「神田外語大学日本研究所紀要」第8号に「【世界のなかの日本 第三回】『アイヌ民族否定論に抗する』を通してアイヌについて学ぼう!」が掲載されました。

 「神田外語大学日本研究所紀要」最新第8号に、昨年開催の『アイヌ民族否定論に抗する』関連講演会の内容をまとめた報告「【世界のなかの日本 第三回】『アイヌ民族否定論に抗する』を通してアイヌについて学ぼう!」が掲載されました(マークさんとの共著)。アイヌ民族否定論の問題点を的確に把握しカウンター言説の構築に役立てられるよう、明快にして簡潔な言説構築を心がけました。神田外語大学へ行けばたぶん本を入手できると思いますが、来月、PDFファイルでもダウンロード可能になります。
 香山リカさん、上村英明さん、新井かおりさん、岡和田、マーク・ウィンチェスターさんの発言要旨がまとめられていますが、そのほか、イベント全体の概要、また会場にいた山科清春さん、長岡伸一さんの発言も収録されています。個人的には、とりわけ上村さんと新井さんの発言は、是が非でも読んでおいたほうがよいと思います。
 さて、この神田外語大での『アイヌ民族否定論に抗する』イベントは、実際にヘイト言説をまき散らしている人がお客様として来たという点でも特徴的。なぜわかったかというと、撮影禁止のはずの会場写真が、SNSにあるアイヌへのヘイトを旨とするコミュニティにアップされていたから(通報済みです)。
 しかし、振り返って思うのは、アイヌ民族否定論というのは、和人の歴史の鏡像だということですね。北海道は風土性を思索した先達の多い土地だけど、その伝統は「農民文学・開拓文学」にあるので、アイデンティティの構築は大抵、アイヌの蹂躙と引き換えになされてきました。そうした負の歴史を直視しないので、憎悪に満ちた否定論が培われてしまうのでしょう。

アイヌ民族否定論に抗する

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