『救済の書』を楽しむために(参考文献)

 先のエントリで説明しましたように、『救済の書:トゥーム・オヴ・サルヴェイション』は、ファンタジー世界や西洋中世史に興味がある方ならば必ず心に響く内容となっています。
 たぶん、読んだらもっと西洋中世史について知りたくなること請け合いです。
 なので、翻訳チームの面々が訳出の際に参考にした西洋中世の宗教史関連の書籍をここに紹介しましょう。
 けっこう歯ごたえのあるものも混じっています。が、「我々はこんなに勉強したんだぞ!」と言いたいわけではありません。勉強ではなく、楽しんで読みました(笑)
 楽しかったので、『救済の書』をより深く楽しむためのよすがとしていただければユーザーの方のためにも有用だろう、と思って僭越ながらリストアップさせていただいた次第です。
 『救済の書』と併せて読めば、オールド・ワールドをもっと深く理解することができるようになると思います。


 なおリストの前半は、翻訳チームで最も西洋史に通じている阿利浜秀明さんが読んでいたもの、後半は僕が目を通したものとなります。


『イギリスの修道院』(著:志子田光雄、志子田富寿子/研究社)
 「イギリスの各地には廃墟となった修道院が数多くみられる。これらの修道院は中世に栄え、イギリスの文化を創り出し、イギリスの社会を支えてきたものである。本書ではそのうちの代表的な21か所を訪ね、アクセスから歴史、現在のたたずまいを詳述、往時をしのぶ。冒頭にイギリスの教会と修道院の歴史、修道院の建築、そこでの生活などを解説した章を付し、本書を理解するための基礎知識を提供する。」

イギリスの修道院―廃墟の美への招待

イギリスの修道院―廃墟の美への招待

『西欧中世の民衆信仰』(著:ラウール・マンセッリ/八坂書房)
 「聖人、聖母、奇蹟、巡礼、魔術、…そして異端。
正統と異端の間を揺れ動く中世の名もなき民衆の信仰心の本質を、周到な方法論と精緻な分析により説き明かす、ローマの碩学マンセッリ教授の名講義。」

西欧中世の民衆信仰―神秘の感受と異端

西欧中世の民衆信仰―神秘の感受と異端

 
『フランスの聖者たち 古寺巡礼の手帖』(著:渡邊昌美/八坂書房)
 「サン・ドゥニ、モン・サン・ミシェル、コンクなど、中世フランスに栄えた大小の霊場を巡り、聖者崇拝の遺物や記録の背後に見え隠れする信仰と生活の実像を鮮やかに捉える。サンチャゴ巡礼をめぐる対談も収録。」
フランスの聖者たち―古寺巡礼の手帖

フランスの聖者たち―古寺巡礼の手帖

『異端信仰』(著:G.R.エヴァンズ/教文館
[「正統信仰」の担い手を自認していたいわゆる「正統派教会」は、「異端信仰」を「謬説」として排除した。なぜ人は信仰において一致できないのか? 異端とされた者たちの声に耳を傾け、キリスト教会の光と闇の歴史を検証する。]

異端信仰 (コンパクト・ヒストリー)

異端信仰 (コンパクト・ヒストリー)

『都市の創造力(ヨーロッパの中世2)』(著:河原温岩波書店
[都市の歴史は,人間の活動の歴史にほかならない.古代世界の崩壊後,西欧中世はキリスト教を軸に新たな都市空間をつくりだした.人びとは共同体としていかなる人的・社会的繋がりを形成し,都市をどのような世界として意識したのか.地域的に多様な姿を見せるヨーロッパ都市の特性を,近年の新たな都市史研究の展開をふまえて描きだす.]

都市の創造力 (ヨーロッパの中世 2)

都市の創造力 (ヨーロッパの中世 2)

『天使のような修道士たち 修道院と中世社会に対するその意味』(著:ルドー・J.R. ミリス/新評論
[修道士の態度に現れた修道理念が普通の人々に及ぼす影響を評価することで、これまで固く信じられてきた従来の修道院像を根底から覆す「塀の中の様々な現実」を活写する。]

天使のような修道士たち―修道院と中世社会に対するその意味

天使のような修道士たち―修道院と中世社会に対するその意味

『中世修道院の世界』(M.H.ヴィケール/八坂書房)
[4世紀から13世紀までの西欧修道院史の流れを「使徒の模倣」というモチーフに着目しつつ、静かに、鮮やかに、そして平易に語った名著。付録史料として「メッス司教クロデガングによる司教座聖堂参事会会則」全訳を併録。]

中世修道院の世界―使徒の模倣者たち

中世修道院の世界―使徒の模倣者たち

今野國雄『修道院 祈り・労働・禁欲の源流』岩波新書

修道院 (岩波新書 黄版 151)

修道院 (岩波新書 黄版 151)

H・C・パイヤー『異人歓待の歴史 中世ヨーロッパにおける客人厚遇、居酒屋そして宿屋』ハーベスト社
異人歓待の歴史―中世ヨーロッパにおける客人厚遇、居酒屋そして宿屋

異人歓待の歴史―中世ヨーロッパにおける客人厚遇、居酒屋そして宿屋

J・C・シュミット『中世歴史人類学試論 身体・祭儀・夢幻・時間』刀水書房
中世歴史人類学試論―身体・祭儀・夢幻・時間

中世歴史人類学試論―身体・祭儀・夢幻・時間

森本芳樹『中世農民の世界 甦るプリュム修道院所領明細帳』岩波書店
中世農民の世界―甦るプリュム修道院所領明細帳 (世界歴史選書)

中世農民の世界―甦るプリュム修道院所領明細帳 (世界歴史選書)

池上俊一『ヨーロッパ中世の宗教運動』名古屋大学出版会
ヨーロッパ中世の宗教運動

ヨーロッパ中世の宗教運動

セシル・モリソン『十字軍の研究』文庫クセジュ
十字軍の研究 (文庫クセジュ 496)

十字軍の研究 (文庫クセジュ 496)

ジョルジュ・タート『十字軍 ヨーロッパとイスラム・対立の原点』創元社
十字軍:ヨーロッパとイスラム・対立の原点 (「知の再発見」双書 (30))

十字軍:ヨーロッパとイスラム・対立の原点 (「知の再発見」双書 (30))

アミン・マアルーフ『アラブが見た十字軍』ちくま学芸文庫
アラブが見た十字軍 (ちくま学芸文庫)

アラブが見た十字軍 (ちくま学芸文庫)