集英社の文芸誌「すばる」の2014年12月号に「夷を微かに希うこと――向井豊昭と木村友祐」という45枚(注釈込みで50枚弱)ほどの批評を掲載いただきました。
『向井豊昭の闘争』で、そこまで詳しく論じられなかった「東北」(とりわけ「下北」)に焦点を当てた論考で、草稿「下北」の分析といった生成論的なアプローチを皮切りに、現代の批評から抜け落ちている「辺境」の問題に切り込むというものです。このために下北への取材旅行を敢行し、得られた材料により難解きわまる問題作「南無エコロジー」を論じることができました。
また、そこで得られた視座を、向井豊昭と同じく「東北」を主題的に扱った木村友祐さんの「イサの氾濫」「幸福な水夫」……といった作品の射程を分析するために活かしています。二人の作家を論じる分量がなるべく均等になるよう腐心いたしました。
力を入れていますので、ぜひお読みください。「すばるクリティーク」で現役の若手作家が論じられるのは初めてです。二人の作家を知らずとも、現代文学の動向に関心のある方には愉しんでいただけるものと確信しております。
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