「未来」2012年4月号に「向井豊昭の闘争」第4回を掲載いただきました。

 学術出版社・未來社のPR誌「未来」2012年3月号が頒布開始されました。


・〈カタストロフィスム〉について 4 転換のディヴェルティメント 28  小林康夫
プーチン当選後のロシア デラシネ備忘録 27  町田幸彦
・第六十二回ベルリン映画祭 ドイツと私 44  永井潤子
・エントットの〈笑うランボー〉 書簡で読むアフリカのランボー 11  鈴村和成
・海岸線の思考 沖縄からの報告 26  與儀秀武
・リベラル・ソーシャル・デモクラシーの彼方へ 《リレー連載》リベラル・デモクラシーとソーシャル・デモクラシー 8  新川敏光
アイヌという「サバルタン」をめぐって 向井豊昭の闘争 4  岡和田晃

 私は連載評論「向井豊昭の闘争」の第4回「アイヌという『サバルタン』をめぐって」を掲載いただいております。
 前回は向井豊昭と鳩沢佐美夫のテクストの比較検討が主となりましたが、今回は両者の「アンガージュマン」に焦点を当てて、彼らの政治的苦闘について論じていきます。前回が遠景から二人の文学者を追っていたものとすると、今回はぐっとクローズアップした内容になっていると思います。
 向井豊昭と言えば「向井豊昭アーカイブ」にて、長篇「UFO小学校」が完結いたしました。「向井豊昭の闘争」で論じているのは主として60年代後半から70年代前半の初期向井豊昭作品ですので、それらとはまた別の顔が覗けます。併せてご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/CloseToTheWall/20120324/p1


 ところで「未来」での連載が縁になって、昨月、東京理科大学で開催された科研費の研究会にお招きいただき、外部講師という形で研究発表をしてまいりました。主として連載の文芸批評的(状況論的)コンテクストや向井豊昭の文学世界について、お話をしてきた次第です。文化人類学、北海道文学、口承文芸、テレビのディレクションアイヌ思想史等、さまざまな分野の専門家の方が参加する研究会で、非常に刺激的でした。研究会をコーディネートしてくださいました木名瀬高嗣さん、長時間にわたってお付き合いいただいた参加者の皆様、どうもありがとうございました。


 「未来」は大型書店では無料配布されております。
 未來社公式サイトからは、直接購読を申し込むことが可能です。年間定期購読で1200円という驚異的な価格設定になっております。硬質な批評に飢えている方にはもってこいの雑誌ではないかと思いますので、ご興味のある方は手にとってみてください。
http://www.miraisha.co.jp/np/inner/201203