発売中の「Role&Roll」Vol.185に、「戦鎚傭兵団の中世“非”幻想事典」の第55回「動物も裁判にかけられる?! —豚をめぐる中世史の裏面」が掲載されています。豚や猪はRPGでは屈強なステータスを誇りますね。本コラムでは動物裁判の歴史や実態、ユダヤ教と豚、そしてマラーノ表象まで、解説しています。
発売中の「図書新聞」2020年2月22日号にて、女優・文筆家の睡蓮みどりさんが、『掠れた曙光』の書評を寄せて下さいました。「わかりやすく共感されやすい言葉」にまま見受けられる「呪い」の「彼岸」にありながら「謎めいた包容力」ゆえに「呪いの解放」である、との評に私自身が勇気づけられます。
特に嬉しかったのが、ありがちな冷笑性を、書評そのものが、毅然とした姿勢で切り離していることです。「詩を書き、あるいは詠むという行為は権威から最も遠い行為かもしれない。詩は詩人のためだけのものではなく、万人の生きる術だった。肩書き欲しさに詩人になったなど聞いたことがない」。
岡和田晃さんの詩集『掠れた曙光』の書評を図書新聞3436号(2月22日号)に寄せています。いろんな場所で、いろんな感情とともに、何度も繰り返しループして読むのが本当におすすめ。じわじわテンション上がってきて不思議と体温も上がります。改めて言葉の力ってすごいよね。 https://t.co/70BztOqODC
— 睡蓮みどり (@lotus_nemu) February 16, 2020
『SFが読みたい! 2020年版』、例年どおり2019年のマイ・ベスト5の国内篇・海外篇に回答し、2010年代以降にベスト10以内に入った書き手orハヤカワSFコンテスト系の書き手に与えられる「2020年のわたし」欄に、今年の仕事の予定について書いています。国内篇アンケートでは、ベストに『掠れた曙光』を挙げてくれている人がいて驚きました(感謝)!
今回は、【2010年代前期ベストSF※国内海外混合※】というアンケートもありました。こちらは個別の回答は掲載されていないようですので、ここに書いておきます。日によって変わるかもしれませんが、私が投票したのは以下の通りです。
・伊藤計劃・円城塔『屍者の帝国』
・仁木稔『ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち』
・上田早夕里『深紅の碑文』
・樺山三英『ドン・キホーテの消息』
・林美脉子『タエ・恩寵の道行』(書肆山田)
・サミュエル・R・ディレイニー『ダールグレン』
・フィオナ・マクラウド/ウィリアム・シャープ『夢のウラド』(国書刊行会)
・ピーター・ワッツ『巨星』
・ロブ・ボイル『エクリプス・フェイズ』(新紀元社)
・ケン・セント・アンドレほか『ミッション・インプポッシブル』(アトリエサード)
※いずれも順不同です。
なお、「2020年のわたし」では、「ウォーロック・マガジン」Vol.16とありますが、これは縦中横を処理した際の編集サイドのミスで、正しくは「ウォーロック・マガジン」Vol.6となります(編集部からは丁寧なお詫びをいただきました)。
私の肩書は今回、3つほど出したら長すぎたのかすべては入っておらず、編集サイドの選んだ2つが載っています。
帰宅。今日も見開き2ページ書いた。そして『SF が読みたい2020年版』と、クリスチティーナ・ダルチャー『声の物語』を買ってしまった。岡和田晃のアンケート回答を読んだら『声の物語』を買わずにはいられなかった。さすがにやばいので今月はもう買わないぞ(今月2度目だな、これ言うの……)。 pic.twitter.com/6Ij2vEndZE
— 吉美駿一郎 (@shunicirou) February 10, 2020
このようなリアクションも読者の方より頂戴しましたが、今回のアンケート海外篇の頭に書いたこと、私は大変に怒っています。声を上げられないだけで、憤懣やるかたない思いをしている人が沢山いることも、私は知っています。
発売中の「図書新聞」2020年2月15日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第六〇回 テクスト的な身体を冷笑主義から引き離すこと」が掲載されています。連載5年めの最終回ですよ。今回は麻生太郎の「単一民族」発言を批判し、以下の作品を取り上げています。
・奥間埜乃「ラット奉迎の辞」(「三田文學」)
・山城むつみ「連続する問題 第十回 奴隷根性B」(「すばる」)
・「アイヌ新法」をめぐるパブリックコメントのうち、寄せられた六三〇五件のうちの大半がアイヌ民族の存在を否定するなどの差別的な表現で占められ、約九八%が公表の対象外となっていたこと(「北海道新聞」二〇二〇年一月一八日)
・木村二三男のコメント(TBS「報道特集」二〇二〇年二月一日)
・モハンマド・モインウッディン「放射能汚染、反核運動、被曝者――21世紀ヒンディー語小説『マラング・ゴダ ニルカーント フア』をめぐって」(「原爆文学研究」)
・東村岳史「戦後佐世保における核の「軍事利用」と「平和利用」――原子力船「むつ」の受け入れ騒動を中心に」(「原爆文学研究」)
・柳瀬善治「「ムーゼルマン」の傍らにおける「倫理」と「連帯」は「喩」として表象可能か――「現代詩史」の視角から吉本隆明『「反核」異論』を読む――」(「原爆文学研究」)
・林浩平・編集顧問、佐藤美奈子を編集人として再出発した「アナホリッシュ国文学」および兵藤裕己×呉座勇一「歴史と物語の交点――『太平記』の射程」
・高原到「暴力の二つのボタン」(「群像」)
・アラン・ロブ=グリエ『ある感傷的な小説』(的場寿光訳、水声社)
・磯崎憲一郎『金太郎飴』(河出書房新社)
・古川真人『背高泡立草』(集英社)
・酉島伝法「猫の舌と宇宙耳」(「小説すばる」二〇二〇年一月号)
・片岡大右「「惑星的ミサ」のあとで――『ゲーム・オブ・スローンズ』覚え書き」(「文學界」)
・橘孝司「ギリシャ・ミステリ展望――「動機」と「カタルシス」の点から――」(「プロピレア」)
・孔田多紀「蘇部健一は何を隠しているのか?」(メフィスト評論賞円堂賞)
その他、レニ・リーフェンシュタール、吉本隆明『「反核」異論』、蓮實重彦『「ボヴァリー夫人」論』、ジョージ・オーウェル『一九八四年』、武田泰淳『第一のボタン』等についても触れています。
なお、「図書新聞」はコンビニのマルチコピー機でも買えます。
それと一箇所訂正。失礼しました。
×二〇一八年夏
↓
○二〇一九年夏