高槻真樹『戦前日本SF映画創世記 ゴジラは何でできているか』(河出書房新社)が好評発売中です。

 第5回日本SF評論賞の「同期」である高槻真樹さん初の単著、『戦前日本SF映画創世記 ゴジラは何でできているか』(河出書房新社)の見本をご恵贈いただきました。実は企画段階で、少しお手伝いさせていただいたからです(あとがきを参照)。その本書、図版の充実はもとより、ニューウェーヴSFをこよなく愛する高槻さんの持ち味が遺憾なく発揮されています。前衛的な作品『狂った一頁』を戦前SF映画の出発点するNW精神! 晦渋な表現は慎重に排され、調査にあたっては足を使うことを面倒がらず、現場には敬意を払い、遊び心を忘れず、B級作品を扱うにあたっても下品にならず、かわりに愛に満ちた眼差しを送ります。このバランス感覚は貴重でしょう。そして、通読してみて気付かされたのは、戦前SF映画という〈文化コード〉そのものを本書はオルタナティヴな価値として提示した、ということです。この功績はどれだけ強調しても、足りないことはないでしょう。

戦前日本SF映画創世記: ゴジラは何でできているか

戦前日本SF映画創世記: ゴジラは何でできているか