私が編集長をしております「ナイトランド・クォータリーvol.20 バベルの図書館」が2020/4/2頃に発売。
ボルヘスにリスペクトを捧げたオリジナル・アンソロジー形式です。学魔・高山宏へのロングインタビュー。翻訳はジーン・ウルフ、ゾラン・ジヴコヴィッチ、ジェイムズ・ブランチ・キャベルほか。
幻視者のためのホラー&ダーク・ファンタジー専門誌。
vol.20の特集は、「バベルの図書館」。
その架空の図書館の存在は、
無限の知識と想像の集積をイメージさせます。
図書館と本へのインスピレーションから生まれた驚異の物語を集めました!
今号は特別増ページ!小説やインタビュー、レビュー、エッセイなど満載。
ゾラン・ジヴコヴィッチ、ジーン・ウルフ、M・ジョン・ハリスン、
ジェイムズ・ブランチ・キャベルなど翻訳8編、
日本作家は井上雅彦、樺山三英、橋本純。
また、高山宏ロングインタビューの他、
朝松健、安田均、白沢達生、岡和田晃などによる
エッセイ、ブックガイドなどなど読み応えたっぷりです!
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■主な内容
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【Story】
■ゾラン・ジヴコヴィッチ「夜の図書館」/訳:山田順子
■ジーン・ウルフ「シュザンヌ・ドラジュ」/訳:遠藤裕子
■M・ジョン・ハリスン「奇妙な大罪」/訳:大和田始
■サラ・モネット「バーナバス・ウィルコックスの遺産相続」/訳:和爾桃子
■ピート・ローリック「ギブソン・フリンの蒐集癖」/訳:待兼音二郎
■フランク・オーウェン「空を見上げた老人」/訳:渡辺健一郎
■ジェイムズ・ブランチ・キャベル「デミウルゴスについて」/訳:垂野創一郎
■アンジェラ・スラッター「生ける本、ソフィア」/訳:徳岡正肇
■橋本 純「おかえりなさい」
■樺山三英「post script」
■井上雅彦「〈ミライ妖カイ幻視行〉第一話 深夜圖書館」
【Interview】
■高山宏ロングインタビュー 「律儀な無頼」かく語りき――マニエリスムという人生作法」/聞き手・構成=岡和田晃
【Essay】
■幻想の図書館へようこそ。/いわためぐみ
■手触りのある音 〜音楽蔵書さまざま、バロック期を中心に〜 /白沢達生
■「バベルの図書館」の解釈学/岡和田晃
■図書館映画から生まれる不思議、書から生まれる映画幻想/深泰勉
■夜の図書館――映画「龍宮之使」制作秘話/浅尾典彦
■非在の書棚より/朝松健
■古書蘇生者ピート・ローリックの小説世界/待兼音二郎
【Movie】
■焚書に始まる小説愛好家のためのミステリ『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』/深泰勉
【Serial】
■〈アンソロジーに花束を〉第三回 ボルヘスのアンソロジー図書館/安田均
【Book guide】/岡和田晃
■『図書館情調』から始まる図書館幻想文学の世界
■今福龍太『ボルヘス「伝奇集」――迷宮の夢見る虎』を素描する――「バベルの図書館」の解釈学補遺
■『パラドクシア・エピデミカ』と『アレゴリー』
■図書館という「人生の奇跡」――シュザンヌ・ドラジュの解釈学
■魔術的な他者が神話を書き換える――ヴィクター・ラヴァル『ブラック・トムのバラード』
■幻想文学の必修科目――ジェイムズ・ブランチ・キャベル《マニュエル伝》
■表紙写真提供/映画「龍宮之使」
高山宏インタビューは3時間の内容をまとめました。
翻訳はすべて本邦初訳であります。ゾラン・ジヴコヴィッチは世界幻想文学大賞受賞作より、J・B・キャベルは《マニュエル伝》の第1巻より、独立して読める部分を訳出しています。
ハリスンは〈ヴィリコニウム〉シリーズの奥深い傑作。サラ・モネットは、キャサリン・アディスン名義『エルフ皇帝の継承者』の訳者の和爾桃子による訳。ピート・ローリックはCoCでお馴染みケイオシアムでアンソロジーを出していたパルプ愛満載のキム・ニューマン的元ネタ探し小説です。
フランク・オーウェンは好評のダークな中華幻想を初訳で。アンジェラ・スラッターは女性の身体が本になったら……というジェンダー批評性あふれる作品。
そしてジーン・ウルフ! この作品の版権とれたときは嬉しかったですね。これは若島正さんが書評で言及しておられた傑作です。
日本人作家、橋本純は架空戦記作家のイメージを良い意味で裏切る新境地。樺山三英「post script」は、「団地妻B」以来の小説新作。井上雅彦は、懐かしい伝奇ホラーをアップデートする連載の開始。朝松健はエッセイでの参加ですが、実話怪談のように読めます。
白沢達生の音楽論、深泰勉の映画論、安田均連載は国書刊行会から邦訳が出ていたボルヘスの「バベルの図書館」叢書について。浅尾典彦はホラー愛溢れる映画の製作秘話。
なお、今号はウイルス禍の影響等で、版元関連のイベントが続々中止し対応に追われる等があったため、発売が遅延して申し訳ありませんでした。内容はそのぶん、いっそう充実したものになったものと思いますので(増頁しております)、何卒ご購読のほど、よろしくお願い申し上げます。