遅まきながら、ご紹介。
ホビージャパンから日本語版が発売されているRPG風ボードゲーム『ダンジョン・ロード』の翻訳協力をさせていただきました。
これはもともとチェコで発売されたゲームで、デザイナーは『ギャラクシー・トラッカー』でも知られるVLAADA CHVATIL。
チェコと言えばカレル・チャペックですが、それ以外にボードゲームも盛んなようです。
- 出版社/メーカー: ホビージャパン
- 発売日: 2010/07/29
- メディア: おもちゃ&ホビー
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海外サイトでは紹介動画も作成されていますので、ぜひご覧下さいませ。出てくるおっちゃんがウザいよ、とか言わずに!
で、この『ダンジョン・ロード』の基本コンセプトはずばり、「ダンジョン経営シミュレーション」です。
プレイヤーたちは“ダンジョン大王”としての免状を手にして一花咲かせようと夢見る、ほんの150歳から200歳の(笑)若きダンジョン・ロードを演じます。
ダンジョン省の役人たちのお眼鏡に適うダンジョンを作るために、プレイヤーたちは2年間をかけて、モンスターを雇い、やって来る冒険者を退治し、ダンジョンを拡張していくことになるというわけです。
特筆すべきはやはり、ゲーム・システムでしょうか。各ゲーム・パートごとに専用のゲームボードが用意されており、システムの進行が明確になっているのがウリですね。ルール・メカニズムの完成度も高く、世界的なボードゲームレビューサイト「BoardGameGeek」内での『ダンジョン・ロード』も高得点がついていますね。
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/45315/dungeon-lords
さて、次に注目していただきたいのは、やはりユーモアたっぷりのマニュアルではないかと思います。
ごく普通のルール説明文を補足するかたちで、デーモンたちのかけ合いでわかりづらい点が補足されています。
例えばこんな感じで……。
あら、もうお着きざますか? ええと……どうぞお入りなまし。ご挨拶が遅れましたが、[広告規制に基づき表示できません]という者ざます。300年の長きにわたって、かの偉大なる[広告規制に基づき表示できません]様にお仕えしとります。この度はダンジョン省からのお声がけで、数世紀にも及ぶご奉公の経験からあたくしなりの注釈や論評を、この手引き書の端々に差し挟むこととなりやんした。そりゃ勿体なくありがたいことじゃござんすが、何から何まで検閲されるのがどうにもこうにも。検閲をやめるつもりがありんせんのでしたら、いっそお役人さまが鉛筆と[公然猥褻に関する機制に基づき、表示できません]。
おいっす。俺サマは無間地獄界からやって来た名も無きデーモンだ。ツレの衆からは「あのくそったれデーモン」と呼ばれてるがな。おまえらにルールの手ほどきをするため、わざわざ来てやったぜ。その昔、「大魔王ラザモスのダンジョン建設タコ部屋」で教官をやってた経験を生かしてな。
なお、少し前に、PCゲームで『ダンジョン・キーパー』*1というダンジョン経営シミュレーションが発売されていたのをご存知でしょうか? コンセプト、随所にみなぎるユーモアのセンスが共通していると思ったら、聞くところによるとこの『ダンジョン・ロード』は『ダンジョン・キーパー』に強く影響されているとか。調べているうちに『ダンジョン・キーパー』のボードゲーム版だ、といった話も耳にしました*2。
もし『ダンジョン・キーパー』をやったことがある方がいらしたら、ぜひ『ダンジョン・ロード』も遊んでみて下さい。きっと損はしないはずです。
ダンジョンキーパー・プレミアム EA BEST SELECTION
- 出版社/メーカー: エレクトロニック・アーツ
- 発売日: 2001/09/20
- メディア: CD-ROM
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ちなみに『ダンジョン・ロード』のイラストワーク、個人的な経験から言えば女性受けがすこぶる良くて、私の妻にも大好評でした。うちの妻は『ダンジョン・キーパー』も好きみたいですけど。
*2:オフィシャルかどうかは、微妙にわからないところもあるのですが、インプやにわとりは健在です