「ナイトランド・クォータリーvol.17 ケルト幻想〜昏い森への誘い〜」(アトリエサード)が、2019/6/5ごろ発売

 お待たせしました。「ナイトランド・クォータリーvol.17 ケルト幻想〜昏い森への誘い〜」(アトリエサード)が、2019/6/5ごろ発売になります。

 今号は完全新体制での号となります。
 前号に続いて岩田恵さんをプロジェクト・マネージャーに据え、岡和田晃は2代目エディター・イン・チーフとなりました(岡和田はアトリエサード社員ではなく外部編集者の立場なので、こういう形でお願いしています)。
 そのうえで……これまでのホラー&ダーク・ファンタジーの蓄積を、より拡がりのある文脈に接続すべく試みました。
 今号の目玉は、井村君江ロング・インタビューです!
 関連し、うつのみや妖精ミュージアムの模様をヴィジュアルで紹介しています。
 藤原ヨウコウさんの新コンセプトのアート「Visonary Celtic」も惚れ惚れする美しさです。
 また、古典新訳は『ルクンドオ』が好評の遠藤裕子さんによるアーサー・マッケン「変容」(旧訳では「変身」)。
 ボブ・カランの訳や『幻想と怪奇の英文学』シリーズで知られる下楠昌哉さんにはジェレマイア・カーティンを選定&翻訳していただきました。
 いずれも、土俗的なホラーの妙味を堪能いただける逸品です。

 現代作家は、いずれも、本邦初紹介の実力が確かな作家ばかりを選定しました。
 ブライアン・オールディスやM・ジョン・ハリスンの訳で知られる大和田始さんに、ピエール・コムトワを担当してもらいました。ケイオシアム社で小説も出している作家ですが、今回訳した「幻の巻狩」は、アーサー・マッケンをリスペクトした作品です。
 ジェフ・C・カーター「かかる警句のなきがゆえに」はヘリオガバルスと剣闘士がモチーフ。なんと、今作が世界初公開になります。
 デヴィッド・テラーマン「木の葉のさだめ」は、レイ・ブラッドベリオーガスト・ダーレスを彷彿させるノスタルジアの観点からの「ケルト」解釈。
 リサ・L・ハネット「食べさせてあげなきゃ」は、「インスマウスの影」のケルト版!? ともいうべき作品ですが、多用な解釈が可能です。

 既訳のある現代作家としては世界幻想文学大賞作家アンジェラ・スラッターの「赫い森」。王道ダーク・ファンタジーです。こちらは拙訳でお楽しみください。

 日本人作家は橋本純さん、松本寛大さん。橋本さんの「いつか野に咲く麦になるまで」は『ガリア戦記』のエピソードを正面から再話したもの。
 松本寛大さんの「ケルトの馬」は、プレグジットやテロリズムの状況と「ケルト」を融合させた作品。

 批評とブックガイドも充実。
 朝松健さんは、アーサー・マッケンと魔術について、深く掘り下げた論考を書かれています。
 『プリズナーNo.6完全読本』で、『秘密諜報員ジョン・ドレイク』の力作レビューを書かれた深泰勉さんが映像と音楽についてのコラムを。
 徳岡正肇さんは、デジタルゲーム『Hellblade』やライナー・クニツィアの『ケルト』についてレビュー。

 岡和田はアーサー・マッケンやヘレン・マクロイ、M・ジョン・ハリスンについて単発で批評を書き、児童文学(アラン・ガーナー、モリー・ハンター、ピーター・ディキンスン)、ノンフィクション(フローラ・アニー・スティール、『バルサス=ブレイス』、鶴岡真弓、木原誠など)、フィクション(ロード・ダンセイニ芥川龍之介、ピーター・トレメインなど)についてガイドを書きました。
 なお、発行が遅くなり申し訳ありません。次号は改善したいと思います。

 

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■主な内容
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■アーサー・マッケン「変容」/訳:遠藤裕子
■ピエール・コムトワ「幻の巻狩」/訳:大和田始
■ジェレマイア・カーティン「聖マーティン祭前夜 (ジョン・シーハイによって語られた話)」/訳:下楠昌哉
■ジェフ・C・カーター「かかる警句のなきがゆえに」/訳:待兼音二郎
■デイヴィッド・テラーマン「木の葉のさだめ」/訳:待兼音二郎
■リサ・L・ハネット「食べさせてあげなきゃ」/訳:徳岡正肇
■アンジェラ・スラッター「赫い森」/訳:岡和田晃

■橋本純「いつか野に咲く麦になるまで」
■松本寛大「ケルトの馬」

井村君江インタビュー「"General Literature"としての幻想文学ケルト研究」

■Night Land Gallery うつのみや妖精ミュージアム 常若の国への招待状/岡和田晃
ケルト妖精譚とホラー映画の微妙な関係/深泰勉
カナザワ映画祭が池袋で「大怪談大会」を開催!/いわためぐみ
■〜夜の国の幻視録 その1〜 「Visionary celtic」/藤原ヨウコウ
■アーサー・マッケンから流れる、ケルト精神の水脈――「パンの大神」、『翡翠の飾り』、ヘレン・マクロイ『牧神の影』/岡和田晃
■深き森の闇より ─ケルト文芸復興・魔術結社・幻想作家を巡る装飾的夢想─/朝松健
■Hellblade: Seuna's Sacrifice――「闇」と戦うピクトの女戦士が歩む、復讐と幻想の旅路/徳岡正肇
ボードゲームケルト(Keltis)」レビュー ――ドイツの数学者が幻視したケルトとは/徳岡正肇
アイリッシュミュージックの歌姫の浸透と拡散/深泰勉

■【ブックガイド】/岡和田晃
 □ケルトな幻想児童文学への招待 
 □M・ジョン・ハリスン〈ヴィリコニウム〉シリーズと転覆の美学 
 □「ケルト幻想」の淵源を知るために ──豊穣なる「ケルト研究」の世界 
 □今号のケルト幻想ホラー小説群を、より広い視座から味わい尽くすために

■表紙作品:戸田和子(うつのみや妖精ミュージアム所蔵)

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ナイトランド・クォータリーvol.17 ケルト幻想〜昏い森への誘い〜

ナイトランド・クォータリーvol.17 ケルト幻想〜昏い森への誘い〜