“Children of the Horned Rat”が翻訳・出版される予定です。


 お知らせです。JGC2010のRPG翻訳者談話会で告知され、公式サイトにも掲載されておりますが、『ウォーハンマーRPG』の新作が出ます。そう、サプリメント“Children of the Horned Rat”の日本語版が、12月に発売される予定です。

WFRP Children of the Horned Rat (Warhammer Fantasy Roleplay)

WFRP Children of the Horned Rat (Warhammer Fantasy Roleplay)

 これは鼠人間、スケイブンに関する詳細な解説書。敵に関して詳述したサプリメントには他に『堕落の書:トゥーム・オヴ・コラプション』がありますが、こちらは、主にミュータントとビーストマンに関する設定が主であり、スケイヴブに関する記述はほとんどありません。
 しかし、“Children of the Horned Rat”には128ページのうちに、スケイヴンの歴史・哲学・社会・生体構造などがすべて網羅されています。すなわち『堕落の書』と対になるべき作品なのです。
 クオリティは非常に高く、年間最優秀ゲーム賞、エニー賞の銀賞にもノミネートされたことがあります。
 『D&D』第3.5版で言えばでの『不浄なる暗黒の書』、『魔物の書』のような「悪」ならではの醍醐味をユーザーへ提示することができます。
 加えて、『ウォーハンマーRPG』のシナリオを自作したり、既製のシナリオを理解する際、「ワープストーン」の扱いが極めて重要となるのですが、その「ワープストーン」に関する詳しい記述があるところも見逃せません。
 

 このサプリメントの価値は、スケイブンという異形の存在の秘められた知性、歪んだ社会性のすべてが明らかにしているということです。その意味で、センス・オヴ・ワンダーに満ちており、SF評論家としての立場から全面にプッシュできます。
 『インスマウスの影』から『ポラリス北極星)』までラヴクラフトのある種の作品に見られる他者への畏怖から、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの『愛はさだめ、さだめは死』に見られる異形への魅力が、カタログ的に詰まった作品だと読み替えることも可能でしょう。
 現状、『ウォーハンマーRPG』の日本語展開は半ば止まっている状態ですが、本格的に再始動するものと思います。
 “Children of the Horned Rat”の紙媒体での原書は古書で高値がついていてしまっていますが、翻訳者としてのみならず一ファンとして申し上げます。文化としてRPGを伝えていくために、どうぞ皆様ご支援ください。
 私もできるだけ力を尽くします。

 記念にハードコアバンド、SKAVENの動画をご紹介。