『Role&Roll』vol.37と『D&D』


 10月6日に発売になっているので、機を逃す前に告知をしておきましょう。
 ロールプレイングゲームアナログゲームの総合情報誌『Role&Roll』(新紀元社)のvol.37に、記事を書かせていただきました。


 以前の記事で、私は『R・P・G』誌を、『オフィシャルD&Dマガジン』や、『タクテクス』がらみの本格路線という形で説明しましたが、その流れで行けば、さしずめこの『Role&Roll』誌は、初期『RPGマガジン』のごとき、スタンダード志向といいますか、総合情報誌志向であるように思えます。
 どちらの路線も、業界の発展のためには必要不可欠でしょう。


 今回私は、8月31日〜9月2日までのイベント「JGC2007」の記事を4ページ書きました。 


 JGCの感想は、記事の方にすべて盛り込んであります。あそこに書けなかった情報としては、私がゲームマスターをしていた『ウォーハンマーRPG』の卓で、しばらく会ってなかった(山口県で働いている)大学の先輩と再会したことかなあ。いやあ、驚きました。


 次いで、10月31日にホビージャパンから出る『D&Dビギナーズ・セット』という、「これ1箱でD&Dがすべて遊べる」というステキセットの紹介文を2ページ書かせていただきました。
 たとえページ数は少なくとも、あの『D&D』に雑誌記事で関わることができた。ちょっと感動です。


 言うまでもない感じですが、『D&D』とは、すべてのRPGの元祖、そう、あの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のことですよ!

 
 紹介文に加えて、『スピタのコピタの!』というRPGリプレイ漫画に、ダンジョンマスターとして「出演」しています。こちらは8ページ。
 プレイヤーには、何気に柳田真坂樹さんがいらっしゃって、びっくりしました。
 

 さて、せっかくですから『D&Dビギナーズ・セット』について少し。

 2005年にも同じコンセプトの『D&Dベーシック・セット』が発売されていましたが、『D&Dビギナーズ・セット』は、その版上げバージョンでございます。といっても、いわゆる退化はしておらず、かなり遊びやすい仕様になっているかと。
 
 内訳は、


 ・ミニチュア12体(大型ブルードラゴンのミニチュア付き)
 ・両面フルカラー印刷のカラーマップ
 ・やたらと解説が丁寧な初級ルール
 ・上級ルール集
 ・対応が全部書いてあるシナリオブック
 ・宝物、巻物、マジックアイテムなどのトークン集。


 と、超豪華コンポーネント
 で、シナリオはまさに手取り足取り。バランスもまさに『D&D』といった感じで丁寧です。しかも、ダンジョンに不慣れな方を目してか、けっこう革新的な仕様になってるんだよな。
 機会攻撃などのある意味複雑なルールは、上級ルールから入るようになってます。


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 さて、やたらと筆致に気合いが入っているのは、私が『D&D』に特別な思い入れがあるからなのですね。


 ぶっちゃけ私は、いわゆる(『クラシックD&D』の)赤箱世代ではなく、いわゆるメディアワークス版から入った人間で、(確かちょっとした好奇心から、小6のときに『D&Dがよくわかる本』の改訂新版を手に取ったのがことの初めだったのです)、そこから遡る形で、新和の絶版モジュールなんかを手に取るようになった人間です。珍しいタイプですね。


 メディアワークス版は、価格が安いのはいいんですが、9レベルより上のレベルを扱うルールが発売されなかった。
 そこで業を煮やし、東京中のホビーショップに電話をかけたり、地元・旭川市にあった「おもちゃのたもちゃん」という、それこそダンジョンのような店の奥底から、ほこりまるけのモジュールや、緑箱(領地経営ルールが入った上級ルールセット)を取り出し、店のじいちゃんばあちゃんと〈交渉〉ロールを行なって、少しずつ持ち駒を増やしていったのですね。


 あと、旭川市には「百円堂」という、諸星大二郎が大喜びしそうな魔窟がございます。ここもわりと掘り出し物がありまして、初期『タクテクス』とか、『ファイティング・ファンタジー』のゲームブックとか、サンリオのSF百科事典とかは、軒並みここで揃えました。


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 それはそれでいいとして、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の何にそんなに惚れこんでいたのかというと、やっぱりゲームのなかに、本格的なファンタジーの息吹があった、と、それにつきるでしょう。


 ラリー・エルモアのイラストも素晴らしかったのですが、それ以上に、ルールブックのあちこちや、シナリオの行間から、トールキン直系の、エピックファンタジーの香りが立ち込めている。当時、ハイ・ファンタジーに飢えていた私は、まず、こうした雰囲気にノックアウトされたのです。とりわけ、赤箱(『クラシックD&D』)時代や、『AD&D』2ndの初期などは、中世ヨーロッパの文化・風俗、ならびにケルト直系のハイ・ファンタジーを極めて愚直に考証し、そのうえでゲーム化するためのルールを載せる、といったノリがありました。そのため、ルールは非常にアクが強いものがあったのですが、それゆえに嵌ると深かった。


 で、結局、『クラシックD&D』の背景世界ミスタラでひたすら『D&D』をやっていたわけです。
 大学以降は、『クラシックD&D』を使って、けっこう斬新な試みをやっていました。『クラシックD&D』と『AD&D』2ndのルールを混ぜこんで、意図的に曖昧に記されているルールの隙間をうまく使って、『深淵』や『ローズ・トゥ・ロード』のような運用をしたりね。
 いまから見ると、「そんなヘンな運用アリ?」って思われるかもしれませんが、『D&D』の3eが日本語化される前、こういう遊び方をしていたユーザーって、けっこう多かった気がします。


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 時は経ち、2002年の12月に『D&D』3eの日本語版が発売されてからは、ルールが美しいので、基本的には3e路線で行ってます。


 基本ルールはシンプルかつシステマティックになるよう抜本的な改正がなされていて、従来のクセのあるところが結構好きだった私は、違和感が残っていたのですが、ホビージャパンの日本語版サポートが継続して続き、種族本だとか邪悪本だとか次元界本だとか、各種ワールドセッティングだとかが充実してくるにつれ、うまくフレーバー的な面も取り入れられるようになってきたので、より世界が広がってきた感じです。だから、もはや角は取れてます。替わりに、3e以降のルールが少しずつ好きになってきました。やりこむほど奥が広がり、面白くなっていく。特にエベロンはエキゾティックでたまりません。基本的に阿呆なので、すぐにルールが頭から抜けるんですけどね。


 かつて、「法律を学ぶのが面白くてたまらない」とのたまった知人がおりまして、曰く「六法全書を読破していくに連れ、なんだか強くなっていく気がする」(笑)と。

 それを聞いて、なんだ感じ悪いヤツ、と思ったことがあるのですが、D&Dのルールを読んでいると、不思議と彼の発言が腑に落ちてきました。ルールを読めば読むほど、強くなるとまではいきませんが、うまく立ち回れるようになっていく気がするのです。


 しかも、単に相手よりも強くなるのではなく、ルール知識の援用次第では、パーティ全体のレベルアップに貢献できる、と。単なる競技スポーツの理論とは、また違ってくるわけです。


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 なんだか、話が散らかってきましたが、とにかく『D&D』は面白い、と言いたいわけです。


 今回の記事ではそんな私の『D&D』に対する熱い敬慕の念を、精一杯、込めさせていただきました。まさに沸騰せんばかりの筆致である、と思います。

 ただ熱いだけではなく、『D&D』を知らない人にどうしたら興味を持ってもらえるか、というところに焦点を合わせて記事を書きました。


 と言っても、このブログに迷い込んでくる人は、大抵『D&D』をご存知でしょうから、別に紹介はいらないわけです。だから、「いまさら『D&Dビギナーズ・セット』と言ってもなあ…」と思われるかもしれません。


 ただ、世のなかには『D&D』に対し、冷淡な反応を示される方も、多数います。

 そこで、今回の記事は、裏テーマとして、「『D&D』を知らない人を誘う際に、また、コンベンションで『D&D』の卓を立てる際の紹介用に役立てられるようにしよう」という目論見で書いています。

 国産のRPG、あるいは『D&D』以外の海外RPGに親しんでいる層に、どうしたら『D&D』の基礎的な楽しさを伝えられるか。そこに、焦点を合わせているわけです。

 幸い、今回は、『スピタのコピタの!』という強力な援護射撃がついています。

 『スピタのコピタの!』は、『Role&Roll』で1、2を争うとも言われる人気RPGリプレイ・コミックです。

 当然、一般のRPG界でも知名度が高い。そんなコミックで『D&D』が紹介されたのですから、うまく使えば、すでにRPGをやっているけど『D&D』には関心がなかった層にアピールすることもできるはずです。

 『D&D』布教用にうまく使ってやっていただけると、幸いでございます、はい。