南雲堂さまより、『本格ミステリー・ワールド2010』を謹呈いただきました。ありがとうございます。
見どころは多いのですが、一点挙げるとしたら、岡和田的今年度ミステリのベストに入る『玻璃の家』がいかなる意図をもって書かれたかが――作者の言葉として――克明に記されているところでしょうか。
「あふれる情報が身体感覚を根こそぎ奪ってゆくのを感じながら生きてきた私には、「オリジナルに対する疑問」という地点からしか物語を始めることができませんでした」という松本さんの言葉にとても共感しました。
『玻璃の家』がミステリとして物足りない的な(すぐに犯人がわかってしまう的な)批評をウェブでも活字媒体でも目にしたことがあるのですが、その際に覚えた「違和感」にはやはり意味があったと、裏付けを得た気分です。
『21世紀本格』を正面から受け止めつつ、同時代的な問題意識が込められた『玻璃の家』が高く評価されたことに対し、深く感じ入る次第です。ここから先に進む下地ができたと申しましょうか。
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