悲しく、自分の一部が欠けたような気がします。

 3.11東日本大震災の時、沢山の防災用具を持ち歩いて、「これしきのことではくたばりませんよ」とタフに笑っていたのが思い出されてなりません。

 

追記:東京電機大学で蔵原さんの同僚だった石塚正英先生と連絡がとれました。石塚先生はいち早く訃報を知らされたそうで、現在、ささやかな遺稿集を編んでおられるとのこと。私も協力することになりましたので、彼の原稿をお持ちの方はお知らせください。

 

追記2:石塚先生は、岐阜女子大学助川幸逸郎先生から聞いたそうで、助川先生にお伝えしたのは、助川先生と蔵原さんとの共通の知人である、はるかぜ書房の社長さんでした。蔵原さんは、社長さんの子供さんの家庭教師のような仕事をされていたということです。私も社長さんに(蔵原さんと一緒に)ゲームを教えてくれと、昨年末に蔵原さんから打診されていました。

 助川先生のお話では、蔵原さんは発熱して寝込まれていて、そのあげくに心臓発作を起こされたということでした。ご遺体に対する解剖も行われたけれども、事件性はなかったということのようです。

 

追記3:電大の石塚先生と共同で、蔵原大さんの遺稿追悼文集を作成することになりました。電子オンリーになりそうですが、執筆希望の方は以下の要項でお願いいたします。

・形式・分量自由(ただし、テキストファイルかWordファイルですと助かります)
・締め切りは4/25 正午

 こちらでお書きいただければと思います。

何卒よろしくお願い申し上げます。参加をご希望の方は、人数を把握するため、事前にakiraokawada@gmail.comにまで送っていただければと存じます。

 なお、数日前、蔵原大さんのお父様が逝去されたとの連絡が、ご遺族より電大の事務宛にあったそうです。